Google Pixel 6が発表されました。Pixel 5aとGalaxy S21 Ultra 5Gの両方を使っている筆者から見て、Pixel 5シリーズから買い換える価値があるかどうかを独断と偏見で論じます。
Pixel 6シリーズの特徴
専用のプロセッサの採用
今までスマートフォンで自社開発チップを搭載しているのはApple iPhoneだけであとは汎用チップ、たとえばSnapdragonなどを搭載しているのがほとんどでした。
今回GoogleはPixel専用チップとしてGoogle Tensorを開発して搭載しました。
Apple iPhoneはiOSのバージョンをかなり長い期間サポートしています。たとえば最新のiOS 15はiPhone 6sという2015年9月に発売された機種、なんと6年前にサポートされた機種もサポートしています。
それに引き換え、Androidでは次のメジャーバージョンが提供されるかどうかすら怪しいのが実情です。これは一つには採用しているプロセッサ(多くはSnapdragon)のバージョンアップに、各メーカー用がカスタマイズしたAndroid OSが追従しきれないと言われています。
Google Tensorがそれを解消するかどうかは不明ですが、Android OSのOSアップデート保証は3年間、セキュリティアップデートは5年間としています。Androidは毎年新しいメジャーバージョンがでますので3世代のメジャーバージョンまでカバーするわけです。
Googleフォトとの組み合わせで進化したカメラ
最近の新モデルスマートフォンの進化点のウリの多くはカメラです。
カメラ以外の性能は次の世代の技術革新が訪れるまではマイナーチェンジでぼちぼちというのが実情です。
今回のGoogle Pixel 6では何が進化したのでしょう?
一口に言えばセンサーサイズの大型化とProモデルでのペリスコープ構造による4倍望遠カメラ(104mm相当)です。さらにGoogle TensorとGoogleフォトのペアで実現している「消しゴムマジック」(写り込んだ余計なものを消せる)、選択した部分だけ流れ・動きを作るような「モーションモード」ができる。これらはディープラーニングにより学習していくというので使えば使うほど使い手にフィットしてくれると思われます。
ただし、これらはいつもいつも必要ではないことも覚えておくべきです。
Pixel 6とPixel 6 Proのメインカメラは50Mピクセルで換算26mmでセンサーサイズ1/1.31″、1ピクセルのサイズは1.2µm。それに比べると前モデルのPixel 5aとPixel 5のメインカメラは12.2Mピクセルで焦点距離は換算27mmで1/2.55″, 1ピクセルのサイズは1.4µm。
センサーサイズが大きくなったのみならず、複数のピクセルをまとめて一つのピクセルとして扱えるピクセルビニングにより12.5Mピクセルの画像を従来にくらべて150%多くの光量を取り込めるとされています。ちなみにピクセルビニングは筆者のGalaxy S21 Ultra 5Gでも採用されています。
これらのモードについては以下に紹介されていますのでご参考までに。
Pixel 6 Proの4倍望遠は換算104mmなので日常撮影や旅行などで多いに威力を発揮する。筆者のGalaxy S21 Ultra 5Gも3倍望遠72mmを持っているのですが、これが大変活躍の場が多いのです。
Pixel 5シリーズとのスペック比較
主要項目を比較しましょう。
速度面ではGeekbench 5スコアを見るとPixel 5aのほぼ2倍、筆者のGalaxy S21 Ultra 5G(Snapdragon 888)がSingle-Core Scoreが1037、Mult-Core Scorega3354なので性能的にはSnapdragon 888に迫るもののようです。
Pixel 5a | Pixel 6 | Pixel 6 Pro | |
プロセッサ | Snapdragon 765G | Google Tensor · Titan M2 | Google Tensor · Titan M2 |
メモリ | 6GB | 8GB | 12GB |
ストレージ | 128GB | 128GB or 256GB | 128GB or 256GB |
外部ストレージ | なし | なし | なし |
