PC/Macユーザー視点・iPad ProはPC/Macに代わってどこまで出来るか?

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iPad Proの処理能力向上は目覚ましいものがありまして、Appleはもとよりメディア各紙もこれならノートPCやMacBook Proはいらないかも、といったもてはやしようです。ですが、本当にそうでしょうか?iPad Pro 11 (2018)ユーザーである筆者がそこに疑問を投じます。

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iPad Pro

iPad Proの褒め記事氾濫の理由は?

わかりやすく言うと、ほとんどのノートパソコンよりも高速、ということです。
〜AppleのWebサイトより〜

本当ですか?

MacRumorsにGeekBenchの結果がありましたので、データを転載させていただきました。

ChipSingle-Core ScoreMulti-Core Score
2018 iPad ProA12X5,02518.106
2018 iPadA103,4745.914
2018 15″ MacBook ProCore i7 6-Core 2.2GHz4,92821,165
Core i7 6-Core 2.6GHz5,05321,351
Core i9 6-Core 2.9GHz5,34422,552

なるほどGeekBenchの数字だけみると、2018年のiPadを完全に凌駕し、Core i7 2.6GHzの15″ MacBook Proに肉薄しています。

GeekBenchのスコアがMacBook Proに肉薄するからといって、MacBook Proに取って代われるわけではない。

このことは肝に命じておくべきです。

iPad ProがあればPCは必要ないかも….なんて記事を鵜呑みにすべきではありません。PCやMacとiPad ProとはOSが全く異なりますし使い勝手がまるで違います。

そのあたりをよく認識した上で考える必要があります。

繰り返しますが、ベンチマークスコアがPCやMacより上だからといって、PCやMacに代われるものではない。特にAppleはCMでパワフルさを表に出していますがそこだけで比較できるものではありません。

iPad Proの限界を知れ

最近は2-in-1PCといって、画面が360度反転してタブレット風になったり(コンバーチブル)、画面だけが取り外せてタブレットとして使えたり(セパレート)するもののあります。

一方でiPad ProのようにCPU速度はPCやMacBook Proに肉薄するか追い越しているものもあり、PC?何言っているの?今やiPad Proでしょ、なんて風潮も一部にはあるようです。

後で詳しく書きますが、iPad ProにはPCやMac視点から意外に目の前に活用限界があります。それは主にOSアーキテクチャの違いによるものです。

  • Officeソフト(WORDやEXCEL)は簡単な計算は動くがVBAによるマクロが使えない
  • PCやMacには優秀なフリーソフトが多いが、iPad Pro(というかiOS)には実にくだらないものでもApp Storeで有償提供されていたりして詐欺にあった気分になる。
  • 画像編集定番のAdobe Photoshopは使い勝手がかなり違う(キーボード・マウスベースのPCとタッチ操作ベースのiPadで違うのはやむを得ない)ので、なかなか慣れない。PC/Mac版ではマウスオーバーでフローティングのヘルプが出てくるのが、iPadではアイコンしかなくて、あまり使わないアイコンだとそれがなんだか分からなかったりする(慣れの問題ではある)。
  • グラフィックプロセッサ(GPU)がNVIDIA RTX2080などに比べると相当貧弱なので、Adobe AfterEffectsのようにガリガリ効果を作り込むような動画編集は絶対無理、というかそもそもそうしたアプリがない。もっとも、ここまでの性能はノートPCでもハイエンドゲーミングくらいしかないのですが。
  • PCのようにフル機能のマルチウィンドウが使えない。仮に将来使えるようになったとしても画面が小さすぎて実用性に欠ける。

特に最後のフル機能のマルチウィンドウが使えないのは結構致命的です。筆者は普段は24インチのフルHDディスプレイで作業をしています。これを100%のままで13インチフルHDにしちゃうと十分豆粒サイズになってしまいますので、125%とか150%がWindowsでも推奨になっていたりしますのでどうしてもマルチウィンドウ表示の重なりが増えてしまい作業性が悪くなります。

同じことはiPad Proにも言えます。iPad Pro 11は2388 x 1668の解像度でフルHDを凌駕します。しかし快適に使える文字のサイズには限度がある上に、フル機能のマルチウィンドウが使えないからどうにも作業効率が悪くなります。

