筆者は現在はAndroidスマートフォンを使っていまして最後のiPhoneは昨年夏にバッテリーを新調したiPhone 8が最後です。別にiPhoneが嫌いになったとかApple嫌いではありません。筆者がiPhoneをメインに戻さない理由は唯一つ「USB TYPE-Cではない」からです。iPhoneにUSB TYPE-Cは搭載されるのでしょうか?
Lightningデバイスには何がある?
Apple社Web掲載製品のケーブルやアダプタ以外で現在もLightningコネクタを採用しているのは以下のデバイスです。
・iPhoneファミリー
・iPad(無印iPadのみ、AirとProはTYPE-Cです)
・iPad mini
・AirPods
・AirPods Pro
・AirPods Max
そうなんですよね、これだけしかない。
それ以外のiPad Air/iPad Pro/MacBook Air/MacBook ProなどのモバイルデバイスにはUSB TYPE-Cはついていますが、Lightningはついていません。
事実上はiPhoneに使われているだけのマイナー規格がLightning。しかしiPhoneのシェアが世界的に高いため、結果的に結構メジャーなインタフェースである。
Lightning vs USB TYPE-C
簡単に比較してみます。
LIghtning | USB TYPE-C | |
ピン数 | 8 | 24 |
転送速度 | 480Mbps (USB2.0準拠) | 10Gbps (USB3.1準拠) |
価格 | MFi認証品は安くない | ピンキリ |
電源供給 | デバイス充電のみ | 最高100WのPower Delivery対応製品もある |
安全性 | Lightningは端子部分むき出しであるが、USB TYPE-Cは端子がむき出しではないためショートしにくい。 | |
規格の乱立・混乱 | 皆無 | ややこしすぎる |
採用デバイス | 無印iPad/iPad mini/iPhoneファミリーのみ | iPad Air/iPad Pro/MacBookファミリー、Androidスマートフォン |
相性問題 | MFi認証であれば基本的にはOK | 規格不一致によるトラブルは日常茶飯事 |
あまりケーブル転送することはないかもしれませんがLightningの転送速度は、今どきまさかのUSB2.0相当の480Mbpsです。
なんせ古い規格です。2012年9月に発表されたiPhone 5で採用されたものですので仕方ないとえば仕方ない。
事実上iPhoneでしか使われていない専用規格であり、ケーブルなどもMFi認証品は割高で他に使いまわしがきかない。
上の表の規格の乱立・混乱のところにありますが、Lightning採用デバイスや周辺機器でAppleのMFi認証取得品であれば接続に関するトラブルは通常起こりません。
しかしUSB TYPE-Cときたら次から次へと規格が出てきて製品もどれに対応してるのかよくわからずユーザーを無視した使いにくさ・選びにくさがUSB TYPE-Cの実態です。
それに比べるとLightningは対応デバイスもほとんどないということもあって極めてシンプルで、結果的に問題も少ない。
USB TYPE-Cにはいろいろ問題はありますが、周辺機器や他のスマートフォンにはUSB TYPE-Cが多いので、できればLightningを排したいというのが人情です。
iPhoneにUSB TYPE-Cの可能性はない!?
どうなるか確実なことはAppleの中の人のさらにごく一部の人しかわからないと思います。
それ以外の外野陣営はすべて推測・憶測ですが、現実問題iPhoneがある限りUSB TYPE-C導入はまずないと思われます。
Lightningの次はMagSafe?
有名なMac情報メディアであるMacWorldのSamuel Nyberg氏が2020年10月22日の同メディア上で「Will there be an iPhone with USB-C?」という記事を書いています。
記事によれば、AppleはLightningの次はMagSafeに行くであろうとしています。
MagSafeというのは、元々は2006年からMacBookシリーズに採用されていた電源コネクタで、がっしり差し込むのではなく磁石でピタリと張り付くタイプで、間違ってケーブルに足をひっかけてもMacを床に落下させる心配がほとんどないというすぐれものでした。
それがいつのまにか姿を消して、またその名前を見たと思ったらワイヤレス充電の名前として再び世の中にあらわれました。
ワイヤレス充電Qiに準じるものですが、Qiの欠点は位置ずれです。
いい場所におかないと充電されないといった欠点があるので、置いたときはちゃんと充電されていたがいつのまにかスマートフォンがずれて充電が中断されていたということがあります。
Qiの充電可能位置のシビアさを磁石でピタリと貼り付けることで克服したのが新しいMagSafeです。
ただし重大な懸念があります。
植え込み型のペースメーカーや除細動器などの医療機器に内蔵されているセンサーが、磁石や無線送信機が近付くと反応する場合があります。こうした機器への干渉の可能性を排除するため、iPhone や MagSafe アクセサリを機器には近付けず、安全確保のために必要とされる距離を確保してください (15 cm 以内、またはワイヤレス充電時は 30 cm 以内には近付けない)
植え込み型ペースメーカー・除細動器を使用している方にとって、MagSafeは命を奪う存在になりうる可能性があります。
満員電車で向いあってしまった人がMagSafe対応iPhoneを胸に入れていて、それが自分が埋めているペースメーカーとくっつかんばかりの状態になってしまったら….と考えると恐ろしいです。
良し悪しはどうあれ、Samuel Nyberg氏によればAppleは一足飛びにMagSafeの勢いだそうであります。
MFi商売
iPhoneで適当なLightningケーブルを使っていて、OSをアップデートしたら使えなくなったという経験がある人は少なくないと思います。
Lightningコネクタの内部には未認証の粗悪品によるトラブルを避けるために認証用チップが内蔵されています。
この認証チップを使うためにはAppleと契約して、それなりの金額を支払うわけです。
調べたところ情報がiPhone Maniaのサイトにありました。
MFi認証は機器一点につきUS$4.00
今の相場ですとおよそ440円がAppleに支払うMFi認証チップを使うため(供給を受けるため)の費用となります。
なので、普通に考えれば単純なケーブルでも千数百円にはなるでしょう。
MFi認証ビジネスによる売上がAppleの売上のどれくらいを占めるのかは不明ですが、量産チップの提供以外はライセンスフィーだけなので利益率は相当高い商売のはずで、それをそう簡単にAppleが手放すはずがありません。
USB TYPE-Cを要求する声をかわすためにiPad Pro/AirやMacBookファミリーに採用することでごまかしたといえなくもありませんが、単一ブランドとしてダントツシェアのiPhoneにくっついてくるMFi認証ビジネスを手放すことがあるわけない。
まとめ
AppleはLightningの次はMagSafeに行くであろう。
またLightningで稼げるMFi認証のライセンス料はAppleにとって重要な収益源である。
以上のことからiPhoneにUSB TYPE-Cが導入される可能性はほとんどない。