当ブログではiPad (iPad Pro) 用のキーボードを何度なく取り上げてきました。今回ロジクール Combo Touch iK1176GRAを入手しました。当ブログのハードウェアレビューは全て自腹レビューですので良し悪し遠慮せず忖度ないレビューです。
Combo Touch iK1176GRAとは?
ロジクールが販売しているキーボード付きケースの一つであり以下のような特徴があります。
・タッチパネル内蔵
・キーボード・タッチパネル部とiPadを嵌めるカバー部が強力なマグネットで吸着しており簡単に分離できる
・iPad ProのSmart Connector対応なので、Bluetoothのようなペアリングやバッテリーは一切不要
・キーボードが分離できることで、キーボード不要なシーンでは荷物が軽くなる。
・日本語配列なのでMac等の日本語配列に慣れている方には親和度が高い
iPad Pro 11インチ用のケースとキーボードが一つになっていますが、iPad Proの側面と背面を保護するカバー部と、キーボード・タッチパッドのついたキーボード部にわかれており、マグネット吸着でカチンとカバー部に張り付きます。
iPad ProとはSmart Connector接続なので、Bluetooth接続のものと違って電源はiPadから供給されますしいかなりペアリングも不要です。言ってみればデスクトップPCの有線キーボードや有線マウスみたいなものです。ただしケーブルではなくSmart Connector経由なので超楽チンでキーボードのバッテリーなんか気にする必要がないのです。
[公式] ロジクール COMBO TOUCH
https://www.logicool.co.jp/ja-jp/products/ipad-keyboards/combo-touch-ipad.html
以前の記事ではCOMBO TOUCHと似たような製品もレビューしています。
ロジクールのiPad Pro用キーボード一体型ケース「Slim Folio Pro」の実機レビュー
https://aichanworld.com/wd/2022/12/21/post-26432/
iPad ProをPC/Mac的に使う!Logicool Folio Touch for iPad Pro 11-inchの実機レビュー!
https://aichanworld.com/wd/2020/11/16/post-16080/
iPad用のキーボードケースとしては、Apple純正のSmart Keyboard FolioとMagic Keyboard以外のサードパーティ製だと、事実上ロジクールのみのなると思います。
Combo Touch、Slim Folio Pro、Folio Touch、Apple純正の5機種仕様比較
仕様比較
まずはこの3機種の相違点をまとめてみます。
全て11インチのiPad Pro用で比較します。
Combo Touch | Slim Folio Pro | Folio Touch | |
iPadとの接続 | Smart Connector | Bluetooth | Smart Connector |
タッチパッド | ○ | X | ○ |
キー配列 | 日本語 | 英語 | iPad Pro用は英語 iPad Air用は日本語 |
キーの構造 | シザー | シザー | シザー |
キーボードバックライト | ○(16段階、キーボードで変更可能、センサーによる周囲の明るさ検知対応) | ○(3段階、キーボードで変更) | ○(16段階、キーボードで変更可能、センサーによる周囲の明るさ検知対応) |
iPadOSショートカットキー | ○ | ○ | ○ |
キーボード用バッテリー | 不要(iPadより供給) | 充電式電池内蔵 | 不要(iPadより供給) |
初めて使う時 | iPadをはめるだけでOK | ペアリングが必要 | iPadをはめるだけでOK |
重さ(実測) | 全体:562g (カバー部:245g) (キーボード部:317g) | 550g | 648g |
Apple Pencil装着保護 | なし | フラップでカバーしているように見えるが、実際にはゆるゆるで装着保護機能はない | がっちり保護 |
メーカー直販価格(税込) | 27,720円 | 19,800円 | 24,200円 |
同じ項目でApple純正のMagic KeyboardとSmart Keyboard Folioも仕様を調べました。
Magic Keyboard | Smart Keyboard Folio | |
iPadとの接続 | Smart Connector | Smart Connector |
タッチパッド | ○ | X |
キー配列 | 購入時に選択 ・英語(UK) ・英語(US) ・中国語(拼音) ・中国語(注音) ・韓国語 ・スペイン語 ・日本語 | 購入時に選択 ・英語(UK) ・英語(US) ・中国語(拼音) ・中国語(注音) ・韓国語 ・スペイン語 ・日本語 |
キーの構造 | シザー | バタフライ |
キーボードバックライト | ○(iPadの設定アプリで変更) | X |
iPadOSショートカットキー | X | X |
キーボード用バッテリー | 不要(iPadより供給) | 不要(iPadより供給) |
初めて使う時の処理 | iPadをマグネットでカバーに貼り付けるだけ | iPadをマグネットでカバーに貼り付けるだけ |
