現地第二日目 (現地時間2004-05-22[土])
天候:曇り時々雨、夜は雷雨

トロントの朝

7時半起床。空を見たら曇っている。テレビで天気予報をやっていたので聞いていたら、なんとしたことか、今日は雨、明日(日曜日)と明後日(祝日・ビクトリアデー)は雷雨だというじゃないか。

後で友人に聞いたら、5月にしてはかなり珍しい天気だそうな。そういえば、日本でも台風2号なんてのもあったなぁ、と、よほど稀なケースにあたるらしい。そんなにあたるなら、宝くじ買うなら今がチャンスかな?と前向きに考えるのが最近の得意技。暗く考えると、どんどん、スパイラルで落ち込むから…。

しばし、クィーンサイズのベッドを一人で占有し、たくさんあるふかふかの枕を背に当てながらテレビをCNNなんぞを見ていたが、飽きてきたのでチャンネルを変えると「リロ&スティチ」をやっている。うー、これ、みたいかも…とか思うが、今日は10時頃に友人宅に電話をして出かける約束だから、あまりのんびりもしていられない。

[写真右]
土曜日の朝のダウンタウンはとても静かだ。人通りも非常に少なく、もちろん車も少ない。まるでゴーストタウンのようだ。これは土日の東京の大手町あたりを想像していただくとわかると思う。トロントはカナダの中では大都会であり、平日のダウンタウンは活気と喧騒に満ちているが、週末になるとダウンタウンも一休みというところか。写真のとおりは、Hotel Victoriaの前のYounge Streetだが、この下を地下鉄(TTC)が走っている。歩道のところどころには大きな金網のようなものがあり、地下のトンネルとツーツーでつながっているところがあるようで、時にはその下を走り抜ける地下鉄が見えたりして、ちょっと怖いような気もする。全部がこのようにツーツーでつながっているのかわからないけれど、ちょっと足がすくんだりして…。

コンチネンタル・ブレックファスト

だが、そんなことも言っていられないので、身支度をして朝食のバウチャーを持ち下におりて小さなスペースのパブ風のところでコンチネンタルの朝食を食べる。

パンとシリアルと飲み物とコーヒーとフルーツしかないけど、糞馬鹿でかいクロワッサン(ほんとうにでかい、日本の二倍〜三倍はある)が、大きさにもかかわらず美味。クロワッサン的には美味しくないが、パンとしては周りがパリッとして中がふんわりだ。他に小さな胚芽トーストを二枚焼き、ストロベリージャムを塗って、コーヒーやオレンジジュースで朝食終了。

9時半ごろまで部屋で再びテレビを見て、出すものを出して休憩し友人に電話。15分ほどでこちらにくるという。なんせ、彼のアパートはここから十分くらいなのだ。一度見てみたいかも…。ロビーで待つことしばし、"Morning!"とアメリカ英語で挨拶。いかん、いかんです、米語ではなく英語に切り替えたのに…。染み付いたアメリカ英語は簡単にはなおらん。つい、247(twenty-four-seven)なんて言い方もしちゃうしなぁ。

CNタワー

まずはCNタワーへ行くことにした。曇りだからどうかなぁ。このHotel Victoriaは実にいい位置に有る(そういう宿で安くて評判の良いところを探したのだ、もちろん英語のサイトから)ので、ダウンタウンの大抵のところは徒歩圏だし、地下鉄のキング駅は真下にあるという便利なところなのだ。

CNタワーは地上533メートル。1976年だか1975年だかにできた。ここは床がガラスのガラスフロア(東京タワーにも小さなものがあるし、New ZealandはオークランドのSkytowerにも同じようなものがある)があって足元すくむ経験ができる。展望台(Lookout)とこのガラスフロア(Glass Floor)と一番上の展望台(Skypod)の三箇所圏で税金別でCA$23。

エレベーターに乗る前に一人ずつセキュリティチェックがある。チェックといっても空港のように厳重なものではなく、左右から空気が吹き付けられて、その様子を見ているのかあるいは自動的に何かの反応をみているのか、おそらく銃をもっているかどうかを見ているのだろう。持ち物全部を持っていた状態だから、金属探知でないのは間違いない。

