現地第四日目 (現地時間2004-05-24[月]Victoria Day)
天候:曇り時々雨、夜は雷雨

ビクトリアデーの朝

今日は、月曜日だがビクトリアデー(ビクトリア女王の誕生祭、こういうところにも米国と違って英国の風が感じられる)でNational Holiday(祝日)だから、やっぱり世間も休みである。この三連休がカナダでは夏のバケーションの始まりを告げる。北のほうにロッジなどを持つ人(結構多いようだ)は、この三連休で北に行ってこれからのサマーバケーションに備えて冬の間閉ざされていたロッジを整備するのだそうな。

筆者はといえば単なる旅行者だから、そんなはずもない。今日はとりあえず一人で過ごすことにしている。天気予報では相変わらず雷雨だったのだが、朝7時半過ぎに起きたときには地面は濡れていたけれど、雨は降っていない。

いつものように、まったく変わらない(代わり映えがしないという言葉を通り越して、まったく完全に同じ)コンチネンタルブレックファストで朝食を済ませたのが9時半ごろ。

さすがに飽きたから平日の明日はどこかのカフェで何か食べようか知らん。

まだ、どこへでかけるにも町の中とか近所なら少々早い時刻なので部屋でしばらくテレビを見ている。CNNよりBBCのほうがいいんだけど…とか思いながら、結局漫画を見たりして…。

FORT YORKへ向けて

ふと空を見ると、意外なことに日がさしている。このときを逃す手はないとそそくさとホテルを出たのが10時ごろだろうか。目指す先は、当初計画の最後に残ったフォート・ヨーク(ヨーク砦)である。

1793年に作られたというフォート・ヨークは、1812年にアメリカがカナダ侵略を企てたときにここで戦いが繰り広げられたということで、当時の様子が再現されているものだという。地図で見ると、Front St.Wの端っこでCNタワーからはさほどの距離ではなさそうだ。昨日は一日車だったので歩いていないから、今日は思い切り歩くことにした。

その前にまずユニオン駅を訪れる。宿からは本当に数分程度のところにあるのだが、中へ入ってみると実に広々として天井が恐ろしく高く美しい建物だ。1927年に立てられたというこの建物は、駅であるが中に居ると何か不思議な落ち着きを感じる。人口密集の東京駅の喧騒とはえらい違いだ。

ここから、さらにFront St.Wを西に向かって歩き続ける。一つ目の陸橋を左手に見て、二つ目の陸橋が見えるとそこがT字路でFront St.Wはここで終わる。その陸橋を渡った向こう側がフォート・ヨークである。わたって直ぐに入口があるように見えたので、そこへ入ってみると注意書きがあって「ここは利用者の便宜のためにあけてあるが、ビジターは必ず正面に回ってCANTEENで券を買うように」とある。

仕方なく、ながっぽそいフォート・ヨークの長辺を延々あるくハメになった。だが、その長辺もまっすぐ行けるわけではなくて、カナダ陸軍の施設を迂回して行くので相当な距離になる。延々と歩いた後、ようやく見えてきたのが入口だ。いや、これは想像以上の距離だった。

Front St.の突き当たりでこういう光景が見える 入口らしい橋を渡ると…
要するに入口じゃない!ひぇ〜! 延々遠回りをしてようやくたどり着いた入口
遠くにCNタワーが見える入口 残っているのは兵舎の建物ばかり
広いのは広いですが面白いかどうかは…? 仕官食堂

はっきり言って砦跡だから周囲に小さな城壁と中にいくつかの建物がある以外は何もない。敷地内では当時の兵隊の服装姿の人が、丁度ガイドツアーの説明を始めていたところだった。しばらく聞いていたが、いつのまにか上にあった青空がなくなり雲が厚くなってきた。もしここで降られたら、屋外しかないので逃げようがない。あまり面白ものでもないので、早々に退散することにした。