重さ(itmediaの記事より) | 602g | 303g |
Apple Pencil装着保護 | なし | なし |
メーカー直販価格(税込) | 44,800円 | 27,800円 |
正直なところパーフェクトなものは存在しませんので、どこかで妥協するしかありませんねぇ。
キーボードバックライト
バックライトについてはロジクールのCombo TouchとFolio Touchの圧勝です。
Apple Smart Keyboard Folioにはバックライトがないですし、Apple Magic Keyboardにはバックライトがありますが輝度変更はロジクールのようにiPadOSショートカットキーでワンタッチというわけにはいきません。いちいち設定アプリを開かないといけないようですので、これじゃダメです。
Combo TouchとFolio Touchのキーボードバックライトは周囲の明るさセンサ(iPad本体内蔵のもの)と連動しており、明るい室内でショートカットキーで明るくする方をおしてもリミッターがかかり、明るい中でバックライトが明るく光りバッテリーを浪費することを防いでいます。
実際、iPadのフロントカメラレンズ側にある照度センサーに手を当てると、リミッターが外れますが明るい室内では目一杯バックライトの輝度を上げても効果が見えないですね(笑)。そういう意味でこの輝度センサーは実にうまくバッテリー消費を抑制する側に働いていると思います。
機能的に劣勢が目だつSlim Folio Pro
この5機種の中で唯一Slim Folio Proだけが一般の外付けワイヤレスキーボードのようにリチウムイオン電池を内蔵しBluetoothによる接続なので、バッテリー残量を頭の片隅に置かねばならいし、最初はペアリングも必要です。そういう意味でSmart Connector非対応のSlim Folio Proはめんどくさい。
キー配列もSlim Folio Proだけが唯一英語配列しか提供されていません。日本語配列に慣れている人はこれも結構気にすべき点です。筆者は英語キーにも慣れていますが、長年自宅のMacは日本語配列を使ってきたので、やはり英語配列は難点が多かったです。指が日本語配列を覚えているんですよね。
ペチペチとうるさいApple Smart Keyboard Folio
これは冒頭に紹介した当ブログ記事でも書いていますが、Smart Keyboard Folioだけが唯一パンタグラフ構造に一面ラバーのような素材でカバーしています。パンタグラフ式でユニットのある底面が直にデスクに接するためにペチペチ打鍵音がデスクに響きます。デスクの構造や材質によっては結構うるさいです。
JALのサクララウンジで使ったことがありますが、結構うるさくて気を使いました。カフェなどでも結構気になる音だろうと筆者は感じました。筆者基準ではちょっと実用に供し難いレベルです。
Combo Touch iK1176GRAレビュー
写真で見る
実機写真を交えてレビューしましょう。
iPad Pro 11に装着した状態。
Apple Smart Keyboard FolioやMagic Keyboardと違って側面もしっかり保護してくれます。USB TYPE-Cコネクタ部分もカバーするため、ケーブルのヘッドがでかいものだと刺さらない可能性があります。
キーボードは日本語配列です。Apple純正品には数字キーの上のiPadOSショートカットキーがありませんが、Logicoolのものにはついています。実はこれがとても便利なのです。左から…
・ホーム
・画面輝度を下げる
・画面輝度を上げる
・オンスクリーンキーボードの表示/非表示切り替え
・検索(iPadOS検索フィールド表示)
・キーボードバックライトの輝度を下げる
・キーボードバックライトの輝度を上げる
・メディアコントロール(戻る、再生/一時停止、進む)
・音量調整(ミュート、小さく、大きく)
・iPad画面ロック
…となっています。
画面輝度や音量、メディアコントロールはとても便利です。Apple純正品だと画面輝度はコントロールセンターを表示するかありませんし、音量は物理ボタンかコントロールセンターで調整するしかありませんが、いずれもワンアクションというわけにはいきませんのでめんどくさい。
iPad Priのカバー部とキーボード部はマグネットでつながっており、キーボードへの給電や信号やりとりは3つのポゴピン経由で行います。
本体側に5つの端子があるのが意味不明ですが使われるのは中央の3つ。
iPad Proの背面を見ると3つの接点があり(Smart Connector)、Combo Touch側にも3つの接点がありこれで電源をキーボードに供給し、信号やり取りをします。
使ってみる
キーの構造はシザー構造でMacBook Airなどと同じキータッチて全く違和感がなくタイプ音も静かです。Apple Smart Keyboard Folioがバタフライキーを一枚の整形樹脂で覆ったタイプで、タイプ音が机にカチカチと響くし全面を樹脂で覆ったタイプなので、好みはあると思いますが筆者は耐えられませんでした。タッチが悪すぎるし音がうるさすぎます。
Combo Touch iK1176GRAのチーピッチは実測16.5mmと標準の18mmや19mmより狭いですが、これは11インチのiPadである限りはApple純正でもそれ以外でも全て同じですのでこれに関しては優劣はありません。