Geekbench 5 (GSMArena) | 569:Single-Core Score 1323:Multi-Core Score | 1029:Single-Core Score 2742:Multi-Core Score | |
生体認証 | 背面 | 画面内 | 画面内 |
サイズ | 156.2 x 73.2 x 8.8mm | 158.6 x 74.8 x 8.9mm | 163.9 x 75.9 x 8.9mm |
重さ | 183g | 207g | 210g |
バッテリー(標準) | 4680mAh | 4614mAh | 5003mAh |
充電 | USB-PD 2.0 対応 18 W充電に対応 | USB-PD 3.0(PPS)30W充電に対応 | USB-PD 3.0(PPS)30W充電に対応 |
ヘッドフォン端子 | ○ | なし | なし |
ディスプレイ | 6.3インチ 2,400 x 1,080 | 6.4インチ 2,340 x 1,080 | 6.7インチ 3,120 x 1,440 |
カメラ(望遠) | なし | なし | 48 MP f/3.5 104mm 1/2″ |
カメラ(広角) | 12.2 MP f/1.7 27mm 1/2.55″ 光学手ブレ補正 | 50 MP f/1.9 26mm 1/1.31″ 光学手ブレ補正 | 50 MP f/1.9 26mm 1/1.31″ 光学手ブレ補正 |
カメラ(超広角) | 16MP f/2.2 16mm | 16MP f/2.2 16mm | 16MP f/2.2 16mm |
価格 | 51,700円 | 74,800円 | 116,600円 |
バッテリー充電がPD3.0に対応してより高速な充電が可能になっているのがPixel 6シリーズ。これには30WのPD(PS)対応充電器を使うとより充電時間が短くなります。
前述のとおり、Pixel 6 Proはペリスコープ構造の4倍望遠カメラで、104mm相当の望遠レンズはかなり使いみちがあります。旅行やスナップ撮影では26mm相当ではちょっとつらいシーンが少なからずあります。
Pixel 6 Proは内容的には、SIMフリーではありませんがSamsung Galaxy S21ないしS21 Ultraとライバル関係にあると筆者は思います。
価格的には、Pixel 6 ProはGalaxy S21(docomo版)より約1万6千円ほど高くなりますのでちょっと微妙な気もします。docomo契約をいとわない、あるいは現在docomoを使っているならPixel 6 ProかGalaxy S21やS21 Ultra 5Gにするか悩んだほうがよい.かもしれません。
さてPixel 5a/5から買い換える価値があるかどうか?
これは筆者の私見では以下のようなことに当てはまる人であれば買い替えのために見当の余地はありでしょう。
・現在のPixel 5a/5のパフォーマンスで不満があるが非中華のSIMフリーでないと嫌な人
・3倍とか4倍の望遠カメラのついている非中華のスマホが是非欲しい人(ただしGalaxy S21やS21 Ultraも見当の余地あり)
・Pixel 6/6 ProのGoogleフォトと組み合わせて得られる新機能に魅了された人
コストだけで比べれば中華スマホの価値であるのは間違いないですが、個人的には二度と中華スマホを買わないときめているので、あえて本ブログでも中華スマホは勧めません。
まとめ
Google Pixel 6 /6 Proは、全シリーズの5/5eから比べてTensorプロセッサによる処理速度は2倍に向上。
Googleフォトとの組み合わせで「消しゴムモード」「モーションモード」など普通のカメラやスマホでは後処理で高度な技が必要なものも簡単にできてしまうが、いつもそうした機能が必要かどうかは疑問である。
無印の6と6 Proは望遠カメラの有無の差が大きい。そのために4万円を追加する価値があるかどうかは個人の価値観だが、間違いなく3倍以上のデジタルズームではない望遠カメラは欲しいところである。
Pixel 6 ProはGalaxy S21やS21 Ultraとライバル関係になりそうだ。docomo契約が嫌でないとかすでにdocomo SIMがあるならば、Galaxy S21やS21 Ultraも考慮したほうが良い。
Goolge Pixel 5/5aユーザーは、処理速度に大きな不満がない限り無理して買い換えるほどでもない。