街を歩く

帰りもまた延々遠回りするのは嫌なので、さきほどの入場禁止(だけと出場禁止とはどこにも書いていない)から出て街に戻ることにした。戻りは近道をしたので、街までは近い。今度はFront St.Wではなくて、もう少し違う道を戻ることにした。トロントのダウンタウンの道路は正確に碁盤の目のようになっていて、まっすぐいっているつもりがいつの間にかヘンな方向に向かっていたという東京のようなことはないからありがたい。

市内を走るStreet Car. 市内には数多くの古い建物が残っている

ダウンタウンの住民の日常風景を眺めながら歩いているのは実に楽しい。いろいろな発見がある。こんなところを歩く酔狂な観光客はまず居ないので、皆さん地元民ばかりだ。アパートの玄関が開いて、犬を連れ出して散歩に連れ出す人もいて、普通の休日の街の風景そのものである。こういう風景が大好きなんだなぁ。

そんなこんなで楽しんで歩きながら戻ってきたら、途中の歩道が真っ白になっている。まるで雪が積もったような感じ。ええ?五月だよぉ〜、それもこの部分だけ?と思ったら、雪ではなくて綿だった。

なんだろう、ビクトリアデーの催しかなぁ?と、怪訝に思いつつさらに歩くと、教会というかカセドラルの横で氷を削って人工雪を降らせていて、さらにでかいファンやらライトがあってインカムをつけた人がわんさか居たので、どうやら映画の撮影のようだ。わくわく、何の映画だろう…と思って、しばらくそこで見てみることにした。

周囲を見ると、休みであることも手伝って、物好きな通行人が回りを取り囲んでいたが、筆者もしばしその物好きの一人になっている。しばらく見ていたけどすぐに撮影が始まる様子もないので、ここをあとにして、さらにイートンセンターに向けて歩みを進めた。

EATON CENTRE

土曜日にイートンセンターに来たときは、CASA LOMAの後でくたびれていたし時間も無かったのでゆっくり見なかった。というのも、週末で非常に混んでいる(東京住まいの人間が混んでいるというから間違いなく混んでいて、東京に長く在住していた経験がありトロント地元の友人に言わせてもやっぱり混んでいる、あきれるくらい混んでいるというから間違いなく混んでいる)のには驚いた。

ハワイのアラモアナセンターと同様ここもやはり上に行くほど高価な商品を扱う店になり、上に行くほど人通りが相対的には少なくなる。3rdレベル(ストリートレベル=地上階の一つ上)では空いていたが、1stレベルはえらく混んでいたのには、混雑になれた東京都民の筆者ですらあきれた。

ランチ

ここのサウスフードコートでお昼の予定で時計を見ると時刻はおよそ12時半。一通り回って迷った挙句、よせばいいのにスパゲティにした。

うーん、食べられるけど、フードコートでパスタは食べちゃいけないものの一つだと実感。レトルトの安物のミートソーススパゲティって感じを想像してもらえば近いかもしれない。KoreanかChineseにすれば良かった。これで税込みCA$9.65。うーん、なんだかなぁ。

EATON CENTREの続き

味は別にしておなかは膨れたので、イートンセンターを端から端まで、1stレベルから3rdレベルまで一通り歩いてみる。3rdレベルには高級衣料品や装飾品が多く用がなさそうだ。1stレベルか2ndレベルあたりまでが面白い。

実は、ここで傘を入手しようかと思ったのだが、はて、外国で傘なんて買ったことがない。うーん、一体全体どこで傘を買えばよいのだ?雨のい多い日本では傘は必需品だし、何より日本人は濡れることを極度に嫌う(なぜだろう?)し、梅雨時や台風など濡れて許せるような雨ではないことが多いからか、傘屋なんてのも商売となりたっているし、デパートやスーパーにもそれなりに傘を集めた傘売り場ってのがある。だが、ここでは傘屋はない。結局、どこを探せばよいのかわからなかった。そもそも、日本の傘売り場のように派手に傘を展示していないのでからわからない。

次にシアーズのほうに入る。ここは昔はイートンズという日本で言えば三越のような高級デパートだったが倒産してシアーズになった。シアーズはアメリカのイメージでは安物デパートで、イートンズが三越ならシアーズはダイエーだと思えば間違いないと友人が言っていた(ダイエーというはオーバーではないか?)。

