iPhone Xのカメラは凄いぞ!と巷では言われるようです。実際、使ってみて、iPhone Xで見る、ブログに掲載する程度なら確かに十分かもしれません。
ですが、コンデジを軒並みなぎ倒すほどのものかというと決してそんなことはありません。
スマホのカメラとしては確かに優秀で凄いと思います。それは昨年12月の金沢旅行でカメラを持たずにiPhone Xだけで撮影して体感しました。これに勝るスマホカメラには出会ったことがありません。
しかし、スマホは所詮スマホ。ズームはないし、光学2倍のレンズも持っているといっても高々二倍です。iPhone Xの広角側センサーサイズは豆粒大の1/2.9インチ。焦点距離は換算28mmだそうです。まあ、小型デジカメも1/2.7センサーが多いので、変わらないといえば変わらない。
スマホカメラが得意なのはやはりセルフィーや、ちょっとした日常の風景などです。ただ、CPUパワーに物を言わせた画像処理がすごすぎて、その場の空気感や自然の光を上手く捉えるというのは凄く苦手というかまず不可能なように思います。空気感や自然の光を生かすには機材だけではなく撮影者の腕も必要なわけで、スマホカメラを使うシチュエーションを考えると、ぱっと見キレイっぽい写真がとれればそれでOKなのです。
スマホユーザーが求めるのもそうしたカメラ機能なので、その部分で完全競合となる実売2万前後かそれ以下の入門型コンデジは軒並み姿を消しています。スマホカメラが今ほど優秀ではなかった時代は、カメラ売り場にはコンデジが競っていましたが、今は見る影もないです。
残っているのは特徴のあるものだけ。
- 高倍率望遠ズーム
- 強力な防水・防塵性能、スマホでは実現できていないタフ性能
- 広角ズーム
- センサーサイズの大きなもの
いずれもスマホでは対応できないものばかり。カシオのEXLIMなどは1/1.7センサーでiPhone Xより大きめのセンサーを使い、高倍率ズームのモデルと広角ズームモデルの両方を展開しています。市場では数少ないコンデジとなってしまいました。
空気感や自然の光を上手く捉えようとするとやはりコンデジでは役不足で。一眼の出番となります。私の機材でいえば、E-M1かEOS 7Dですね。やはり光を捉える性能が違います。センサーサイズも違うし、何よりレンズが違う。レンズだけでiPhone Xの価格なのですから違っていて当たり前。
それをメディアは「iPhone Xのカメラは一眼を超えた」なんてバカなことを書いていますが、騙されてはいけません。そんなことあるわけないじゃないですか。ぶっちゃけインスタ映えする写真を撮るのが得意なだけです。まあ、ローエンドの超入門ミラーレス一眼に超安物レンズをつけた超入門ミラーレス一眼ならとんとんかもしれませんが、所詮その程度。
そう考えると、先日の私の記事でiPhone X vs iPhone 8みたいなことを書いていますが、iPhone Xにこだわる理由がなくなることがわかります。単にインスタ映えする写真なら、望遠がないだけでほぼ同性能のiPhone 8カメラで十二分なわけです。
歩いていて見つけたちょっと良い風景とか、ふと気が向いて入ったカフェで食べたパフェが凄く良いなんてときには、いつもカメラを持っているわけではないですから、できるだけキレイに写るスマホカメラが良いわけで、機動性の高さではスマホカメラにはどんなカメラも絶対かないません。
このあたりを理解していないと、iPhone Xのカメラは一眼を超えたなんて記事に騙されるわけです。画素数が同じ1200万画素であったとしても、センサーサイズが例えばAPS-Cであれば、一画素のサイズが全く違うのでダイナミックレンジが違います。さらに、その後の画像処理や補正に対するアロウアンスが大きいわけです。また、微細な光を上手く捉えることもできます(もちろんレンズと腕次第)。
そういうわけで、凄いけど凄くないちょっと便利でキレイにうつるのがiPhone X(というかスマホ一般)のカメラでした。カメラ目的で買うスマホではありません。