現地第三日目 (現地時間2004-05-23[日])
天候:曇り時々雨、ところにより激しい雨、夜は雷雨

天気が悪い

予定では、今日ナイアガラへ行くことにしているのだが、昨夜からの天気予報では "Thunder storm" (雷雨) だという。「やだ、やだ、ぜったいナイヤガラへ行くんだ〜」と駄々をこねる子供の気分だ。確かに昨日の夜も雷がなって結構な勢いの雨が降っていたからねぇ…。

7時30分頃眼が覚めて、でかいクィーンサイズのベッドを独り占めしている状態から抜け出す。これくらいでかいベッドに一人で眠れるってのは楽チンだと実感。

夜の間にそれなりに雨が降ったようで、窓から外を見ると、道路が濡れているではないか。そらを見てもどんよりと曇っており、天気の回復は望めそうもない。

8時頃昨日と同じ食事をとる。

これ5食もとったら飽きるよ〜ん。でも、やはりクロワッサンもどきはマア美味しいほうに入るかな。食事を終えて部屋に戻り、8時30分頃になって約束どおり友人に電話。こうやって電話の時刻にも正確なのは筆者が日本人だからだろうか。

ナイアガラへ

天候は今のところ雨は降っていないが晴れ間は見えず曇り。といっても、やはりナイアガラへ行きたいので、天気が悪化しないことを祈って「ナイアガラに行こう!」と私がリクエストしたので、友人が車でホテルに立ち寄って私をピックアップしてくれることになった。

今日はセーターを持ったほうが良いかもしれないので、スーツケースからハーフジップのセーター(筆者はハーフジップのセーターが大好きだ)を取り出してナップザックに入れてロビーに下りる。ロビーでいろいろな観光パンフレットを見ているうちに彼が日本製造の日産にのってやってきた。

ここからナイアガラまではおよそ1時間強のドライブだ。最初は曇っていただけだったのに、途中からハワイ島のボルケーノへのドライブを想起させる凄い雨になってしまい、「ひぇえ」状態。しかし、トロントからナイアガラまでは100km以上あるためナイアガラへ行けば雨がやんでいることを二人で期待しつつ車を進める。というか、進めるしか無い。

彼によればカナダのハイウェイは手入れも悪くでこぼこが多い。それに比べれば日本やイギリスのハイウェイは手入れが行き届いていてとても素晴らしいという。また、高速道路の案内標識がカナダではどこでも極めていい加減で、四車線あるのに方面を示す標識の矢印は三車線分しかなくて、どれがいったい行きたい方向への車線なのか、とくに真ん中の車線を走っているドライバーはそれがよくわからないまま分岐に来てしまい、あわてて方向を変えて事故を招くケースが少なくないという。

観光客でレンタカーを使うときは、しっかりしたナビゲータと地図は必須。地図を読めない人を助手席に乗せてはいけないのである(笑)。実際問題、運転は上手だけれど道が分からないドライバーと地図が読めないナビゲーターの組み合わせよりは、運転は普通なドライバーで地図と標識と周りをしっかりみているナビゲーターの組み合わせのほうがずっと安全だといえる。

Oh! My God!

原因はわからないけれど、今回も、往復で二度の派手な事故の発生直後を目撃してしまった。幸いどちらも反対車線で筆者たちの車が事故や渋滞に巻き込まれることは無かったが、車が横転しておりレスキューなどが来ていてなんとも恐ろしいことだ。

また、本来は中央分離帯側の車線は追い越し車線であるが、渋滞しているわけでもないのに、どのドライバーも追い越し斜線であろうが、走行車線であろうが何も気にせず同じ速度で走るという。彼に言わせれば、カナダやアメリカのドライバーは、とにかく考えないという。まずはまっすぐ走ることだけ。信号が赤なら止まる、青なら走る。日本で教習所で習うように、ある事象が起こったら次に何が起こるかを予測して論理的に考えて運転するようなことをしないのだという。"Canadians are very bad drivers!"というので、「あんたもカナダ人ジャン」というと(笑)、"Yes, I'm a bad driver."という(おいおい)。それじゃ人のこと言えないジャン。それに比べたら日本やイギリスのドライバーは非常に良いという。

ともあれ、レンタカーを借りてカナダのハイウェイを走ろうとする方は、ハイウェイの案内標識などあてにせずに、しっかりした地図と信頼できるナビゲーター(大抵は夫婦や恋人の片割れであろうとは思うが)をとなりに乗せることだ。そうでないとあらぬ方面へいってしまったり、それにあわててしまい事故を起こしたりするので要注意である。

