マーガリンと思っているのは実はファットスプレッドだ、マーガリンが体に悪いのは昔の話

日常生活・猫
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いつの頃でしたか、マーガリンに含まれるトランス脂肪酸が注目され世界的にいきなり悪者になってしまい、結果としてマーガリンは体に悪いという説が大手を振ってまかり通るようになりました。しかし時は流れメーカーも相当な努力をして改善にとりくんおり、昔とは変わっています。

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飽和脂肪酸とトランス脂肪酸

飽和脂肪酸についてWikipediaを見てみます。

肉、牛乳、バター、卵黄、チョコレート、ココアバター、ココナッツ、パーム油などに多い。世界保健機関(WHO)による2016年のレビューでは、多量の飽和脂肪酸の摂取は心血管疾患のリスクを高めるとする。

出典:Wkipedia「飽和脂肪酸」https://ja.wikipedia.org/wiki/飽和脂肪酸

こちらはトランス脂肪酸。

LDLコレステロールを増加させ心血管疾患のリスクを高めるといわれ、2003年に世界保健機関(WHO)/国際連合食糧農業機関(FAO)合同専門委員会によって1日1%未満に控えるとの勧告が発表され、一部の国は法的な含有量の表示義務化、含有量の上限制限を設けた。世界保健機構(WHO)は、トランス脂肪酸を2023年までに根絶させることを目指している。日本では、製造者が自主的に取り組んでいるのみであるが、同じように目標値が設定されている飽和脂肪酸の含有量が増加している例が見られる。

出典:Wikipedia「トランス脂肪酸」https://ja.wikipedia.org/wiki/トランス脂肪酸

わかったようでわからないかもしれませんが、どちらも過剰接種は心血管疾患(狭心症や心筋梗塞など心臓の血管が詰まることが原因でおこる病気)のリスクを高めるってことです。

飽和脂肪酸やトランス脂肪酸ともに、継続的かつ過剰な摂取は心血管疾患のリスクを高めることに間違いはなさそうです。

だからといって食べると危険という話ではまったくありません。そもそも食べて危険なものがこれほど多く売られているはずもありません。極端にいうとどんなものでも多量に継続摂取すれば命に関わります。生命維持に不可欠な水だって飲みすぎると命を失うような水中毒になる可能性もあるのです。何事も程度問題です。

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マーガリンが実はマーガリンではない

スーパーのバター、マーガリンコーナーにいくと多種のバターと並んで多種のマーガリンが並んでいます。

パッケージをよくみてください。

マーガリンとして馴染みのある商品も、今は品質表示のどこにも「マーガリン」とは書かれておらず「ファットスプレッド」と書かれていますね。

一方で商品名に「マーガリン」を使っており品質表示も「マーガリン」と表記されているものがあります。

すなわち「バター」「ファットスプレッド」「マーガリン」の3種が存在するわけです。

[農林水産省] 日本農林規格 JAS 0932:2019 マーガリン類

これによれば、

・マーガリン:油脂含有率80%以上、乳脂肪含有率40%以下、水分17%以下
・ファットスプレッド:油脂含有率80%未満、乳脂肪含有率40%以下かつ油脂中50%未満、油脂含有率と水分の合計が85%以上

と定義されています。

一方でバターのJAS規格はというと何故か厚生労働省の管轄になっていて「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」で定められています。

[厚生労働省(e-Gov)] 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令

バターの成分規格:
・乳脂肪分:80.0%以上
・水分:17.0%以下
となっています。

商品の名前がバターとなっていても、乳脂肪分が80%未満であればそれはバターとはいえないことになります。

それにしても、牛の乳から作るバターはどう考えても農林水産省で、油脂から作るマーガリンやファットスプレッドのほうが厚生労働省に近いような気がしますが、このあたりがお役所仕事の不可解なところ。庶民には到底理解できません。

さてJAS規格に戻りますと、ファットスプレッドだけに定義されている製法として「果実及び果実の加工品,チョコレート,ナッツ類のペースト等の風味原料を加えて」とあります。フレイバーを含めたマーガリンではなくファットスプレッドにしかないということです。

