縁あって居住しているマンションの自治会役員をやっている身として、必要性を感じるのが自治会のIT化です。しかし、IT導入に関しては相当ハードルが高い組織というか人々の集合体です。会社組織であれば、IT部門がいて従業員の教育などもできますが、社会の縮図である自治会では無理です。
IT化には限度がある
会社であれば、社内ポータルサイトにいろいろな情報を掲載して情報展開できますし、情報共有もビジネス用クラウドを利用してほぼ問題なく行えます。メールにしても仕事であればメールは見て当然であり、もし見ないで何か事件が怒ったとしてもそれは見ない貴方が悪いということになります。
しかし、(筆者の場合はマンションの)自治会というのは社会の縮図であり、ITとは無絵な高齢者も多くおられますし、皆が皆IT化に賛同するわけでもありません。
会社のように社内ポータルに全社向け掲示に出して、読まない貴方が悪いというわけにはいきません。
対象居住者への情報展開にしても昔ながらの掲示板とか回覧板とか印刷して個別投函といった原始的な手段がファーストチョイスとならざるをえません。
その原始的な手段ですら、見ない・読まない居住者は少なからずいるわけでありまして、会社組織ですら100%徹底した情報展開はなかなか難しいのですから、一般社会の縮図である自治会に至っては….です。
現時点では補助的な手段として自治会専用のWeb掲示板のようなものを立ち上げて、そこにマンションの管理規約やお知らせなどを入れることは可能で、Web閲覧に抵抗のない方々には見ていただけるでしょう。ですが、あくまで補助的な手段にしかなりません。
これを主たる手段に決めたとしても、こうしたITサービスを利用できない方向けには従来の印刷物による情報展開は不可欠なのが実態です。
自治会役員会のIT化
いきなり全居住者を対象としたIT化はハードルが高すぎますし、住民の皆さんからの抵抗もかなり予想されます。
そこで自治会役員会がまずは率先してIT化を進めてはいかがでしょうか?
みなさんの自治会の役員会会合で印刷物が氾濫していませんか?1年あるいは2年の任期を終えるころには山のような紙が自宅のダンボールに入ったりしていませんか?
筆者が関与している自治会では、マンションの共有棟会議室でようやく共有のWifiが使えるようになったのをきっかけに、プロジェクタを導入して説明資料などは事前にメールにてPDF送付しておき、会議当日は各自のPCやMacあるいはスマホから会社の会議のようにプロジェクタで資料を投影して進めるようになりました。
これにより当日まで打ち合わせ内容がわからないとか、紙が氾濫するようなことは激減しました。
現在、役員の連絡はメールを使っていますが、会社と違ってメールはなかなか見てくれない(見ないわけではない)ので周知徹底が遅くなったりします。返信を求めてもメールに返信という習慣がないのか好きではないのか返事が来なかったりします。
世間一般の話として、メールというのはある世代より若い日本人については、もうレガシーな連絡手段となってしまっているような気がしますし、ある程度以降の世代の多くはメールそのものを使えない人も多いわけです。スマホは持っていてLINEやfacebook・Messengerは使うけど、メールなんか使わないとか、DMやニュースメールを見るだけとか….もっぱら受動的な存在なのがメールのようです。
自治会役員会議でのLINE WORK
LINEは日本ではかなり使っている人が多く、自治会役員も例外ではありません。
しかしLINEは使い方や設定を謝るとあらぬ人まで友達になってしまったりします。筆者の場合LINEは家族・親族に限っていますので、自治会とはいえ赤の他人と使う気はさらさらありませんし、100%お断りです。
いろいろなツールを調べたり一部をトライアルしましたがどれもイマイチだったり利用料が高すぎる。
最後に思いついたのがLINE WORKSです。
LINE WORKSはビジネス(法人)向けのLINEでもちろん有料ですが、フリープランもあります。
・最大100人まで
・ストレージ5GB
・音声/ビデオ通話/画面共有は最大4人・最大60分
・トーク、掲示板、カレンダー、タスク、アンケート、アドレス帳などはある
・管理機能は有料プランに比べて制限あり
・1年間メンバー全員ログアウトしている状態が続くと自動的に全削除
100人なので居住者には無理でも、自治会役員といった限られた人数であれば適用可能です。
[公式] LINE WORKS
一般の役員(参加者)から見れば、LINEと極端に違わないので抵抗は比較的少ないですが、管理者はそれなりの知識が必要です。
法人向けなので法人内の情報システム担当者を想定しているわけであり、言葉を選ばず書けばITど素人は想定していませんので、もし自治会役員の中にそうした人がいなければ厳しいかもしれません。
自治会役員会とITの相性の悪さは解消できる
IT視点で最大の難点は任期制かつ輪番制です。
仮に今年はITに詳しい人が複数名いても、来年はゼロ名かもしれません。
その場合、任期を超えて自主的に(volanteerとして)IT系の面倒を見てもらえるような方を複数名確保して、ITサポーターズのようなチームを作る必要があります。
そのためには自治会の規約を改訂しなくてはならないかもしれません。
会社であればスキルを持った人を後任に引っ張り込むことは大して難しくはないですし、業務ですから覚えて業務をしなさいという指示も出せます。しかし、1年ないし2年の任期が決まっていて抽選などでメンバーが決まる自治会役員だけで長期に渡りIT環境を維持するのは絶対不可能です。
IT化に意欲のある役員複数名でITサポーターズを立ち上げて、自治会で公認の存在として位置づけて少しずつ活動していきましょう。最大の役割はIT導入・維持もありますが、毎年変わる役員へのIT化の啓蒙です。