ナイアガラ

さて、トロントからナイアガラまでハイウェイを経由しておよそ1時間のドライブを経たあと、天候は晴れないまでもどうにか雨が降らない程度には回復したのが幸いだ。車を有料駐車場に止めて通りへ出るとびっくり!なんと、なんと、ミニ・ハリウッドみたいになっている。1812年アメリカが当時英国領だったカナダ侵攻したが、ついに現在においては愚かで退廃的なアメリカ文化面でナイアガラも侵略したか…と彼と嘆きあう。"Stupid Americans!"と彼は日本では決して見せなかったアメリカへの怒りをあらわにする。

Niagaraの雄大な自然にカジノやハードロックカフェは無用の存在であり、汚らわしい限りだ!

実際問題、アメリカ以外の国に行ってわかるのは、とにかくアメリカ人やアメリカを嫌う人がいかに多いことかということだ。これは日本に居るだけ、あるいは日本からアメリカ圏(サイパン、グアム、ハワイ、USメインランド)に行くだけでは決して理解できない感情だし、英語学校でもアメリカ人講師が多い大抵の英語学校では感じることのない感情だ。

後日事故を起こしたダブルデッカーのバス

日本人がなぜここまでアメリカに心理的に無抵抗なのか。あれほど退廃した国にここまで無抵抗なのは、やはり日本も退廃している証拠かも知れぬ。

筆者はハワイが好きだが、それはアメリカだからではなくて、ハワイだから好きなだけだ。ハワイはハワイであるべきでアメリカになってはいけない。ハワイアンの心の嘆きがなんとなく分かる気がする。そんなことを考えながら、ナイアガラ川のほうに降りてゆくと、二つの滝が見えてきた。小さくて貧相なほうがアメリカ滝(ざまぁ見ろ!)、でかくて壮大なほうがカナダ滝(えっへん!)だ。まるで規模が違う。カナダ滝はU字型で実に壮大である。

夢にまで見たナイアガラを始めて見たしばらく動けず、ようやく気を取り直してデジカメで撮り始めた。さすがにトロント在住で知り合いが来ると案内している彼にとっては珍しいものではないが、しかし、それでも来るたびに感動するという。

ナイアガラをあまり大金を支払わずに上から見る方法は、タワーに上がることだ。ミノルタタワー(カナダ滝の直ぐそば)かスカイロンタワー(滝からちょっと離れるが高さは高い)があるが、今日は雲が低くて下からみるとタワーの展望台が見えないから、それはbad choiceである。

Maid of the Mist

ということで、まずは船に乗って滝つぼをクルーズする"Maid of the Mist"だ。税込みでCA$14と何がしかを支払ってチケットをもらう。エレベーターに乗って下に下りると、そこで青いビニールのゴミ袋をくれる。いや、正確にはレインジャケットだ。これがないと頭からびしょぬれになってしまうこと間違いない。だが、これを被るとまるでゴミのようでなかなかヘンなのであるが、筆者たちもこれを被ってゴミの一つになる。ちなみに、上から船を見ると、青いゴミ袋に入ったゴミを沢山乗せているゴミ運搬船のようで二人して大笑い。

貧弱なアメリカ滝 非常に大きなカナダ滝
Maid of the Mistを上から見る 青い簡易ビニル合羽をかぶる
背後は加米を結ぶレインボーブリッジ 多数のカモメが滝つぼを飛ぶ
ほとんど滝にのまれそうな Maid of the Mist … (^_^;
上から見るとまるでゴミ運搬船だ (^O^; ミノルタタワーの展望台も霞がかかっている

船はまず貧相な滝、いや、失礼、アメリカ滝のそばへ行く。ここは流量もさほどではないようで水しぶきも大したことはない。アメリカ滝のほうは滝の直ぐ横まで階段みたいなものでおりられるようで、やはり観光客が見えたが、そうやって見ているのは国境の向こうのアメリカであり、筆者がいるのは違う国のカナダなのだ。

船はここからカナダ滝に向かう。途中からまるで台風の中のようになり、さすがに防水でないかぎりカメラを出す馬鹿はどこにもいない。水が落ちる滝の音もものすごいものがあって、こりゃ落ちたら生きて戻れないわ、と思う。だが、この"Maid of the Mist"でナイアガラの滝をまじかで見られるという人生の夢の一つがかなってとってもハッピーである。このものすごさ、自然の雄大さにはもう言葉も出ない。