展望台にあがるエレベータは時速22km/hだとここガイドの人が言っていたっけ。早いじゃん!っていったら友人が「遅いよ、サンシャイン60のは60kmだぜ」だって。なんで、東京住まいの筆者よりカナダ人のほうが良く知っているのさ(笑)。ま、えてして、こういうことってありがちですがね。でも60kmってホント?後日確認したところCNタワーのは毎秒6m[時速21.6km]、サンシャイン60のは毎分600m[時速36km]だったが、サンシャイン60のほうが早いのは間違いなかった。展望台は空が曇っている割には見通しが良い。このあたりが東京と違うかも。東京は晴れていても空気が汚いから見通しが悪い。見通しが良くなるのは台風一過の時だけ。

左手にはToronto City Centre Airportという小さな空港 オンタリオ湖の向こうはナイアガラ方向
ダウンタウンには高層ビルが集中している 下中央はAir Canada Centre

一人で行くと、どこがなんだかよくわからないのであるが、今回は地元っ子が一緒なのでいろいろな情報が得られる。オンタリオ湖畔は昔は工業地帯だったが、今は工場がなくなり再開発でアパートがどんどん立っているという。実際、展望台からみると、湖岸を高い建物が占拠し、さらに多くの空き地では新しい高層アパート建築が進んでいるのが手に取るようにわかる。ダウンタウンからオンタリオ湖が見えなくなりつつあり、ここが湖畔の街であることを皆忘れつつあると嘆いていた。

ガラスの床から下をみると… CNタワーはトロントのランドマークだ

こうやって見ると、トロントという街は非常に広範囲に平面的に広がっていることが眼に見えてわかる。ダウンタウンとその湖岸近くだけが高層ビルの塊で、それ以外には高層ビルはほとんど見当たらない。サンシャイン60から眺める東京とはえらい違いだ。

ガラスフロアは既に他の地域でも経験しているので別段珍しくないが、ここのはガラスが薄く見えるし、でかいので確かに怖いかもしれん。最上階の展望台は外側(屋外)をぐるりと一周できるが、風が冷たく「さ、さ、寒い」。筆者は下着と、カジュアルシャツ、その上に薄い中綿のジャンバーを着ているが、これは寒かった。寒さに強いはずのカナディアンな友人も寒い!と連発。でも、最上階なので、安全柵に阻まれているとはいえ、見通しは最高。

筆者と友人が買ったチケットはこの三つの展望台を見るもので、全て見終わったのでエレベーターで地上に戻ると、そこには売店とカフェがあるという定番。特に見るものは無いけれど、CNタワーの冷蔵庫マグネット(frig magnet)を一つ購入。どうでもいいようなものだが、毎日眼に入るものなので、旅行の思い出としては意外に良いということに最近気づいてきたのである。もっとも、旅行に行っていない者にとっては何も感じないとは思うが…。

MOVENPICKでランチ

昼食は、友人オススメレストランの一つ、スカイタワーの建物の前にある "MOVENPICK" (実際にはドイツ語でOの上にウムラウトがついている)に入る。注文したのは次のもの。

Hot Teaは日本で言うストレート、英国文化圏でいうBlack Teaで、要するにミルクもレモンも無いやつだ。ミルクが欲しければ大抵の場合は "with Milk"とはっきり指定しないといけないという。黙っていもミルクが出てくることもあるが、欲しければ "with Milk" だ。

ペンネ・アラビアータは、ウェイトレスがチーズをかけてくれる。量が手ごろなところで言ってねということで、適当なところで "Thank you"と、ストップをかける。ここで、日本からもってきたお土産の面白消しゴム(イワコー)を取り出して彼にプレゼント。初めて見たらしくて大いに驚いていた。そこへ、ウェイトレスがやってきて、「それなあに?」「消しゴムさ」「え〜!消しゴムなの!」と友人がちょっぴり自慢げ(笑)。ペンネ・アラビアータはなかなかイケた。

初めてのトロントの地下鉄(TTC)

