IDC発表の2023年日本国内のメーカー別スマートフォン出荷台数の数値を見ていて衝撃的な発見がありました。Appleが断然トップなのはいうまでもないのですが、2位にSHARPで前年から維持、前年3位だったFCNTはレノボ傘下になり6位に脱落。SAMSUNGは4位変わらず、昨年5位だったSONYは番外という3位以下が激変です。
2023年のメーカー別スマホ出荷台数(IDC)
[IDC] 2023年第4四半期および通年の国内携帯電話/スマートフォン市場実績値を発表IDC発表のデータによれば、2023年の出荷台数ベースでの国内スマートフォンメーカー別シェアは以下の通りです。カッコ内は対前年増減です。
- Apple:51.9%(-6%)
- SHARP:10.9%(-9%)
- Google:10.7%(527%)
- SAMSUNG:6.3%(-39%)
- 京セラグループ:5.4%(-9%)
- レノボ:5.4%(56%)
- その他:9.4%(-39%)
Googleは2022年1.5%だったのが一気に10.7%に伸びており、2022年10月に販売されたPixel 7 Proから始まり、Pixel 7、Pixel 7a、Pixel 8 Pro、Pixel 8あたりが伸ばしたのでしょうか。
出荷数全体位が-11%となっているのでGoogleが一人伸ばした格好です。
SONYは….その他の中でしょう….多分。
各社の特徴
Appleは一人勝ちなので省略。
GoogleとSamsungはハイエンド機種ではAIで勝負しています。筆者はAIを大々的にうたうGalaxy S24を使用していますが、AIだからスバラシイかと言うとそうでもないです。
CMに出ているようなGoogleやGalaxyのAI機能が役にたつシーンは極めて少ないので実際問題なくても支障ない感じ。確かに凄いし面白いけど「でっ?」という感じです。Galaxy S24のAI機能はほとんど使っていませんし….。
AIをうたう機能に騙されないでそれらを除去して比較する。
ちなみに中華勢は思ったほど出ていないようです。これは価格は良くてもセキュリティ面で微妙な報道が多い中華系のIT製品に警戒心があるのでしょうか。
日本人の嗜好として「多少出来が悪くても安ければ良い」というのは少ないというのも理由として考えられます。実際筆者もどんなに良くても中華製を買おうとは思いません。
唯一無二な京セラ
京セラは他社にはないタフネススマホのTORQUEが人気があったのですが、これも撤退ということでした。しかし撤退することから撤退したらしく2023年10月にTORQUE G06を発売しています。
「携帯事業をやめるのをやーめた」
[日経XTECH] コンシューマー事業撤退したはずの京セラ、スマホ「TORQUE」新機種を投入する真相TORQUEは唯一の国産タフネススマホで、アウトドア、マリンスポーツ、雪山などで使える高い耐久性が人気の機種で、これがなくなると代替機種は存在しない唯一無二の存在。
法人向けには機能を絞ってカメラもつけていないガラホ(外観はガラケー中身はアンドロイド)はニーズが高いのでその方面も継続するようです。広くあまねくやっていたのでは利益が出ないので、尖って他社が勝負に出てこない領域で継続していくようであります。
[京セラ] TORQUE G06ちなみにTORQUE G06はSnapdragon 7 Gen 1採用でメモリ6GB、ストレージ128GB、microSDXC対応、ディスプレイはFHD+、ANT+対応で外部センサーからのデータをオーバーレイしてゲーム画面のような動画も撮れるというすげぇやつ。
アクションーバーレイの動画を以下にリンクしますが、こんなの普通のスマホだけでは撮れないですよ。なんかスゲェかっこいい動画になっちゃいますね(笑)。趣味で自転車に乗って走る人にはもってこい…かも。
TORQUEシリーズはタフネススマホは開発経験も長くてノウハウがあり、何と言っても安心できる日本製というのも大きなプラス材料だと思います。
レノボ=モトローラ+FCNT
レノボが入っていますが、「え?レノボのスマホなんかあったけ?」と一瞬思いますね。
現在は中国北京に本社を置く中国企業ですが、2014年にモトローラー・モビリティをGoogleから買収、元富士通傘下であったFCNTを2023年傘下に収めています。
モトローラーは日本向けには機種が非常に絞られており魅力的な機種は日本では出ていなくて、moto g24、g53j、razr 40、edge 40、edge 40 ultraだけがリリースされています。
以前edge 20をサブで使っていましたが、なんというか悪くなけど特に秀でたところもなく、edge 20の代替は山ほどあるって感じ。SamsungやGoogleには絶対勝てない。
モトローラでないと!というのがないのがモトローラ。
FCNTはarrowsやらくらくスマートフォンといったエントリー〜ミッドレンジまでを出していますが、これもモトローラ同様に特徴がない。
らくらくスマートフォンはお使いになる方にはいいかもしれませんが、突然コレどうすれば良いの?と聞かれても一枚らくらく皮をかぶっているのでどうしていいのかよくわからない。
本人はらくらくで、操作や設定を聞かれたほうは難しいという不思議なスマホ。個人的にはそういう方にはiPhoneをお勧めしたい。
先行きかなり怪しいと思うのがFCNT。
どうもレノボグループは先行き微妙な気がしますが、エントリークラスでは生きていけるかもしれませんが、純中国メーカーとの競合なのでなかなか厳しいかもしれません。
SONYはXperia凋落(ちょうらく)の兆し
昨年は5位で出荷ベースで6.6%、5位だったソニーは2023年は番外に転落しています。
SONYという会社はAVの世界では価格が高いハイエンド製品が得意で、コストをかけていいものを作るという体質が生きていたように思います。そのジャンルがコモディティ化していくと上層に逃げる部分が出てくるので、それをすくい取って勝負していた会社です。
しかしスマートフォンはコモディティ化のレンジが非常に広く、ハイエンドと思えるような部分までコモディティ化してしてきており、救いとれる上澄が非常に少ないのが現状。
群雄割拠のコモディティゾーンで勝負できる体質ではないので、ここは京セラのように唯一無二の世界を作り出せるかどうかにかかっています。
ハイエンドのXperia 1シリーズは海外でもそれなりに評判が良いそうですし、実際日本でも高いけど売れている。しかしXperia 5シリーズは鳴かず飛ばす、Xperia 10シリーズに至ってはSamsungとSHARPに勝てそうもない感じ。
撤退の文字も頭をよぎりますが、東洋経済オンライン「ソニー、不振でもスマホから撤退しないワケ」によれば、モバイルネットワーク・IoTという広い市場をねらっているとも読み取れます。
しかしそのためにも現状のスマホ事業は重要であり、AIを全面に打ち出さない唯一無二のSONYらしいハイエンドが求められます。これができないようならこの先「撤退」の文字も現実化していくでしょう。
いずれにせよ先行き厳しいと言わざるをえないXperia事業。