現時点ではFoldタイプ、Flipタイプのスマートフォンには興味がないのですが、それでも新しいものには目を向けずにいられないのがガジェヲタの性(サガ)です。今気になっているのはmotorola razr 40 ultraです。なぜ気になるのかFlipスマホでは先輩となるGalaxy Z Flipと際立った違いは?
motorola razr 40 ultra概要
“razr”ってどう読めばよいのか?というのがおそらく最初の疑問ではないでしょうか?
モトローラの日本語公式サイトを調べると「motorola razr ラズル」と書かれています。
しかし米国の動画を見ているとGSMArena公式チャンネルでは「レーザー」と読んでいます。Laserとは出だしの音が「L」と「r」で全く異なりますが日本語表記しちゃうとレーザー。
日本市場でいうときは日本語公式サイトのように「ラズル」と読む方が通じやすいかもしれません。
公式チャンネル プロモーション動画 (1)
公式チャンネル プロモーション動画 (2)
GSMArenaのレビュー動画 (英語のみ)
モトローラのスマートフォンといえば起動時の「ハローモト」です。迷惑・ウザイ・ダサイという声も多くあるようですが筆者は結構好きだったりします。
2022年4月からしばらくmotorola edge 20を使っていた時期がありまして、この「ハローモト」が存外筆者のハートに突き刺さりました。motorolaとは昔々マイコンと呼ばれていた時代のCPU MC6800やMC6809からの長い?お付き合いで、スマートフォンとしても非中華であり好きなメーカーです。
スペック比較
スペックで気になるところだけ比較してみます。
データはメーカー公式サイトとGSMArenaを参考にさせていただきました。基本的には日本仕様のものを掲載しています。
razl 40 ultra | Galaxy Z Flip4 | Galaxy Z Flip5 | |
---|---|---|---|
発売日 | 2023年8月予定 | 2022年9月 | 2023年9月予定 |
扱いキャリア | docomo、au、Rakuten | docomo、au、Rakuten | |
価格(SIMフリー) | 155,800円 | SIMフリーなし | SIMフリーなし |
サイズ(折りたたみ時)[mm] | 88.4 x 74 x 15.1 | 84.9 x 71.9 x 15.9-17.1 | 85.1 x 71.9 x 15.1 |
サイズ(開いた時)[mm] | 170.8 x 74 x 7.0 | 165.2 x 71.9 x 6.9 | 165.1 x 71.9 x 6.9 |
重さ [g] | 188.5 | 187 | 187 |
メインディスプレイ | Foldable LTPO AMOLED、165Hz、1400nits (ピーク時)、6.9”、1080 x 2640 | Foldable Dynamic AMOLED、 120Hz、1200nits (ピーク)、6.7”、1080 x 2640 | Foldable Dynamic AMOLED 2X、120Hz、1750nits (ピーク)、6.7”、1080 x 2640 |
サブディスプレイ | AMOLED、144Hz、1100nits (ピーク時)、3.6”、1056 x 1066、Gorilla Glass Victus | Super AMOLED、1.9”、260 x 512、Gorilla Glass Victus+ | Super AMOLED、3.4 inches, 720 x 748、Gorilla Glass Victus 2 |
CPU | SM8475 Snapdragon 8+ Gen 1 (4nm、TSMC) | SM8475 Snapdragon 8+ Gen 1 (4 nm、 TSMC) | SM8550-AC Snapdragon 8 Gen 2 (4nm、TSMC) |
Antutuスコア (v9) | 975461 | 800001 | 1200783 |
RAM / ROM | 8GB / 256GB | 8GB / 128GB | 8GB / 256GB、8GB / 512GB |
バッテリー | 3800mAh | 3700mAh | 3700mAh |
充電 | 30W (有線)、5W (ワイヤレス) | 25W (有線)、15W (ワイヤレス) | 25W (有線)、15W (ワイヤレス) |
Endurance(h) | 83h | 75h | 87h |
メインカメラ | 12MP、f/1.5、1/2.55”、OIS | 12MP、f/1.8、24mm。1/1.76”、OIS | 12MP、f/1.8、24mm。1/1.76”、OIS |
超広角カメラ | 13MP、f.2.2、1/3” | 12MP、f/2.2 | 12MP、f/2.2 |
動画 | 4K@30/60fps、1080p@30/60/120fps | 4K@30/60fps、1080p@60/240fps、 720p@960fps | 4K@30/60fps、1080p@60/240fps、 720p@960fps |
フロントカメラ | 32MP、f/2.4 | 10MP、f.2.4、26mm | 10MP、f.2.4、23mm |
Bluetooth | 5.3 | 5.2 | 5.3 |
USB | USB 2.0 | USB 2.0 | USB 3.2 |
生体認証 | 顔認証(2D)、指紋認証 | 顔認証(2D)、指紋認証 | 顔認証(2D)、指紋認証 |
防塵防水 | IP52 | IPX8(防塵性能非搭載) | IPX8(防塵性能非搭載) |
おサイフケータイ | 非対応 | 対応(Rakutenモデルは非対応) | 対応(Rakutenモデルは不明) |
Galaxyのほうの公式情報は以下のサイトです。
サブディスプレイの違いがコンセプトの違い
razr 40 ultraとGalaxy Z Flip 4/5との最大の差は折り畳んだ状態で見えるサブディスプレイでしょう。
昔のフリップ式ガラケーで折り畳んだ状態でミニディスプレイが見える機種がありましたが、Galaxy Z Flip 4のイメージとしてそれに近い。なにせ260 x 512という下手するスマートウォッチより小さな解像度になりますので、できることには自ずから限りがあります。
UnihertzのJelly Proという手のひらサイズの4Gスマホが240 × 432なので、それとほぼ同じ感じで横幅がちょっと広い方という程度。
何かの通知を見る程度にはいいですが、いろいろ使うには無理があり、Foldスマートフォンのサブディスプレイとは全く異なります。細かく情報を詰め込むと老眼には無理!…。
筆者の感覚ではGalaxy Z Flip 4/5はかつての折りたたみガラケーの高度発達版という感覚です。
一方razr 40 ultraは1056 x 1066というほぼスクエアディスプレイです。HDに必要な720×1280には届かないのが残念です。使い方としてはかなり普通のことができる感じですが、2つのアウトカメラ(メインカメラ+超広角)の中に大きく食い込んでいるのが良し悪し。
これによりメインカメラをつかって自撮りができるわけで、サブディスプレイの右下に大きめカメラがあるので、オンラインでビデオ通話とかするときに「お前どこみとんねん!」的な視線のずれ感が少なくなるはずです。オンライン会議で資料とかプレゼンされると小さくて見えないと思いますが、顔だけのビデオ通話ならメインディスプレイよりむしろサブディスプレイのほうがいいかもしれません。
解像度だけをみるといわゆるメインディスプレイ上部中央のアウトカメラのほうが遥かに高いという開発意図がどこにあるのでしょう?