キー配列も日本語なのでMacで慣れているように変換キーで日本語ローマ字モード、無変換で英数モードになるので、慣れたMacと同じように使えるのもメリットです。英数配列で日本語入力と英数入力の切り替えに戸惑うこともありません。
この記事の原稿はiPad Pro 11 第3世代でメモアプリを使って書いていますが、多少キーピッチが狭いことを除けば、いつも使っているMac miniやMacBook Airと比べてほとんど違和感がありません。
タイプ音は、Apple Smart Keyboard Folioのようにペチペチと感高い音は全くなく、MacBook Airと似たタッチですがもう少し柔らかい感じで、タイプ音は低く小さいので静かな場所でも、図書館などを除けばほ気にならないでしょう。カシャカシャ音がたまらず好きな人には向いていませんが…。
iPadOSのショートカットの輝度調整は使ってみると想像以上に便利。
いままでコントロールセンターを出さないと自動調整以外のレベルにできなかったので調整しなかったけど、周囲や背景の明るさによって自分の好みでまめに変えると結構眼も楽になる事を発見。なぜApple純正にこれがついていないのか疑問になります。
キーボードを外してキックスタンドを一番大きな角度で倒すと、iPad Proがスケッチ板のような筆記に適した角度になります。これはApple純正の2機種では不可能なところです。スケッチやお絵描き、手書きなどにはとても具合がよいです。
ただし、キックスタンドなので使用する時の底部の広さは奥行きが余分に必要ですが、これは外付けの折りたたみキーボードとタブレットスタンドを使うのと大差ありません。Microsoft Surface Go/Proと同じですね。新幹線や飛行機の比較的小さなテーブルでは多少使いづらいかもしれません。
タイプしているときの画面をタッチするとキックスタンドなので画面のぐらつきはありませんが、Magic Keyboardだとややぐらつきます。角度はSmart Keyboard Folioでは2段階のみですが、こちらはキックスタンドなので自由度が高いのもGOODです。
画面とキーボードが分離できることで重さ問題解消
過去、Folio Touchを使った時の最大の問題はその重さでした。
何をどうやっても1,136gになるというのは流石に耐えられませんでした。
しかしCombo Touchであればキーボードを外せば712gでありまして、ESRのカバーをつけた703gと大差ありません。これだけであれば、カバーをつけたのだからまあそうでしょう、というレベルです。
そしてキーボードをつけるとFolio Touchよりは軽い1,029gです。
純正のSmart Keyboard Folioをつけると906g(実測)でしたのでそれより100g重いことになります。しかしマウスを持つ必要がないこと、ペチペチとタッチが悪く甲高い音を立てるSmart Keyboard Folioより静かでかなり優れています。なんせタイプの感触がまるでことなります。
パームレスト部はクロスなので長年使うと汚れが出てくる可能性がありますが、MacBook Airのように冬場に手のひらがひぇーーーーと冷たく感じることは皆無。
Apple純正と比べて側面保護ができるのもメリットです。
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良いところ、困ったところ
良いところ
・Smart ConnectorでiPadと接続するので、キーボードのバッテリーやBluetooth接続が不要である。
・無線接続ではないので、購入してiPadにセットすれば直ぐに使えるのでペアリングのトラブルなど無縁。
・Apple純正と違って側面保護ができる。
・16段階のキーボードバックライトがある。
・シザー構造のキーボードでMacBook Airなどと同じような打ちやすいタッチである。
・タイプ音は低く小さな音なので、カシャカシャ、カチカチとうるさくない。
・日本語配列であるから普段使っているMacと比べて違和感がない。
・Apple純正にはないiPadOSのショートカットーがとても便利。
・キーボードが不要の時はキーボード部だけを取り外すと、通常の保護ケースをつけたのとほぼ同じ軽さになる。
困ったところ
・キーボード部を取り付けた状態で閉じると、キーボード部の外寸がカバー部より微妙に小さいため開きにくいのが地味に困る。
・キーボード部を取り付けて開くときに、どちらが本体側か一瞬認識できず本体を下、キーボードを上に開いてしまうことがある。
・Apple Pencilを早着(充電)状態で保護して止めるフラップがないためApple Pencilも一緒に持ち歩く時は、スリーブ等に入れないとApple Penciだけ落としてしまいそうだ。
・キーボードを装着すると1kgを超えてしまい、Apple Smart Keyboard Folio装着より100g重い(その代わりマウスは不要だが)。
総評
冒頭で比較した5機種の中では本機が一番アラが少ないと思います。
キーボード部を分離できることでApple Magic Keyboardのように本体だけを取り外して気軽に使うこともできます。Apple Magic Keyboardでは本体だけを外した時にiPadが裸になってしまうので滑りやすい(持っても置いても)ので不安ですが、本機の場合はキーボードを外しても本体画面以外はしっかり保護されていますので安心感が高いです。
価格的にもApple Magic Keyboardより随分安いです。お手頃とは言いませんが、許せる範囲ではないのでしょうか。