2018年12月にジンバル内蔵小型ビデオカメラのOSMO Pocketがデビューしました。翌年2月に購入して遊んでいましたが、画面小さすぎてバッテリー周りもやや問題ありで使わなくなって売却。それから4年半、衝撃的な進化をしてOSMO Pocket 3が登場しました。スペックをはじめOSMO Pocketで不満だった点が全て解消されています。しかし小型ジンバルカメラならではの弱点はそのまま。
OSMO Pocketシリーズ比較
OSMO Pocketは初代、2、3と出ており、初代と2はマイナーチェンジですが、3は激変です。
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アクションカメラ DJI Osmo Pocket 3 ジンバルカメラ
初代のOSMO Pocketを使って感じた良いところ・悪いところを記事にしたのがこちら。
難点のうち「上下動」はジンバルの持ち方の問題と歩き方の問題が大きいです。
まっすぐ垂直に立てて持つとほとんどのジンバルやアクションカメラでは上下動が発生しますので、OSMO Pocketだけの問題ではありません。
ディスプレイ大型化と90度回転
最大の進化はディスプレイです。
初代と2の1.08”は小さすぎて豆粒モニターです、ないよりはマシ的な感じで撮影中のモニター役割をさせるのはかなり難しかった。回避策としてユニバーサルポートにLightningアダプタをセットして、モニターとなる当時のPhone 8に付けて一体化して使用していました。
OSMO Pocket 3ではモニターが2”になり、さらにワンタッチで縦横切り替えして、ショート動画に適した縦画像も簡単にとれるようになりました。
(公式YouTube)DJI Osmo Pocket 3の魅力を15秒に凝縮してみました
収納状態が縦長なので、逆に言えば撮影するときにはカチャンと90度回転させる必要があります。
横長状態が基本撮影スタイルですが、普通に大きめ画面で設定や撮影中モニターができるのは当たり前のことが当たり前にできるようになったのは好ましい。
しかし縦長撮影については個人的にはメリットを感じません。単純に縦長動画だけをさくっと取るなら、スマホのほうが圧倒的に機動性が高いです。
バッテリー周り改善
OSMO Pocketではスペック上の動作時間は140分であり、フルチャージに73分かかること。そして、バッテリ交換ができないのが難点でした。
しかしOSMO Pocket 3では、動作時間は166分になりさらに950mAhのバッテリーハンドルを本体下部を延長するように付ければ約62%の動作時間延長、つまり約100分ほど延長できます。
充電時間も短縮されており、65WのPD充電器(DJI製)を使って16分で80%、32分で100%充電ということです。AC充電なら問題ありませんが、モバイルバッテリーで65Wというのは難しいので現実には30Wでしょう。
30W充電した時にどれくらい時間がかかるのかはデータとして開示されていません。単純に考えると推測ですが80%充電には30分、フルチャージには1時間ほどはかかりそうです。
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筆者はこれ(↑)のケーブル無しのタイプを愛用しています。
音の改善
OSMO Pocketだけを使って撮影しながらしゃべっている動画がこちらです。
(YouTubeチャンネル)日本一短い鉄道の駅から航空科学博物館・ひこうきの丘へ飛行機写真を撮りに行く
この動画はOSMO Pocketの内蔵マイクだけを使っています。
初代のPocketでも、大抵の動画カメラより喋る声がはっきりとわかりやすく、風切り音や周囲ノイズを抑え気味で録れています。
これが、OSMO Pocket 3になるとさらに良くなっているようで、撮影例を見ても非常にナレーションが聞き取りやすい。
(YouTube ワタナベカズマサ氏)【速報】DJI Osmo Pocket 3ついにキター!!想像の先を行く進化をしてました。
上の動画で屋外ロケのワタナベカズマサ氏の声がポイントで、聞く限りにおいてはかなりクリアになっており結構驚きました。GoPro HERO 11や大抵のスマホ・一眼では外部マイクを使わないとこうはいかないです。
