気象庁は7月16日に「関東甲信・東北南部・東北北部が梅雨明けしたとみられる」と発表しました。気温が上がると熱中症患者も増えていきます。さらに年齢層により熱中症の発生場所も大きくことなります。
2020年夏の気温と熱中症の相関
まずはデータを見ようということで、2020年7月から9月の東京の最高気温と熱中症救急搬送者数を調べてみました。
クリックするとグラフが画面サイズに拡大します。
このグラフで青のぎざぎざ線が東京の最高気温、緑の破線は東京の最高気温の平年値、赤の棒グラフが東京の熱中症搬送者数です。
2020年の関東甲信の梅雨明けは8月1日頃で熱中症搬送者数も梅雨明け近くで気温が上がり始める7月31日ごろから増加しています。
そして8月11日にはこの夏の最高気温37.3℃を記録し一週間遅れの8月17日にこの夏最高の363名の熱中症救急搬送が記録されています。
気温のピークは2020年のデータでは迎え盆(7月)あたりから送り盆(8月)ごろまでの期間がピークとなるようで、それにほぼ同期して熱中症による救急搬送が増加しています。
熱中症の発生場所と予防
最昔は日射病と称したように屋外で起こるのが多かったのです。
しかし、住宅の機密性が高くなった、言い方を変えれば家の中を隙間風が通らなくなり状況が変わってきたようです。
年齢区分別の救急搬送人員(令和元年6月~9月)では、65歳以上の高齢者が53.3%と最も多く、ついで19歳~64歳が37.8%となっています。
発生場所別の救急搬送人員(令和元年6月~9月)では、住居の中が40.2%と最多、次が道路や交通機関の30.5%です。
この発生場所は年齢により大きく異なっています。多い順に並べてみます。
・小中学生:学校/児童施設→公園/遊園地/運動場→道路/交通施設
・高校生:学校/児童施設→道路/交通施設→公園/遊園地/運動場
・19歳~64歳:道路/交通施設→住宅等居住場所→工事現場/工場→店舗/遊戯施設等
・65歳以上:住宅等居住場所(56.1%)→道路/交通施設(31.6%)
注意したいのは、大人(19歳以上)と子供(小学生~高校生)、高齢者では多発箇所がかなり異なることです。
19歳以上では子供ではあまりなかった「住宅等居住場所」が多くなり、高齢者では過半数が住宅等居住場所になります。
起床時から脱力感があり動く事ができず、様子を見るも症状が改善しない。
【6月 60代 熱中症の疑い(中等症) 気温26.0℃ 湿度76%】
エアコンをつけず、扇風機をつけた状態でぐったりした。
【8月 60代 熱中症(中等症) 気温33.4℃ 湿度62%】
出典:東京消防庁<安全・安心><トピックス><熱中症に注意!> (tokyo.lg.jp)
梅雨の最中で気温はさほどでなくても湿度が高いと熱中症の危険がある。
30℃を超えると室内でも扇風機だけではアウト!エアコンを使わないと危険。
気温(室温)というのは慣れもあるし、高齢になると暑さを感じにくくなるし冷房が嫌いな人が多いということでなお熱中症の危険が高まります。
それは救急搬送のデータが示しています。
・室内に温度計を置き28℃を超えたらためらわずに冷房を使用する。
・サーキュレーターを使い室内の冷気がまんべんなく行き渡るようにする。
高齢者などでエアコンが嫌いな方は、風が直接当たらないような風向きにエアコンのルーバーをセットし、サーキュレーターを置いて部屋の空気を攪拌しましょう。
室内には温度計を置いて28度を超えないようにする。
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筆者宅ではリビングでエアコンが取り付けてある側の反対側の壁近くの床にこんなやつを置いてあります。
左右上下に回転するように首を振って風をおくってくれます。
Amazon Echoと「扇風機」の機器名で連携させているので「アレクサ、扇風機をつけて」でサーキュレーターが動き出します。
ちなみにサーキュレーターを洗濯も室内干しの下に置き、風を上向けで首を振って動かすと、劇的に早く乾くようになります。
温度計も重要ですので、エアコンの風が直接当たらないところで人が日常的にいるあたりに置いてちょくちょくチェックしましょう。
28度を超えたらエアコンをつける目安です。
特に、高齢者と同居されている場合は家族の方が気を配るようにしましょう。
コロナ対策はかなり用心してワクチン接種もしてコロナ禍をくぐり抜けてきたのに、熱中症で救急搬送されたのでは洒落になりませんから。
まとめ
東京では気温もピークとなる迎え盆〜送り盆の前後まで、京都でいえば祇園祭〜五山送り火あたりまでが熱中症のピークとなる。
熱中症は年代により多発場所が異なり、小中高生は学校がもっとも多く、社会活動が中心となる19歳〜64歳では道路や交通機関が多くついで住居内となる。高齢者は住居内での発生が56%と過半数を占めている。
梅雨時で気温は28度を下回っていても湿度が70%を超えると高齢者では熱中症の危険が高くなる。
室温が28度を超えると低湿度であっても高齢者では熱中症のリスクが高くなるので、28度を超えたら躊躇わずにエアコンを使う。
エアコンの効果を高めるためにはサーキュレーターを使うと良い。