特に何か資料を見ながら、文章を書くといった作業はiPad Proが増えてなものの筆頭だと思います。参照用に普通のiPad Airが欲しくなりあまり意味がないという….。それならノートPCを使う方がコピペもできるので賢明です。

Twitterやfacebookなどを読んだり書いたり、メールやWEBを見るのは全く問題ありませんが、マルチウィンドウで二つ以上の画面を同時に見る作業が必要な場合ははっきり言って無理または相当効率が悪くなります。

iPad Proだからできることを知れ

ここまででお分かりかもしれませんが、iPad ProとPC/Macは似て非なるものです。領域の重なりはありますが、その半分以上はPC/Macとは別の世界です。

iPad Proならではの特徴というとApple Pencilとタッチ操作です。

もちろんタブレットを兼ねるような2-in-1PCも類似機能があります。それらもタブレットの仲間として考えるなら、iPad Proというかタブレットだからこそというのは、簡単に言えばお絵かきでしょうか。

このAppleのCMサイトではありますが、特徴を端的に示しています。

同じことをタブレット機能のないノートPCやMacBook Air/Proではまず無理です。もちろんデジタイザをつければいいですが、デジタイザとPCを抱えて外出なんて現実的ではありません。

もちろんお絵描きだけではなくて、かなりの純正アプリは手書きが使えたりします。メモアプリに手書きはもとより、PDFや写真にマークアップしたり、WORDやEXCEL、POWERPOINTの文書に手書きでマークアップしたりできます。簡単にコメントしたり赤入れしたりできます。

ちなみに、WORDやEXCELにペンでマークアップした手書き図形や手書き文字は図形として貼り付けられますので、受けた側がPCやMacであっても問題ありません。

送られたきた文書に目を通して、修正すべきところにささっと手書きで赤入れして送り返す。同じことをPCやMacでやろうとするとかなり面倒です。やり方はいろいろありますが、図形で吹き出しをいれたり、赤い直線を図形で入れたりとメンドくささ100倍です。

すなわち、iPad ProはそのApple Pencilによる手書き機能を活かして、ドキュメントの赤入れなどや絵を入れての説明などは大得意ですが、オリジナルのドキュメントを一から作るのは、不可能ではないけどPCやMacのほうが操作性が良いと言えます。

iPadでPhotoshopを使って写真編集したり、LumFusionで動画編集を結構頻繁に行いたいような場合は、iPad Proの1TBをおすすめします。実装メインメモリが512GB以下のモデルは4GBメモリですが、1TBに限って6GB実装なのでこれらの作業ではパフォーマンスに差が出る可能性があります。

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PC/Macに代われるか否かは用途次第

ここまででだいぶお分かりでしょう。

メモリを6GB搭載したiPad Pro 11 (1TBモデル) といえども、所詮タブレットはタブレット、iPadOSはiPadOSでありMacOSやWindowsなどの汎用性の高いOSとは違いますので、PCやMacの代わりにはなり得ません。

メール/SNS/Web閲覧/動画鑑賞用途

ほぼ問題ないと思います。iPad Proだから特段優れている点もないですし、PCやMacに負けているところもありません。携帯性の良さでiPad Proが優っている程度です。

オフィス用途

前述の通り、Officeファミリではマクロは使えませんが基本的なことは全てできます。ただ、一つの画面で複数の資料を見ながらが文章を起こすといったフル・マルチウィンドウはできませんので、同じことをiPad Proでやるともう効率だだ下がり。

一方、Apple Pencilを活かして、作成されたドキュメントのPDFやWORD、EXCEL、POWERPOINTの文書に赤入れしたりコメントを手書きでサクッと入れて返したりするのは大得意です。非常に短時間で紙に鉛筆で赤入れするととほぼ同じ感覚で扱えます。

つまり、オフィス的用途では一から作るのは得意ではないけれど、出来上がったものをプレゼンしたり、サクッと校正したり絵を入れたりするのは大得意です。

クリエイティブ用途

写真や動画の編集、イラストレーションといったところについてはまだまだです。

写真はAdobe Photoshopのフルバージョンがリリースされましたが使い勝手が結構違うので慣れが必要のようです。筆者についていえばただでさえあまりPhotoshopを使っていないのでなおのこと戸惑います(笑)。