だが、イートンズの後をついだシアーズカナダは高級イメージを保ってなんとか成功しているそうだ。だから、アメリカのシアーズとカナダのシアーズでは消費者イメージというか、高級イメージがまるで違うのだそうだ。これは知らなかった…。全部同じかと思っていた。

ピロープロテクタを買う

ここのベッド用品売り場(寝具売り場)で、渡航前から買おうと思っていたもの、つまり、USキングサイズのピロープロテクタを探した。オーストラリアとかニュージーランドといった英国文化圏ではピローのサイズが違う、特にUSのキングサイズはあちらではピロー本体はもとよりケースもまったく見かけないので買いたくても買えないのである。日本で言えばベッドサイズのセミダブルピローなんてのもあるが、これまたポピュラーではない。

いろいろ枕なども見た挙句(さすがに今回は買わない)、見つけたのがただのピロープロテクタ(ピローケースとピローの間のカバー)のくせにCA$20以上もする。ええ!と思って、横の棚を見たら安いのがあって、さらに探したらSALEになっていたCA$4.16(税別)のものがあった。ラッキーってことでこれを二つ購入。

友人とティータイム

結構うろうろしたので、お茶を飲みたくなった。どうせならってことで、今日は一日家にいるといっていた友人に電話をして呼び出した(歩いても十分くらいでこれるから)。イートンセンター2Fの本屋Indigo(目の前がGODIVAのショップ)で落ち合うことになった。

ここで非常に面白い本を見つけた。"A Traveler's Guide to the Mars"という本。「火星旅行ガイド」というところで、つくり的にはFrommer'sをパロッたものだが、中身は立派な火星の科学書だ。こりゃ面白い!かわないと、ぜひ!でも、ちょっと分厚いな、帰ってからアマゾンで買うか…(後日調べたらやはらいアマゾンが現地より安くて1,875円)。そんなことをしているうちに、友人が現れた。

どこへ行こうか?そんなことを聞かれても困る。あちらはトロントに住んで一年半、こちらはたった三日なのである、知るわけがない。スターバックスはビクトリアデーでダウンタウンの主な店は全部休みだというところで、彼のオフィス近くの「カナダ版スターバックス」と友人が言う "Tim Hortons" に行くことにした。市役所(City Hall)のそばを通って、たどり着いたこの店(一人じゃいけないかも…場所が思い出せない、これが一人歩きをしないことの最大の欠点で、誰かに連れて行ってもらうと場所を覚えられない)は、休日ということもあって大変静か。ここでカプチーノと、カウンター後ろにあったドーナツからMaple dip(dipだがついているのがメープルクリーム)を頼む。

さすがにメープルディップなんて、日本じゃ食えない、おそらくカナダでしか食えないのである。妻はこの甘すぎるメープルクリームが苦手らしいが、筆者は大好きだ。だからメープルクッキーも大好き!美味しいじゃんか!カナダ大好きさ!Tim Hortons万歳!

ここでコーヒーを飲みながら、彼とゆっくり話を楽しむ。そうだ、丁度PCの中にオーストラリア旅行の写真と沖縄旅行の写真が入っているので、良かったらこないか?と誘ってホテルの部屋に行くことになった。ここからホテルまでは直ぐなのである。

ホテルの部屋で友人と過ごす

部屋に戻って中に入ると彼は驚いていた。なんせ外見はかなり古いのだがその割には中は新しい(改装された)のである。広い部屋でこの場所でCA$125ならお買い得だということだ。そりゃそうだろう、苦労して探したのだから…。で、PCを取り出して写真を見せ始める。説明しながら、見せてゆく。特にカンガルーに触れること、えさを与えることができることには大層驚いていた。