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それぞれの特徴

バターは乳製品であり、しっかりした風味とコクが特徴です。加熱したときの香りが強いので炒め物などの加熱料理、パン(トーストではなく小麦から作る場合のパン)や洋菓子に向いています。一方で冷蔵状態では結構硬いので焼き立てトーストに塗るのに結構苦労したりします。

マーガリンはバターより旨みやコクがあっさりしているため、バターのように香りやコクが大切になる料理には向いていません。また空気を多く含ませて塗りやすくしたものもありますのでサンドイッチのパンやトーストに塗るなど加熱せずそのまま食べるのに向いています。

ファットスプレッド。スーパーのマーガリン売り場に並んでいる通称マーガリンの多くはファットスプレッドです。マーガリンより油脂含有量が少なく、果実やチョコレートなどで味をつけたものもあります。マーガリンよりさらにあっさりしており、溶けやすくて柔らかいためパンに塗りやすいのも特徴です。水分が多くあっさりしているので加熱調理には不向きです。

それでは雪印メグミルクのポピュラーな商品の成分を比較しましょう。

10gあたり雪印北海道バター雪印ネオソフト雪印ネオソフトハーフ雪印ネオソフトハーフ
コクのあるバター風味
雪印バター仕立ての
マーガリン
分類バターファットスプレッドファットスプレッドファットスプレッドマーガリン
賞味期限180日240日180日180日180日
エネルギー73.2kcal60kcal36kcal70kcal74kcal
タンパク質0.06g0g0.2g0.1g0.1g
脂質8.1g6.6g3.9g7.7g8.1g
飽和脂肪酸5.05g2.3g0.5g2.3g2.9g
コレステロール21mg0.1mg0mg0.2mg3,5mg
トランス脂肪酸※10.05g0.04g0.07g0.1g
炭水化物0.02g0.0g0.0g0.1g0.1g
食塩相当量0.14g0.12g0.13g0.14g0/15g


※1 雪印メグミルクのサイトには記載なし、森永乳業の森永北海道バターには10gあたり0.32gのトランス脂肪酸を含んでいるとしている。

雪印北海道バターはスーパーで見かけるバターの代表格であり、雪印ネオソフトハーフは旧来マーガリンと思われていた雪印ネオソフトのヘルシー版です。

一食(10g)で比べると、飽和脂肪酸は雪印ネオソフトハーフは雪印北海道バターの約1/10コレステロールは雪印北海道バターは21mgに対して雪印ネオソフトハーフはなんと0mgのコレステロールフリー、トランス脂肪酸は雪印北海道バターについてはメーカー情報がありませんが、森永北海道バターには10gあたり0.32gのトランス脂肪酸を含んでいるとしています。メーカーが違うので比較はできませんし、バターのトランス脂肪酸は天然由来に対し、マーガリンやファットスプレッドのトランス脂肪酸は油脂の加工過程で出てくる工業的なものだともいえます。天然だから体に良く、工業製品だから体に悪いというのは一概にいえず、天然だからと盲信して安心するのは非常に危険です。

単純に飽和脂肪酸、コレステロール、トランス脂肪酸の含有量だけでいえば、雪印北海道バターより雪印ネオソフトハーフのほうがかなりヘルシー度が高いといえます。

どちらを選んでも摂り過ぎがよくないことは明らかなので何事も程度問題です。

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まとめ

加熱料理に使って風味を大切にするならばバター一択、サンドイッチやトーストに塗るなら柔らかくて塗りやすいファットスプレッドがおすすめということになります。

いわゆるマーガリンと呼ばれている市販の製品の多くはファットスプレッドであり、中にはコレステロールはゼロ、飽和脂肪酸はバターの1/10のものもあり、トランス脂肪酸もバターのほうが多いようだ。

どちらも使い過ぎ・摂り過ぎは体によくないのは間違いない。何事もほどほどに。

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