皆さんは電子書籍を利用されていますか?筆者もAmazon Kindleは時々使っていまして主にはスマホ(Galaxy S21 Ultra 5G)で通勤時などに読んでいます。自宅で本の山が出来ないとか思いついたときにすぐに読めるなど良いことが沢山!でも実は大きな落とし穴もあります。
電子書籍市場
インプレス総合研究所の「電子書籍ビジネス調査報告書2020」によれば2021年には5,000億円を超える予測だそうであります。
といっても8割ほどの4002億円はコミックのようです。
556億円程度が電子書籍における文字もの(文芸・実用書・写真集)の市場規模ということです。
これだけでは多いか少ないかよくわかりません。
紙の書籍市場
出版科学研究所の2020年出版市場(紙+電子)によれば紙の出版物(書籍・雑誌合計)の推定売上金額は1 兆 2,237 億円とのことで、書籍が6,661 億円とありコミックを含む雑誌は5,576 億円なのだそうであります。
この場合の書籍には児童書や参考書、文芸書、ビジネス書、コンピュータ書、ゲーム攻略本などがふくまれているそうですが、電子書籍における文字ものと同じものかどうかはわかりません。
規模比較
上記のデータからめちゃくちゃざっくりで推測ベースで規模比較をしてみましょう。
電子書籍(コミック・雑誌以外)の売上規模は、紙の書籍の十分の一程度だと推測できます。
コミックはどうか?
前述の数字では雑誌も含んでいたりしますが、電子書籍のコミックの市場規模は紙のコミックの市場規模に肉薄していると推測できます。
電子書籍市場はコミックが牽引して拡大しているといえます。
電子書籍と紙書籍の違い
ここからが一番大切なことです。
電子 | 紙 | |
購入 | 24時間自宅に居ながら即買える | 書店に行かないと買えない |
価格 | 紙と同じか少し安い | ー |
所有権 | 購入しても所有権はない | 印刷物としての書籍の所有権は購入者にある |
保管場所 | 物理的な場所はとらない | 本棚が埋まっていく |
重さ | それそのものは重さはない(ブックリーダーやスマホ・タブレットの重さのみ) | 文庫本は軽いが単行本は重い |
保存製 | パソコンやタブレット・スマホが生きている限りは問題なし | 濡れたり・日焼けしたり・破れたり |
注目したいのは所有権です。
まずはKINDLEストアの利用規約を見てみましょう。
Kindleコンテンツは、コンテンツプロバイダーからお客様にライセンスが提供されるものであり、販売されるものではありません。
Amazon.co.jp ヘルプ: AMAZON KINDLEストア利用規約
次はhontoのサービス利用規約
第2章 電子書籍配信サービス
第21条(電子書籍配信サービスの注文と取引の成立)
1.電子書籍配信サービスは、DNPが日本国内の会員からの求めに応じて電子書籍を配信し、その使用を許諾するサービスです。
honto – サービス利用規約
わかりますか?
使用許諾でありそれを販売しているのではないと明記しています。
その結果何が起こるか?
電子書籍事業者・出版社・著作者の意思で電子書籍による公開を停止することがあり、公開停止となると原則は手元の電子書籍も読めなくなります。
すなわち電子書籍は初期一括払い定額無期限レンタル商品ともいえます。
電子書籍を買った人は、それを読む権利はありますが他人にあげたり売却したり所有する権利はありません。
書籍の公開停止ならともかく、もっと怖いのはアカウント停止です。
購入者としてのアカウントであれば出品者ほどリスクはありませんが次のことに気をつけねばなりません。
・発送処理開始後のキャンセルや受取拒否の繰り返し
・商品不良以外での返品の繰り返し
・支払い遅延
注文して即時、まだ処理に入る前のキャンセルであればご発注の可能性がありますから問題はないのですが、特に発送処理開始後のキャンセルはAmazonにも手間がかかりますし、まして受取拒否は論外でしょう。
Amazonの場合、一旦アカウント停止を食らうと、再度滅メールアドレスで作ろうとしても、住所や氏名、電話番号、クレジットカード番号等々の登録されている情報から同一人物かどうかを判定して再登録拒否となるそうであります。つまり一度アカウント停止を食らうと実質的に最悪二度とAmazonを利用できないといいます。結婚して引っ越して名字も電話も変わって、カード番号も変わって…とならない限りは….結構絶望的だと効いたとこがあります。筆者は中の人ではないのであくまで伝聞です。
別にAmazonが悪いわけではなく、リアル店舗であっても何度も理由なく返品するとか金払わないといった客は店側にしたら出禁したくなるでしょう?同じことです。
どこの電子ブック事業者にせよアカウント停止・削除を食らうと、買った電子書籍も全て利用できなくなります。このリスクは低いですがありえない話ではない。
さらに可能性としてありうるのは電子書籍事業者の倒産や事業停止です。
今の所、聞いたことはありませんが可能性としてゼロではない。
紙の書籍であれば出版社が倒産して事業停止しても買った本は廃棄しない限り手元に残りますし、古書店を探せば見つかる可能性もあります。しかし、電子書籍は事業者がなくなると電子書籍もなくなります。
しかし悪いことばかりではないです。
あっては困りますが、電子書籍を入れた端末がなくなった(本をなくした)場合でも、原則は違う端末で再ダウンロードすればOKですからそこは紙の書籍より都合が良いです。
もっとも、端末がなくなると電子書籍が使えなくなるとかどうでもいいくらいの面倒なことになりますが。
まとめ:手元からなくなるリスクを覚悟せよ
電子書籍は紙の書籍のように物理的な物を買って所有権を得るのではなく、単なる利用権を得るだけ。
事業者・出版社・著作者の都合で公開停止すると利用権も消滅して読めなくなる。
アカウント停止を食らうと利用権を購入した電子書籍も全て利用できなくなる。
何度も読みたくなる、手元に置きたいような本は必ず紙の書籍を購入せよ!