お腹が膨れたので、さて、次は…ってことで、CASA LOMAに行くことにした。電力王が立てたお城のような邸宅のようなお城のような…建物で、今は内部が見学できる。ここへ行くには、TTC(地下鉄)でDupont(デュポン)という駅へ行き、そこから数分歩く。とりあえず、ここまでは雨にはあっていない。

トロントの地下鉄に乗るのは切符ではなくTOKENが必要だ。丁度DIME(10セント硬貨)と同じサイズなので、非常に紛らわしい。どこで買うのかと友人に尋ねたら、持っているからあげるよ、ということでCA$2.25のTOKENを一個くれた。これを自動改札の小さなコインスリットに入れて、遊園地のゲートにあるようなゲートを手(あるいは足か腰かお腹か)で押しながら中に入ればそれでおしまい。

これまで海外で地下鉄なるものに乗ったのは、香港についでここが二度目だが、日本の地下鉄ホームがいかに明るくて安心感があるかよくわかる。TTCは路線にもよるが、平均的には安全であるが、電車を待つのはやはりホーム中央の一番明るく監視カメラがあって車掌の乗っている車輌(日本と違って車掌室が編成のなかほどにある)のとまるあたりが一番安全だという。実際このあたりには 天井から「DWA」という黒地に白文字の大きな看板がかかっていて、近くには非常通報装置もある。DWAとはDesignated Waiting Areaの略だ。

ちなみに、地下鉄は路線図の色でいうと黄色でU字路線のヤング・ユニバーシティ・スバダイナ線というのがおそらく観光客に一番使いやすく安全度が高いのだそうで、横に走るBloor線の延長のよういなスカーボロウ線が治安が悪いというのは友人の話。路線図で言うと青(緑じゃない)の短い区間の線のあるこの地域そのものが治安が悪いのだそうで、友人にも何故だかわからないけれど治安が悪く(gangsterが多い)、とにかくあそこは行かないほうが良いということであった。

CASA LOMA

地下鉄でデュポンの駅を降りて北に5分ほど歩くと、途中右手にToronto Archiveという公立資料館を右手に見て、さらに進むと小高い丘が正面に見えて信号を渡ると石段で登れるようになっている。ここが地下鉄から降りたらCASA LOMAへ行く最短距離である。この石段を上りきったところからダウンタウンが一望できて周りは緑がおおくとても気持ちよい。

入口で入場料CA$12を支払うと中に入れる。中では必要に応じてオーディオガイド装置が借りられる。英語、フランス語は当たり前として、日本語もリクエストすれば可能だ。ためしに日本語にセットしてもらって借りてみたが、たまたま筆者の借りた機械が悪かったのだろうが、ボタンを押しても反応しなかったり、二度押しになってしまったりして、なかなか言うことを聞かない。彼に言わせると「それがカナディアン・テクノロジーさ、メイドイン・ジャパンじゃない」ということらしい。これは皮肉ではなく、彼自身は五年ほど日本で生活し、日本が好きなカナダ人だから、マジでカナディアン・テクノロジーを嘆いていると同時に、日本の電子機器が壊れにくく正確に動くことを心底うらやましく思っているのだ。ちなみに、彼の車は日産(Made in USAではなくMade in JAPANのほうのNissan)で、パソコンは東芝のラップトップだ。

この石段を登ると左手にCASA LOMAが見える 家というよりお城!
塔へ登るための非常に狭い螺旋階段 塔はオープンエアーの塔と窓付きのと二つある
塔の上からは絶景が広がる 城の中は実に広くて、足が棒になる

このCASA LOMAは1階〜3階と二つの塔、それに地下の一部と地下通路と地下通路で行ける厩などから成っている。見かけはさほどでもなさそうだが、中に入って各階の部屋をみて説明を読んだりしていると、想像以上に時間がかかり、想像をはるかに超えて足が棒になる。"This is pretty bigger than I thought."なのである。想像以上にでかいという奴だ。なんせ部屋数だけでも100近くあるのだから…。ゆっくり見学したい方は、朝一番で入るかランチ後一番に行かねばならないあろう。

