時間と映像を操る魔術師、クリストファー・ノーラン監督の映画「ダンケルク」

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クリストファー・ノーラン監督といえば、最近の作品では2020年公開で逆行する時間と通常の流れの時間が入り乱れるという「TENET(テネット)」や、2014年公開で時間の流れの速さが異なる世界を描く「インターステラー」などがあり、筆者が大好きな監督の1人です。今回は一見時間とは関係なさそうな「ダンケルク」を観ましたが、そこはノーラン監督で、やはり時間が….

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ダンケルクとは

ダンケルクは実在の地名で、フランス北部でドーバー海峡近くでベルギーとの国境に近い街です。

第二次世界大戦中の1940年に、ベルギーから国境を超えてきたドイツ軍に押され、35万人のイギリス軍とフランス軍兵士を脱出させた「ダイナモ作戦」が当時のチャーチル首相の命により実行されました。

歴史的には「ダンケルクの戦い」として有名で、以下のサイトに当時の写真が多く掲載されています。

[WORLD OF WARSHIPOS] 写真で見る海軍史: ダンケルク撤退作戦

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映画「ダンケルク」

映画「ダンケルク」は「ダイナモ作戦」を三つの視点から描いたものです。

公開(日本):2017年9月9日
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
制作:エマ・トーマス
出演:
フィン・ホワイトヘッド(「トミー」イギリス陸軍二等兵)
トム・グリン=カーニー(「ピーター」、プレジャーボートの船主である「ドーソン」の息子)
ジャック・ロウデン(「コリンズ」、イギリス空軍パイロット)
ハリー・スタイルズ(「アレックス」、イギリス陸軍兵士)
アナイリン・バーナード(「ギブソン」、ほとんど口を喋らない兵士)

視点「陸」

ダンケルクの海岸で脱出しようとする兵士(「トミー」や「ギブソン」たち)の視点で映画の中では、「陸」は一週間として描かれています。

台詞は非常に少なく、特に「ギブソン」はほとんど喋らない。「陸」では情景描写だけで話が進んでいきます。

視点「海」

ダイナモ作戦では兵士の脱出に民間船が徴用され、その中の一隻では所有者の「ドーソン」と息子の「ピーター」がダンケルクの海岸へ向かう状況が描写される。

「海」の描写は1日として描かれています。

視点「空」

ダイナモ作戦を阻止しようとするドイツ空軍からイギリス・フランス両軍兵士を守るべく、スピットファイアーでドイツ軍のメッサーシュミットと空中戦をする「コリンズ」らのイギリス空軍パイロット。

「空」の描写は1時間として描かれています。

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時間を操る描写

これだけだと単なる戦争映画のようですが、ノーラン監督らしいのは「陸」「海」「空」と時間の長さがことなる状況を並行して描写して映画が進んでいきます。

世間で普通にあるのは時間軸と時間の速度は同じで、違う場所の状況を並行して描写するというものですが、ノーラン監督はあえて「陸」の一週間、「海」の一日、「空」の一時間を並行して描いています。

そして最後のシーンでそれが一つの点に合流するというものです。

逆行する時間の流れの描写などはないので理解するのは難しくありません。ともすると三つの視点が同じ時間の長さだと思ってしまいますが、陸での出来事と空での出来事が同じ時間の長さであるわけがないのは、映画を見ているとすぐにわかります。

第二次大戦の一部を描いた戦争映画に終わらせず、ノーラン監督の映像と時間の哲学のようなものが、ここにも盛り込まれています。

異なる時間の流れや異なる時間軸を並行して描くというのはノーラン監督らしいやり方でしょう。

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配信はどこで?

2024/03/20の時点で以下のサイトで見放題(追加料金なし)で配信されているようです。

  • Amazon Prime Video
  • U-NEXT
  • hulu
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