船から岸に戻って建物のほうに戻る途中で気づいたのだが、待ち行列をつくる部分は何十にも蛇行して待てるようになっており、彼によれば夏場は最悪で1時間以上待つことだって当たり前だという。今はハイシーズンではない、天候も朝から雨(幸い筆者は屋外では雨にあっていないが)で人も少ないという。実際、待ち時間なんてまったく無かったといってよい。

建物に戻ると例によってギフトショップだ。さすがにここではちょっと何か買ってゆきたいので、いろいろ見た結果、絵葉書(CA$0.65*3)、キーチェーン(CA$3.98、CA$5.98、CA$1.98の三つ)、冷蔵庫のマグネット(CA$2.98*2)を買う。

JOURNEY BEHIND THE FALLS

カナダ滝を真横から見るが、轟音が凄い!

上まで戻ったので、今度は滝を眺めながらボチボチと歩いて別のアトラクションに向かう。途中で滝を見下ろすホテルがあるのに気づくが高そうだにゃぁ。

で、そのアトラクションというのはカナダ滝を裏から見るツアー "JOURNEY BEHIND THE FALLS"だ。こちらは、入場料が確かCA$10だったかな。やはり入場券を買って中に入ると、今度は黄色のゴミ袋じゃなくてレインジャケット。やはり同じように頭からすっぽり被り、エレベータで下へ降りる。

降りたところはまず最初がカナダ滝の真横の展望台。ものすごい水しぶきと轟音だ。こりゃ凄い。遠目で見るのとは違った迫力がある。トンネルと通ると、裏から滝が見えるところが二箇所あるが、どちらも、そりゃもう凄い。凄いというより恐ろしい。水ってなんと恐ろしいものなのだろうか、と怖くなるくらいだ。

時刻は午後1時前。さすがにお腹が減った。"JOURNEY BEHIND THE FALLS"の入口建物のカフェからメープルシロップのいい香りがしてきて、"This flavor makes my mouth water."の状態なので、行きたくは無いがミニハリウッドのほうへ向かう。

ランチ

結局選んだのは、彼が来たことがある"Mama Mia's"というイタリアンレストラン。ここはミニハリウッドの端にあり、ちょっとその喧騒からは逃れられ、店内は静かでとても居心地がおく、『超オススメ』レストランだ。筆者は次のものを頼む。

値段はいくらだったかなぁ、確か十数ドル以上二十ドル未満。料理も美味しくて、ゆっくりできて落ち着けるこの店は、騒々しい愚かなアメリカンなレストランモドキが嫌いな人にはオススメだ。カジュアレストランならイタリアン、フードコートならチャイニーズかコレアンが比較的はずれが少ないといえる。

NIAGARA ON THE LAKE

ナイアガラの滝を経てナイアガラ川はオンタリオ湖に注ぐわけで。その河口付近にある小さな町がNiagara on the lake(ナイアガラ・オン・ザ・レイク)だ。ナイアガラからは車でしかこれなくて、さらに途中の緑豊かな住宅地が実に美しい。心安らぐとはこういう風景を言うのだろうか。Niagara on the lakeという小さな町は、ニュージーランドのオークランドで言えば、パーネルビレッジをちょっと大きくした雰囲気というとまさにぴったり来る。小粋でお洒落ショップが道の両側に立ち並び、歩いて回るには丁度良い。ここのある店で、ビーニーベービーのムース(鹿の一種)を買ってCA$8.04なり。これ、日本では見たことがない。

Naiagara on the Lakeの街の外れの美しい建物 ナイアガラ川河口のUSA側にあるFort Naiagara

この町のはずれ、ナイアガラ川がオンタリオ湖に注ぎ込むところに公園(Queen's Royal Park)があり、彼がここへ連れてきてくれた。とても静かでナイアガラ川の向こうはアメリカだ。そのアメリカ側の岸に小さな城のような建物(Fort Niagara)がありそれがとても幻想的だ。非常に静かで時が立つのを忘れるくらいだ。時計をみると16時前。ぼちぼち引き上げたほうが良さそうだ。天気予報と来る途中の豪雨にもかかわらず、ナイアガラでは雨にあうこともなく非常にラッキーだった。

