PTAやサークル、あるいは自治会等で連絡を取り合うためには、スマートフォンを利用したなんらかのコミュニケーションサービスを利用すると思います。真っ先に浮かぶのはLINEですが、LINEはあくまで個人と個人の繋がりであり団体組織での利用にはあまり適切ではありません。
LINEの普及率
日本のスマートフォンユーザーでLINEを使っていない人のほうが少ないんじゃないかと思うくらい普及しているのがLINE。
この調査レポートによれば、LINEの利用率は何と83.7%で、Twitter(今のX)は43.2%、インスタグラムは39.9%、facebookは24.7%ということで、スマートフォンユーザーの8割以上がなんらかの形でLINEを利用しているということです。
インスタグラムやTwitter(X)が10代、29代で多いのに比べて、facebookは30代以降が多くなりますが、LINEは10代から70代の全世代で7割を超えており、30代までであれば9割を超えます。
これだけ普及しているのだから連絡に使いたいのは当たり前。
一番多いのは家族間の連絡だと思いますが、親しい友人間の連絡にもよく使うと思います。
しかし、LINEを安全に使うためには必須の設定があります。
一般論:LINEを安全につかう必須設定
以下の記述ではスクリーンショットは全てiPhone版のLINEアプリのものです。
メッセージ暗号化(Letter Sealing)
スマートフォンとサーバーの間でやりとりするメッセージを暗号化します。Webでいえばhttpではなくhttpsになるというものに相当します。
[設定] >[プライバーシー管理] > [Lettere Sealing] → ON
メッセージの暗号化設定で、かならずONにしておきます。
友だち自動追加を拒否
[設定] > [友だち] > [友だち自動追加] → OFF
[設定] > [友だち] > [友だちへの自動追加を許可] → OFF
両方とも必ずOFFにしておきます。
[友だち自動追加]がONになっていると、自分のスマートフォンの連絡先に含まれるLINEユーザーを片っ端から自動的に友だち追加してしまいます。 [友だちへの自動追加を許可]がONになっていると、貴方の電話番号を知っている他のLINEユーザーのLINEアプリが自動的にあなたを友だち登録してしまいます。どちらも余計なお世話で危ないといったらありゃしないので絶対にOFFです。
IDの扱いとメッセージ受信の扱い
[設定] >[プライバーシー管理] > [IDによる友だち追加を許可] → OFF
[設定] >[プライバーシー管理] > [メッセージ受信拒否] → OFF
これをOFFにしておかないと、何らかの手段であなたのLINE IDを入手した人が勝手にあなたを友だちに登録できてしまいます。
メッセージ受信拒否は友だち以外からの見も知らぬ第三者からの迷惑メッセージを防ぐために必須です。
アプリからの情報アクセス拒否
[設定] >[プライバーシー管理] > [アプリからの情報アクセス] → OFF
これもOFFにします。
ONにしていると、LINEと連携してゲームとかをした場合に、あなたのプロファイルなどが勝手に表示される場合があります。
情報の提供を拒否
基本的に不要な情報は提供しません。
[設定] >[情報の提供] > [コミュニケーション関連情報] → OFF
[設定] >[情報の提供] > [位置情報の取得を許可] → OFF
これらもOFFにしてプライバシー防衛を強固にします。ONにしたからといっていきなり見も知らぬ人が友だちになるわけではありませんが、余計な情報は出ないようにすれば漏れるリスクも減ります。
パスワードによるログインをしない
パスワードがある以上パスワード漏洩によるアカウント乗っ取りリスクがあります。
ならば、パスワードなんか使わなければ良い。
[設定] >[アカウント] > [Webログインの2要素認証] → ON
[設定] >[アカウント] > [パスワードでログイン] → OFF
PCで使いたい場合どうするのさ?
パスワードないのにログインできないじゃん…。
はい、この設定のアカウントでPCのLINEアプリでログインするとPC画面にはQRコードが表示されますので、すでに設定済みのスマートフォンのLINEアプリのQRコード読み取り(友だち追加のときに相手のスマートフォンのQRコードを読み取るのと同じ)します。
するとPCのほうには4桁の数字が表示され、スマートフォンのLINEアプリはセキュリティコード入力画面になるので、そこでその4桁数字を入れて完了。
そもそもパスワードがないのでパスワード漏洩はありえません。
大勢のメンバーがいる団体ではLINE WORKS
一般のLINEが望ましくない理由
なかなか難しいところですが、筆者はLINEというのは家族やごく親しいよく知っている友人だけに使うようにしています。
友だちのセキュリティ設定が弱い、すなわち前述のような設定をしていないと見も知らぬ人から友だち追加されてしまって、ゴミトークがくるようになるのは絶対避けたいものです。
LINEは便利なものですが、組織として活用しうるシステムではなく、あくまで個人の繋がりであり、よく知ったもの同士がグループというおしゃべりの場を作るものです。
PTAや自治会などでLINEを使うのは、上記のようなセキュリティを全員が守るのは無理ですし、筆者の場合はよく知った親しい人以外には絶対使いたくないものです。親しくもない人からLINE友達をリクエストされても拒否しています。代わりにフリーの使い捨て用EMailアドレスを伝えてそれでね!というと大抵はそれっきりです。こちらは繋がりたくないのでこれで良いのです。
一般のLINEには管理者という概念がないため、関係ない人も誰かが勝手にメンバーに招待したりすることができます。これは用途によってはセキュリティ上重大な問題を引き起こす可能性があります。
LINEの一般アカウントは個人同士、よく知った仲間同士で使うものでしょう。
LINE WORKS
PTAや自治会といった小規模非営利団体で使うのは、人数30名以下ならばLINE WORKSフリープラン(無料)があり、要件を満たせばLINE WORKS非営利団体向け特別プラン(期間限定募集)があります。
基本は有料ですが30名まで(以前は100名まででしたが縮小)ならば無料で使えます。
こちらは1,000人まで無料で使えますが条件があります。
以下の要件を全て満たす特定非営利活動法人(NPO法人)または任意団体
・活動目的が明確且つ非営利団体
・LINE WORKSをご利用いただくにあたり管理される方を選出できる団体
・特定の法人の傘下または管理下にない団体
・LINE WORKS 非営利団体向け特別プラン利用規約に同意いただける団体
出典:LINE WORKS 非営利団体様向け特別プランキャンペーン
最大の違いは管理者がいる(必要)ということ。
管理者はメンバーの追加削除、組織の作成、役割の割り当て等々いろいろな管理ができる(管理をしなくてはならない)わけで、誰もがやり放題のLINEとは異なり、誰かが勝手にメンバーを加えるとかいったことができません。
組織から関係なくなったらアカウント削除してトークなどを見られなくできます(当たり前ですが)し、一時的にアカウント停止することなどもできます。
LINE WORKSは本来有償の法人向けビジネスサービスなのでそのあたりはしっかりしています。
最大の問題はPTAや自治会で「管理者」を継続的に置けるかどうかということですが、置けるならば絶対こちらを使うべきです。
LINE WORKSはPCやスマートフォンアプリも一般のLINEとは別物なので、混同することはありません。掲示板やカレンダーも使えますので、PTAや自治会の予定管理をしたり情報共有したりにもってこいです。