動画に至ってはそもそもGPUパワーが足りないのでAdobe Premier ProやAdobe AfterEffectsと同じものは存在しません。動画編集でiPad Proで優れていると言われているのはLumaFusionです。これとてPremierには足元にも及びません。とりあえずiMovieとかよりはずっと高機能。

ベクターイラストレーションはAdobe ilustratorがそのうちリリースされるようですので、その様子見といったところでしょうか。

iPadならではってことでは、Procreateというアプリがあります。使ったことがないのですが、見ている限りは自分もいろいろできるんじゃないかって思わせてくれますが…。ここから先は才能次第(笑)。

エンターテイメント用途

音楽・動画の再生に関しては文句なしです。PCやMacと同等か携帯性においてそれ以上です。

長時間のフライトで機内ビデオもろくなのがないときに、あらかじめDLしておいた映画の類が威力を発揮します。もちろんPCでもいいですが、PCほど邪魔になりません。

ゲーム、これはクリエィテイブ系と同じでGPUがハイスペックではないので、eスポーツで出てくるようなハイスペックがんがん系のものは無理です。まあ、そこそこで妥協してください。

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キーボードとマウスを選ぶと快適になる

いかがでしょうか?

iPad Proは一部機能を除けばPC/Macを代替できるものではなく、むしろPC/Macでは不得手なことを楽々こなすこともできます。

つまりは共存共栄の存在のはずです。

とはいえ、作業環境を整えるとかなりPCっぽく作業ができます。特に長い文章を入力するなんてときは、キーボードやマウスは必須といえます。

おすすめキーボード

昨日の記事をご参照ください。

Apple Smart Keyboard Folio

携帯用としてはピカイチですが、タイピングの心地よさはイマイチだしタイピング音が思った以上にカチカチと高い音がして耳障りですので、静かな場所では勢い良いタイピングは視線を集めます。

何より高すぎるのが困ります。たかだかキーボードとカバーに2万円も払いますか?私は買いましたけど。

ロジクール マルチデバイスキーボード K380

そこそこの携帯性と好みはあると思いますがタイピングの心地よさ、タイピング音は低く小さいので気になりませんし、Amazonだと3,000円を切る価格。アルカリ電池単4を2本使いますが2年間はもつようです。

兄弟モデルで10キー・Uniftying&Bluetooth両対応のK780を愛用していますが、2年経ってもバッテリーがなくなる気配がありません。

おすすめマウス

ロジクール Pebble M350

携帯性と使い心地の両立を狙うのであればこれ一択。

クリック音も静かで携帯性も良いです。

バッテリー寿命は単3アルカリ電池1本使用で公称18ヶ月。

最小限で快適スタイル

キーボードをSmart Keyboard Folioで妥協するなら、充電器を薄型スリムのAnker PowerPort III Slimにして、マウスはロジクールPebbleにすると、これだけでかなり快適な作業環境ができ携帯性も抜群になります。

このスリーブは「Inateck 12インチ インナーケース」というものでAmazonで買いましたが、楽天やヤフーでも扱い店があるようです。

厚手のしっかりしたフェルト生地なのでiPadを傷つける心配がありませんし、サイドポケットにスリムチャージャーとスリムマウスが入ります。

Apple Pencilをサイドに貼り付けたまま収納できますので、ペンをなくしたりする心配も皆無です。

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まとめ

iPad Pro 11でCPUがA12Xとなりパフォーマンスが劇的に向上した。しかし、パフォーマンスがPCやMacBook Proに肉薄するからといってその役割を代替できるわけではない。

Officeドキュメントを1から作るのはPC/Macほど得意ではないが、Apple Pencilで赤入れしてメールで返すなどというのはiPad Proは得意中の得意。PC/Macではできないような効率の良さがある。

一緒に使うキーボードやマウスを選べばかなり快適な作業ができるようになる。

Smart Keyboard Folioはタイピングの心地よさはイマイチで想像以上に高いタイピング音がするので、静寂環境では要注意。

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