仕事を通して得られるものは、第一に収入、第二に経験と知識や技術だというところに関しては異論はあまり無い思いますが、人生の残り全てという長いスパンで考えると、人との良い繋がりが得られることが、経験や技術よりも大切なのではないかと思います。繋がりとコネは同一ではなく全く異なるものであることも忘れてはいけません。
コネと繋がりは違う
「コネ」と「繋がり」は全くの別物です。
『どうしたの?それ?普通は買えないでしょ?』
『まあ、ちょっと関係筋にコネがあってね…』
こういうシチューションで登場するのが「コネ」。
「コネ」は日本社会ではネガティブな意味で使われることが多く、自分より上の立場にいる人や、自分より大きな権力を持っている人に、通常ではその恩恵を受けられないはずなのに、正式な手続きを経ずその影響力を自分に対して及ぼしてもらうことです。
一方Give&Takeが基本の欧米社会ではコネ(Connection)はかなり意味が変わります。文字通りConnectionであり「繋がり」の意味が強くなり、一方的に便宜を図ってもらうだけはありません。
欧米社会の基本はGive&Takeなので世話をしてもらったら次の機会には世話をしてあげるという精神が大切になります。
「コネ入社」は欧米にもあるようですが、日本と違って「コネ」であっても仕事ができなければクビであり、そのコネとなった(世話をした)人の評価も当然下がります。「コネ」で入社した人は実績を上げて会社の業績に貢献することでコネを提供してくれた人や自分自身の評価を高めるのが「コネ入社」のGive&Take。常に互恵関係にあるのが基本です。
「繋がり」は欧米社会でいうConnection(コネ)に近いものですが、もっと広いものです。
単なる利害ではなく、人の成長という意味においても違いに良い影響を受け合うことまで含めるのが「繋がり」、利益などを超えて心と心が通い合うのが繋がりだと思います。
会社では繋がりを作る
人と人とが何かのきっかけで知り合い合流を深め繋がりが生まれます。
会社では仕事を通じて社内外の人と知り合いになり、稀に仕事の枠を超えて個人的に親しくなり友人関係になることもあります。単なる飲み友達という浅い関係ではなく、違いにいい意味で刺激し合って成長できるような仲、そういう繋がりを会社の仕事を通じて築くこともできます。
世の中の成功者というのは、日本でいう「コネ」の多い人ではなく「繋がり」を多く作り育てて行ける人です。
何かビジネスのアイデアを思いつくというのは、まあまあよくある話。アイデアだけならいくらでも出てくるけど、ビジネスにまで広げるのは一人では無理。
そんなときに多くの繋がりがあれば、 アイデアに賛同していろいろな形で支援や協業を申し出てくれる人もあるでしょうし、この部分はどうしよう….というときも繋がりのさらに繋がりで、適切な人材が見つかるかもしれません。
最初からこういうことをあてにしては繋がりは生まれませんが、肌感覚で「ウマが合う」「何か引き合うものを感じる」ようなところを感じたら、最初は飲みに誘ったりして手探りでこの先関係を深めても良い人物かどうか、繋がっても良いかどうかを探りましょう。
会社から得られるもの
結局のところ、冒頭のように第一に収入であるのは言わずもがなでこれがなければ話になりません。
会社で仕事をする以上は、仕事を通じて身につけて役立つことは(産業スパイとか情報漏洩ではありません)沢山あるはずです。
しかしそれらのノウハウや知識・経験だけで満足するのではなく、一生の宝物になる人との繋がりを増やし育てていくのは、社会人にとって会社は非常に良い場所です。
逆に言えば、どう転んでも繋がりが作れそうも無い会社で、収入も伸びず他に得られるものもないのであれば、とっとと転職すべきです。人生は一度きりなのでそんなところに時間を無駄遣いしてはいけません。気がついたら技術も知識も繋がりもない寂しい老後が待ち受けることになります。
知識や技術がありそれを常に向上させる努力をすれば人は頼ってくれます。それは人間の「承認欲求」を満たすことができ、大いにモチベーションがあがります。
そこから人との繋がりが生まれ・育ち刺激を受けてさらに自分に磨きがかかる。これは一時的な収入などでは替えない大きな宝物です。
あなたは会社で人の繋がりを作れていますか?