筆者の憶測では、折りたたみではないrazr 40はメインカメラが64MPで背中側にあり、ディスプレイパンチホールのフロントカメラはrazr 40 ultraと同じ13MPなのでそこからきているの「かも」しれません。スペックだけみるとどちらも「32 MP, f/2.4, (wide), 0.7µm(GSMArena)」なので流用なのかも….。一瞬スペックを読み違えたかと複数日米サイトを確認したくらいで、フロントカメラがメインカメラの撮像素子より高解像度というのはレアケースかも。
razr 40 ultraの残念ポイント
日本人にウケるようにするには、次の4点が残念なポイントだと思います。
筆者個人としては防水性能の貧弱さとおサイフケータイ非対応なのが残念!です。
このサイズとしてはバッテリー駆動もかなりいい線いっていますしパフォーマンスもよい、ディスプレイは2つとも120Hz以上のリフレッシュレートでぬるぬるが期待できる。
防塵性能が貧弱
防塵についてはGalaxy Z Flip 4/5ともに非対応ですがrazr 40 ultraはIP5Xレベルです。
砂漠のど真ん中で使うわけではないので防塵性能についてはさほど重要ではないように思いますが、気になるといえば気になるところ。このあたりがスペック重視傾向が強い筆者のようなヲタクに対してネガティブなイメージがあります。SamsungなのだからやはりIP68対応にしてほしいかも。
Flip式のようなちょっと変竹林なスマートフォンに目が行く人はスペックも気にするでしょうし、なにより日本人が大好きなスペック横並び比較にしたときにマイナスポイント。
防水性能が貧弱
Galaxy Z Flip4/5は防水としては最高水準のIPX8(保護の程度は「水面下での使用が可能」であるが実際に使えるかどうか別問題、顔を洗っていて洗面に落としても壊れない程度と思っておくべき)ですが、razr 40 ultraはIPX2とかなりしょぼい。IPX2の保護としては「垂直より左右15度以内からの降雨によって有害な影響を受けない」とされていますので、パラパラ雨なら濡れても大丈夫だが強い風雨ではだめよんみないな感じ。水ぽちゃしたら壊れます。
motorolaのスマホの日本人的欠点の一つが防水性能の弱さ。日本メーカーのモデルならエントリーモデルでもIPX8くらいの性能は珍しくないのですが、motorolaから過去24ヶ月以内に日本で発売された機種でIPX2以上のものは少なくて、edge 40、g52jだけのようです。
正直なところmotorolaは余計な手間のかかる日本市場に食い込むつもりはなさそうです。
おサイフケータイ非対応
海外メーカーのスマートフォンにはおサイフケータイ非対応がおおいですが、razr 40 ultraもおサイフケータイ非対応です。
motorolaの過去24ヶ月に日本市場で販売されたスマートフォンでおサイフケータイ対応なのは、edge 40、g52j、g53j、g53yだけのようです。
Felica以外のQRコード決済やNFCによりVisaタッチ、mastercardコンタクトレスが普及しつつあり、いずれは特定用途以外ではSuicaからの置き換えが進むと思われますが、現時点では交通系ICカードが使えないのは厳しいといえば厳しい。
16万円近いのにUSB2.0
ミッドレンジ以下の機種ならともかく約16万円とお高いのに、USBの転送規格がUSB2.0の480Mbps。使う機会は少ないとはいえ、内蔵されたメモリから写真や動画データを吸い出すときに果てしなく遅く時間がかかります。
どうも変なところで手抜きする傾向があるのがmotorolaかもしれません。
とても面白いスマートフォンですが、おもちゃとしては高すぎますし実用に供するには防水・おサイフケータイ・USB2.0というのが筆者には大きなネックです。
まとめ
motorola razr 40 ultraはFoldタイプのスマートフォンのFlip版といえ、大きなサブディスプレイはかなり役立ちそうである。
しかし、16万円近い価格にもかかわらず弱点が多い。おサイフケータイ非対応、防塵防水性能がIP52と他のミッドレンジスマホがIP68に比べて大いに見劣りがし、パソコンが買えるハイエンド価格なのにUSB2.0の480Mbpsであり内蔵メモリから写真や動画を吸い出すのに極めて時間がかかる。
総じてフリップというだけで価格が釣り上げられているスマホで、中身を考えれば半額ちょいのものでしかなさそうだ。
筆者にとって買う価値があるかといわれれば無いと断言できる。
フリップという機能に価値をみとめてお金を使う人は良いがそれ以外の普通のユーザーにはコスパが極めて悪いスマホである。
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