しばし、楽しい時を過ごしたあと、時計は18時前。当然真昼間のように明るくて、日本人的には時間の流れに気づかなかったというところ。今日はビクトリアデーでどの店も18時、早いと17時には閉まる。どこかいいところはないか?ということで教えてくれたのが、ハミングバードの向かいにあるShopsy'sというデリの店。デリだが普通のレストラン席もあってここで普通のレストランとして食べることもできる。あとは、やはりハミングバードセンターの近くの通り(エスプラネード)のあたりのレストランは夜遅くまでやっているし、Hotel Victoriaの横の交差点を渡って直ぐのMarcheという店も人気だと言う(実際外から見ると満席だ!)。実はこの店は外から見えるが、BCE Placeというビルに入らないと中に入れないのだ。

夕食はShopsy'sで

ビルに入ると結構Marcheは相当に広い店であることがわかったが、かなりの混雑ぶり。ビクトリアデーということもあろうか。あまりに人が多いし落ち着かないので今日は素直にShopsy'sに入ることにした。入口付近には浮浪者が居て煙草をねだってくる。こういうときは無視するのが一番だが、何かいうなら "I don't smoke."かもしれない。実は、別のシチュエーションでは友人がこういっていた。無視すりゃいいのに…とも思うのだが。

さて、Shopsy'sだが入って左がデリ、右がレストランになっていて、レストランの席に案内してもらうために待っているとウェイトレスが来て席に案内してくれた。実のところ、ディナータイムにレストランに一人で入るのは初めてだ。別に怖いわけではなくて、これまではカップルとかグループばかりだったので気が引けていたのだ。だが、そんなことをいっていては成長できない。

しばし、メニューを眺めたあと次のものを頼んだ。

以上をを頼んで(ちなみにこれで会計はチップ別でCA$16.64)、ゆっくり店内を見回す。ビクトリアデーということで皆さん逆にこういう店にはあまり来ないようだ。留学生らしい女性二人連れとか、友人通しらしいグループ、男性一人客がほかにも一組。あとはぼちぼち。

B.L.T.は想像していたほど馬鹿でかくは無くて一安心。フレンチフライ(これは不要だが)、ピクルス、コールスローがついていて結構いける。ガーデンサラダは、まあ、サラダの味(当たり前)。

ドレッシングを何にするか?と聞かれて、"What do you have?"(何がある?)と聞くと、でました、でました、次から次へと名前が出てきて、聞き取れてもなんじゃそりゃ?ってのもあったりして(笑)、結局素直にフレンチにする。"French is fine"と返して、出てきたのは日本で言うサウザンアイランド風。そうなのよね、知っているけど、フレンチを頼んで日本風のフレンチが出てくることってまず無いってのがこれまでの経験。

チップの払い方の知恵

一人だが食事をゆっくり楽しみ(やはりこうでなくては!明日もレストランにしよう)かなり満腹になって、会計伝票を持ってきてもらう。チップは15%が目安だが、どうやって計算するか?オンタリオの場合は税金は合わせておよそ15%なので、税額と同じだけ+αを目安に切りの良い額をチップにすれば良い、というのが友人のアドバイスだった。なるほど、なるほど。頭いいやつーか生活の知恵?

ところが、チップ込みで支払うには手ごろな額の小銭が無い。大銭にするとチップが多すぎる。こういうケースで悩んでいる日本の観光客が多かろう、筆者もその一人であった。では、どうするかというと、これは友人からも教わったけれど、とにかく一旦つり銭をもらう。そうすると、チップを含まないだけのつり銭を持ってくるから、そこからチップ分をテーブルに残せば良いのである。なんのことはない、考えれば単純な話でこの技は読者諸氏はハワイでも使えるので覚えておくと良い。けれど、冷静に考えると、いくらいくらのつり銭をくれといって、チップを含んだ金額の差し引きをつり銭として要求する手もあるな。まあ、どちらにせよ、やっぱりチップのないニュージーランドや日本はいいね。

おなかも膨れたしまだ天気も悪くないので、このあたりを一回りしてホテルに戻った。到着してから金曜日〜日曜日まで友人と一緒だったので、ようやく今日一日が一人旅の一日目って気持ちだった。でも、ありがとう、友よ。あなたが居なかったらトロントには来なかったであろう。

(第4日目終了) 

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