筆者が遠近両用レンズ(累進レンズ)のメガネを常時かけはじめたのは52歳の時でした。老眼を感じ始める年齢は人によりさまざまですが、経験的にはまだ見えると意地を張るより、遠近両用メガネを常時かけるほうがずっと楽になります。紫外線から目を守るためにもメガネは常時かけた方が良いのではないかという話です。
紫外線の目への影響
[環境省] 紫外線 環境保健マニュアル 2020(環境省 環境保健部 環境安全課)
このパンフレットの「第2章 紫外線による健康影響」 が該当部分です。
余談ですが、官公庁のホームページって何故こんなに情報を探しにくいのでしょうか?
環境省のホームページも紫外線の影響を探すのに一苦労です。
検索するとパンフレットのPDF特定ページがヒットしますが、そのパンフレットPDFにリンクしている元がわからない。
紫外線の影響を調べたいだけなのに、パンフレットへの入口は部局別になっています。
「環境再生・資源循環局」「総合環境政策統括官グループ」等々。
知らんがな!そんなもん!
国民にとって省内の部局なんかどうでも良い、知りたい情報は紫外線の影響なのに、部署ごとに調べていかないとわからない。
国民(利用者)不在もいい加減にしてください!
情報開示は部署別ではなく、内容別に探しやすいようにしてください!
こんなところにも縦割りの弊害があります・
閑話休題。
環境省のこのパンフレットによれば紫外線の目への影響は以下のようなものです。
・紫外線角膜炎(雪目もこの類)、多くは24〜48時間で自然治癒
・翼状片、眼球結膜(白目)が翼状に角膜(黒目)に侵入する線維性の増殖組織で、瞳孔近くまで進展すると視力障害。通常は30際移行で発症、紫外線ばく露を含めた外的刺激が関係す流と考えられ、治療は外科手術。2〜7%は再発し再手術が必要になる。
・白内障、日本人に多くみられる皮質白内障は紫外線との関係が知られている。
特に白内障に注目です。上記資料(PDF)の26ページの「<図 2 – 5 皮質白内障の有所見率(%)>」に注目です。
著作権・リンクについて https://www.env.go.jp/mail.html の記載に基づき下記に引用します。
出典:「紫外線 環境保健マニュアル 2020」(環境省 環境保健部 環境安全課)より
<図 2 – 5 皮質白内障の有所見率(%)>のみ抽出して引用。
https://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/02.pdf
かなり衝撃的なデータです。
門前町(石川県)北緯37度において年齢階級別白内障有症率は70代で急増して60%近くになり、80代では60%をやや超えています。
奄美(鹿児島県)北緯28度において年齢階級別白内障有症率は60代で50%程度、70代で80%ほど、80代ではほぼ100%となります。
ちなみに東京は北緯36度です。
門前町(石川県)の紫外線照射量を100とすると、130ほどの紫外線照射量の奄美(鹿児島見)はそれに比例するように白内障有症率も高くなります。
紫外線対策としての遠近両用メガネ
メガネだけで目への紫外線ばく露を完全に防ぐことはできませんが、現在販売されているまともなメガネは紫外線カット率99%以上のものがほとんどです。
近視・遠視・乱視などで常用する人はフレームの型には要配慮ではありますがかけていないよりずっとよいです。
問題は普段はメガネ不要の老眼族(中高年)です。
筆者は冒頭のとおり52歳から遠近両用を寝る時と風呂に入る時以外はずっとかけています。もちろん紫外線カット率は99%のものです。
老眼鏡を掛け外しする人は屋外ではメガネをかけませんので紫外線防護的には意味がないといえます。
遠近両用レンズ(累進レンズ)はレンズの高さ(天地幅といいます)が大抵は30mm以上必要でレンズ的には大きめのものになり、それだけ目をうまく覆うことができます。
女性がかけていることが多いオーバル型の縦の短いものはレンズを通さないで見える部分が大きいため、紫外線防護という意味では相対的にやや効果が低いと思われます。
メガネはファッション性も高いもなのですが、紫外線対策もかねる常時着用であればレンズが大きめになる、ボストン型、ラウンド型、ウェリントン型など縦に大きなデザインが好ましいのではないでしょうか。
ただし紫外線カットのコーティングもだんだん劣化していきますので、適宜買い替えが必要です。
紫外線カット(UVカット)の性能はメガネチェーン店のOWNDAYSのサイト によれば、サングラスの寿命としての記載ですが5年程度のようです。一方HOYAのサイト を見ると半永久とあります。単純には言えませんが、目を保護するための機能ですので、数年程度で買い替えたほうがいいのかもしれません。コーティングに剥がれがあるとかいうのは交換確定です。
遠近両用メガネを常時かけるメリット
・紫外線対策として有効(日本人の中高年に多い皮質白内障のリスクを減らす)
・必要な時にメガネを探さなくて良い
・外出時にメガネを忘れる心配がない
・調光レンズを使えばサングラスも兼ねる
紫外線からの保護という意味では老眼がなくても、度のないクリアレンズメガネ(いわゆる伊達メガネ)をファッション的に常時着用するのもありです。
ブルーライトカット対応レンズを使えばブルーライト低減もできますし、度のない素通しですので価格的に安いですから複数本持って衣服のように状況に応じて変えるのもいいですね。
ただ伊達メガネは無くても全く不自由しないので忘れてしまうという難点はあります。
まとめ
普段はメガネが必要のない老眼族は、日本人中高年に有症率が高いという皮質白内障のリスクを減らすために、遠近両用メガネの常時着用を検討してはいかがでしょうか?
メガネを取りに椅子から立つのがめんどくさいから目をしょぼつかせて新聞やスマホを見るというのは、客観的にみてすごくかっこ悪いしダサいし他人から見てより年齢を感じさせてしまいます。それよりはスマートにメガネを常用する方がずっとかっこいよいと筆者は思います。