GoProや一眼、スマホでナレーションも同録する場合には音声を綺麗にとるためにRØDE Wireless Go IIを買ったりしました。有線のラベリアマイクだとカメラを置いて離れようとしてカメラが机から落ちそうになったり…。
暗所性能向上
初代OSMO Pocketは夜景がとりたてて得意ということはなく、まあ、こんなもんでしょ、的な感じでしたが、かなりよくなっているようです。
(YouTube ワタナベカズマサ氏)【神機確定】DJI Osmo Pocket 3で夜景動画を撮ったらエグすぎる結果に
OSMO Pocketシリーズ共通の欠点
OSMO Pocketシリーズはよく出来ていますが、アクションカメラではないので使い方には注意が必要です。どちらかといえば、スマホ+ジンバルを小型化しただけと思ったほうが良いでしょう。
物欲を抑えるためあえて欠点も挙げてみましょう。
ジンバル部分が衝撃などに弱い
大きな1眼用のガッチリしたジンバルならまだしも、OSMO Pocketシリーズのジンバル部は非常に小型軽量で華奢にできています。
保護ケース無しでバッグとかに放り込むとかなりの確率で壊れる可能性が高いです。
まして、うっかり滑り落ちて床に落下したりすると、ジンバルがイカレるかもしれません。
扱いには十分注意する必要があります。
スマホを扱うつもりで手荒に扱うと壊れるかもしれません。
初代OSMO Pocketを使っていたときはジンバル部分には気を遣っており、カバンなどにしまうときは必ず保護カバーを装着しました。出先で保護カバーがなくなるとヤヴァいかも。
防水・防滴ではない
アクションカメラ(GoProやOSMO Action)はもちろん少々の雨は全然問題無しですし、今時のスマホもたいていは雨の中でも平気なものがほとんど。
しかしOSMO Pocketシリーズは防滴ですらないので、撮影中に雨が降ってきたら急いでバッグにしまわないといけないでしょう。
スマホのつもりで雨が降り始めたからといって知らぬ顔で撮っていると何かの障害が発生するかもしれません。
アクションカメラと比べてどうか
GoPro(筆者はHERO 11)やOSMO Action 4、Insta360 Ace Proといったバリバリのアクションカメラは四角くコンパクトにまとめられ防水性能を高めるために密閉構造になっています。
高い密閉性能と引き換えに、GoProなどでは「熱停止」問題は不可避です。
巷で熱暴走と言われたりしますが、熱暴走は発熱により素子が破壊されてしまう不可逆な現象であり、熱停止は熱暴走に至るのを防止するために、一定温度になると動作停止をする保護機能が働くことです。
GoProで4K60p撮影すると結構短時間で発熱のために停止してしまいます。バッテリードアを開放すればましになりますが、そもそも撮像素子や画像処理チップからの発熱がバッテリーに伝わるとバッテリー寿命も縮めてしまいます。
その点、OSMO Pocketシリーズはバッテリーと撮像素子や画像処理チップが離れているので、OSMO Pocket 3で熱停止したというレビューには遭遇しませんでした。実用範囲内において熱停止の心配はしなくてよさそうなのは最大のメリットです。
筆者的結論
初代OSMO Pocketの不満点が大きく改善されてるのは事実であり非常に魅力的です。
しかし全体的に脆弱に出来ているので、取り扱いには気を使う必要があります(初代OSMO Pocketからこの点は変わらない)。特に保護カバーは必須。
それが故にさっとポケットから出してサクッと撮って適当にガサっと放り込むのは難しいです。これは初代OSMO Pocketとなんら変わりません。 サクッと撮るならGoPro HERO 12かOSMO Action 4を買った方が安心して扱えます。
機動性がありそうで実は起動性にかけるというのが初代OSMO Pocketであり、それはOSMO Pocket 3も同じ。
脆弱性と進化点と価格の大幅上昇を考慮すると「買わないでスルー」が筆者の結論…..?
ネガティブ面を強調して自分に言い聞かせないと「購入を我慢するのが難しい物欲刺激機種」であります。
脆弱性の問題は確かにありますが、DJI Care Refreshに加入しておけば2年版であれば4回まで、1年版であれば2回までリフレッシュサービスを1回4,730円で受けることができます。修理費用が高そうな携帯デバイスではこの手の「保険」的なものの利用も前向きに考えるべきです。
い、いかん…..