再び彼の日産に戻り途中で給油。価格は1LがおよそCA$1と安くない、カナダは石油は自給できるのにその価格はアメリカより高いというがそれは全て税金の高さに由来するという、国境を越えてアメリカで給油するほうが安いのだそうだ。その後ハイウェイをトロントに向けて走るが今度は雨は降りそうもない。

友人の実家

実はナイアガラからトロントに戻る途中に彼の両親が住む家があり、彼は毎週末には帰っているらしい。どうだ、寄ってみるか?というので寄ってみることに同意した。まさか嫌ともいえまい(嫌じゃないです、実際には)し。

ここで彼の両親にお目にかかるが、とても気さくな人で、以前日本に遊びに行ってから日本の大ファンになったという。友人のほうはもともと筆者の英語の先生ということもあって、多少言葉に手加減しているフシがあった(あったという過去になっているのは、この二日間一緒に過ごしたことで普通に喋るようになったことがわかった)が、両親のほうは容赦ないネイティブ相手の英語。まあ、言っていることはかなりわかるからいいけれど、まあ、こちらが口を挟む暇も与えずよく喋るわ。

居間に日本の急須と湯のみが飾ってあった(使うわけではなく飾り)ので、それについて聞くと、ここから日本びいきの話が始まり、さらに自分が感じた日本人の美点とそれに比べてのカナダ人の悪い点を延々喋りまくる。友人のほうはといえば、また始まったと、そ知らぬ顔でお母さんと話をしている(笑)。

そんなこんなで、彼の両親とも話をして、家の中も見せてもらい(日本人と違って客に自宅を見せるのが習慣だ)、バックヤードも見せてもらった。バックヤードはかなり綺麗に作られていて手入れも行き届いているので、それを素直にほめたらお母さんがたいそう喜んでいたので、なるほどこれはお母さんが手入れしているのねとわかった(笑)。実は、ここでは両親に夕食を薦められたが、彼も私もお腹がまったく空いていないので二人とも辞退して飲み物(ソフトドリンク)だけを頂いた。

トロントで夕食

さて、トロントには順調に戻り(途中でまたしても反対車線で派手な起こしたてホヤホヤの交通事故を目撃)、20時ごろトロントについたがまだまだ明るいのでびっくりだ。ここでまず、彼のアパートに立ち寄り、車を置くことになった。部屋を見せてもらったが、男の一人住まいにしてはまあ綺麗になっている。夜はどうしようかということで、彼の行きつけのダウンタウンのレストラン(Hot House Cafe)に足を運んだ。

注文したのは…

で$16也。味は結構良くてシーザーサラダが美味しかった。かなりお腹が膨れたので、彼はピザの半分を、私もバーガーの半分(最初から半分に切ってあった)をお持ち帰り(結局ホテルでも二口ほど食べただけだけど)。食後の紅茶を飲んでいたら、またしても昨夜と同じ雷雨になった。

雨の中ホテルへ…

この雨ってのが、がーっとふってしばらくすると小雨になってまたしばらくするとがーとくる。結局、いつまでまっていても仕方ないので、途中雨宿りしながら、なんとかホテルにたどり着くが結構濡れたけど、気にしない。ジャンバーは直ぐ乾くし、ズボンにはその夜のうちにアイロンがけして、再びピシッとさせる。

こう書くと実にあっさり帰ったようだがさにあらず。まず、途中で、またしてもガーッと降ってきたので途中の建物で雨宿り。さすがに夜22時近くでひどい雨の歩く人もほとんどなく、さすがにちょっと心細くなって、思わず公衆電話は近所にあるかと見回したりする。数分待つとかなり小降りになったので、またしても歩き始める。

本当は先のレストランから次の信号(1ブロック分)を右折すればそこにホテルが見えるのだが、雨だったことと、やや心細くなってあせっていたこともあって、曲がるべき信号のところをそのまま道なりにまっすぐいってしまい、ふと横を見るとCNタワーが夜の雨に煙っている。

ありゃ、こりゃ、行き過ぎだわ。ってことであわてて引き返し、ようやく正しい交差点を見つけて、曲がる後すぐそこにHotel Vitoriaがあった。正直なところ、「ああ、よかった…」って気持ち。

ともあれ、今日は天気は悪かったがナイアガラでは雨にあうこともなく、待ち時間もゼロで実にラッキーであった。ナイアガラに友人の両親とも会えたとても思い出の多い一日となった。おそらくこの一日を忘れることはないであろう。

(第3日目終了) 

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