スマートフォンやモバイルバッテリーなどUSB給電が必要な機器を買うとたまに目にするのが「必ずPD対応ケーブルをお使いください」という文句を見たことがありますよね?あるいはUSBケーブルのパッケージに「PD非対応」や「PD対応」と記載されていたり。実は基本的には全てのUSB C-CケーブルはPD対応です。
PDとは何か?
USB Type-Cには接続されたデバイスに電気を供給するPower Delivery(通称PD)という機能が新しく付け加えられています。
USBのラインを通じて接続されたデバイスに最高100W(20V 5A)までの電力を供給することができ、最近240W(48V 5A)まで引き上げられました。
電源の供給側と受給側でどれくらいの電圧・電流を流せるのか・受け取れるのかといった情報をUSB Type-Cで新たに設けられた「CCライン」と呼ばれる信号線を通じてやりとりします。
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規格上は全てのUSB C-CケーブルはPD対応
USBの規格は全てUSB Implementers Forum (USB-IF) というUSBの規格作成団体により規格化されています。
USB-IFが発行している「Universal Serial Bus Type-C Cable and Connector Specification, Release 2.0, August 2019」という規格書の「Table 3-1 USB Type-C Standard Cable Assemblies」を引用します。
出典:USB Type-C® Cable and Connector Specification Release 2.2
このとおり全て「USB Power Delivery」は全てSupportedになっています。
ちなみに上の表でSPRとあるのはPD3.0の〜100Wまで、EPRはPD3.1の100〜240Wのことです。
PD対応の中でUSB3.X以上の高速データ通信に対応しているケーブルは最大電流に関わらず全てeMarkerと呼ばれるICチップがコネクタ内に内蔵されていなければなりません。
eMarkerのないチップ(通常は安いケーブル)はUSB2.0の低速(480Mbps)で流せる電流も3Aまでと決まっています。
安全に使うために
パッケージに60WとかかれているUSBケーブルは20V 3AまでのPDに対応しています。
それ以上の電流を流したければeMarkerを内蔵した100Wと書かれたケーブルを使わなければなりません。
メーカーによっては100W対応のものだけをPD対応と称している場合もあります。これは間違いではありませんが、100W対応だけがPD対応というわけではありません。
規格上は正しく結線されたUSB C-Cケーブルは全てPD対応ということです。流せる電流の上限に違いがあるだけです。
機器側の給電側が正しくUSB PDに対応しているのであれば、3Aまでのケーブル(60Wケーブル)であればそれ以上の電流を流すことはありませんし、eMarkerを内蔵した5A(100W)ケーブルであれば最高20V5Aまで流そうとする・流すことを要求するでしょう。
USB-IFの規格では、ケーブルのパッケージにPD非対応と書かれていようが、機器と給電側がPD対応ならば最高で20V 3Aまで流そうとする。
注意:
規格上はどのUSB C-Cケーブルでも60WまでのPDがOKということでであっても、実際使われているケーブルやコネクタが粗悪品で20V 3A(60W)の上限まで流すと発熱や発煙・発火につながったり、そうでなくてもケーブルの抵抗値が高くてまともに動作しないといったことがある「かも」しれません。
前述のとおり粗悪なケーブルは20V 3Aには耐えられない可能性があります。
昨今のスマートフォンやタブレット・PCやUSB充電器はほぼPD対応ですので、使用するケーブルはやはり60Wあるいは100Wと明記されているものを使用したほうが安全です。
例えば、機器と給電側がPD対応のところに2Aと書かれたケーブルを使っても実際に流す電流を2A以下にする方法はありません。
大きな電流が流れる可能性があるスマートフォン、タブレット、ノートPCなどには正体不明のケーブルを電源用として絶対使ってはいけません。加熱して火を吹く可能性もあります。
USB C-Cケーブルを安全に使いたければ、からなず60W(3A)もしくは100W(5A)の表記があるケーブルを使用しましょう。
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