3階からさらに塔へ上がってゆけるが、この螺旋階段が恐ろしく狭くて急峻なのである。二人は絶対すれ違えないので、だれか降りてきたらその人がおりるまで待って上る、上ってきたら上り終わるまでまって降りないとダメなのだ。結構息が切れるくらい急だ。

片方の塔はオープンエアーでトロント市内が絶景で見えるし、もう片方はオープンエアーではないが、窓からまた違った景色が見える。入場は4時までだし、ちゃんと見ると想像をはるかに超えて時間と体力を使うので、午後食事を終えて一番に行くのが良さそうだ。

さすがに1〜3階と2つの塔を見たら本当に足が棒になった(My legs are killing me.)なので、地下のカフェで休憩。筆者はダイエットスプライトの355ml(なぜ350mlじゃない?)をCA$1.25で買う。ステイオンタブのプルトップをあけたが、ありゃりゃうまく全開しない。これもカナディアン・テクノロジー?(友人は "That is Canadian technology, too"だと皮肉っていた)。仕方なく持っていたペンで上から押して残りをあける。

実物はかなり雄大である 実に美しい城だ

これで見学が終わりではない。ワインセラー、地下のプール(こちらはこの城を建てたH.ベラット氏が破産したため未完成で終わった)と、800ftほどの地下通路を通って行ける厩(stable)がある。ワインセラーは千数百本以上もストックできるのだというから驚き。また厩というと粗末な小屋を想像するが、これがどうしてゴージャスなものなのであるから、これまたびっくりだ。

見学を終えて外へ出たら17時前。すでにとっくに入場は終わり(16時まで)、日本で言えば夕方の気配が漂うはずだが、この時期20時になっても日本の夏場の18時くらいの明るさ(日没は21時前)なので、まだまだ真昼間である。

イートンセンター

さて、これからどうしよう。とりあえず、私はダウンタウン最大のショッピングモールであるイートンセンターへ行くことにした。イートンセンターは北の端が地下鉄のダンダス駅、南の端がクィーン駅(どちらも宿から歩いて行ける範囲)で、CASA LOMA最寄り駅のデュポン駅からダンダス駅まで行き、そこからイートンセンターを抜けて中のどこかで食事をして宿へ戻ることにした。

TTCはセント・アンドリューを過ぎると90度カーブ、U字型の底にあたるユニオン駅を過ぎてもう一度90度カーブがあり、このときに耳をつんざく金属音がする。彼もダンダス駅まで一緒に言って、イートンセンターの中で分かれることにした。

日本ならイートンセンターのような巨大なショッピングセンターと接続されている地下鉄の出口(地下通路)は派手な案内やらにぎやかな装飾でそれとわかるが、ここは文字案内が貧相にあるだけだ。そういえば、彼が言っていたのは、カナダという国では公共の場での絵表示が少ないという。なんでも文字。時には英語だけ。さすがにSEARS(イートンセンターの中にある6F建でかつてはイートンという高級デパートだったが、倒産してSEARSとなった)の中はトイレなど絵文字があるが、確かに大抵のところは文字表示だけで、下手すると矢印すらなくて、DOWNとか書かれているだけでこれはかなり不親切。

イートンセンターの中にはフードコート(出ました!)が二つ有り、北の端と南の端だ。北の端のほうはあまり大したことがなくて、南のほうが良いのだと彼に聞いたので、南のほうに行ってみることにして、ここで彼に礼を言って翌日はナイアガラへ行く予定で(天候にもよるが)8時半に彼に電話することを約束して分かれた。ちなみに後日確認できたのだが、確かにいつみても南のフードコートは混んでいて北のフードコートは空いているのだ。また週末のイートンセンターは非常に混雑するのでスリには注意ということだった。

夕食

このサウスフードコート内の中華(Manchu WOK)で、

を頼んであわせてCA$8.25。ビーフは黒胡椒が良く効いているけど美味しい。中華を選ぶのは温野菜が沢山食べられるからで野菜を取らねばイカンぜよ。味は全体的に薄味だが結構いい。

ふう、お腹も一杯になったので、Younge St.を南に向かってホテルに帰ることにした。とりあえず、足が疲れたけれど、とても楽しい二日目(体感的には一日目だが)だった。

(第2日目終了)

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