Apple Watchを三世代(機種)に渡って愛用した筆者ですが、こと電池もちに関しては今どきまれに見る短時間スペック。その短時間スペックに我慢できずあれこれスマートウォッチを買い替えてきました。そして最近入手したのがソーラー充電対応で恐ろしく電池が持つGARMIN Instinct Dual Powerです。
ソーラー充電対応タフネス仕様
事実上GARMINだけがソーラー対応
ソーラー充電対応スマートウォッチで、以下の機能を持つものは価格.comによればGARMINから出ているものだけです。
心拍センサー内蔵
歩数計機能
睡眠分析
たったこれだけの機能、今どき3,000円台のスマートバンドでも装備している機能ですが、これに加えてソーラー充電になると、価格.comでは以下のGARMIN 9機種だけになります。
Instinct Dual Power
Instinct Dual Power Tactical Edition
Instinct Dual Power Surf Edition
fenix 6S Pro Dual Power
fenix 6 Pro Dual Power
fenix 6X Pro Dual Power 010-02157-53
fenix 6 Pro Dual Power 010-02410-35
fenix 6X Pro Dual Power 010-02157-5A
fenix 6X Pro Dual Power 010-02157-5D
GARMIN Instinct Dual Power
このなかで筆者が今回入手したのがGARMIN Instinct Dual Powerです。
メーカーサイト:
GARMIN Instinct Dual Power
https://www.garmin.co.jp/products/wearables/instinct-dual-power-orchid/
基本的なスペックは以前当ブログでApple Watch 3から乗り換えたときに記載した記事にあるGARMIN Instinctと同様ですのでそちらも参照してください。
InstinctはG-SHOCK風の外観なのですが、その無骨な外観から得られる期待を裏切ることのないタフなスペックです。
タフなスペック
無印Instinct同様にアメリカ国防総省のMIL規格「MIL-STD-810G」準拠の耐熱性、耐衝撃性および耐水性(10ATM)を備えています。
低圧試験:MIL-STD-810G Method500.6 ProcedureI,II
振子式衝撃試験:Method516.7 ProcedureⅥ
耐氷結試験:Method524.4
腐食試験:Method509.6
出典:GARMINサポートページ Instinct Dual Power Orchid MIL-STD-810G 機能と特性:MIL-STD-810G とは | Instinct Dual Power Orchid | Garmin サポートセンター
低圧試験:
高度40,000feet(12,192m)に相当するキャビン圧18.8kPaでの保管
高度15,000feet(4,572m)に相当するキャビン圧57.2kPaでの動作
振子式衝撃試験:
各面、縁、角、合計26回落下
ノコギリ波衝撃波形40G、11msecを X軸、Y軸、Z軸のプラス軸方向に対してそれぞれ3回、合計12回、同じくマイナス軸方向へ。
耐氷結試験:
524.4にはいくつかのProcedureがあるのですが、GARMINサイトにはどれに準拠したテストをクリアしたのかが書いていません。概略としてはマイナス10度程度の冷却水である程度の厚みの氷が張るまで放置するといったものです。
腐食試験:
これも前試験同様に詳細が不明ですが、所定濃度の塩水噴霧後24時間程度放置するといったものです。
このあたりは初期のInstinctから変わっていません。
Dual Powerの底力
そもそもGARMIN Instinct Dual Powerは、電力消費の元凶の一つとも言えるディスプレイをドラスティックに省電力化しています。
モノクロ、128×128ピクセル、半透過MIP液晶を採用して徹底的に省電力化しています。
MIP液晶とは?
メモリインピクセル液晶(Memory In Pixel)のことで、一度表示するとその内容はほとんど電流を流さなくても固定化できるものです。通常の液晶は電流を流さないと消えてしまうですが、画素ごとにメモリ回路を持つMIP液晶はそうではありません。
類似の技術には電子ペーパー(E-ink)があります。E-inkは静止画表示には一切電力を必要としませんが、書き換え時に高い電圧を必要とするため、頻繁に書き換えると電力消費が大きくなり、またリフレッシュが必要であるため書き換えには時間がかかります。そのため、書き換え頻度が低い電子ブックリーダーなどに用いられる事が多いようです。
文章は筆者執筆・参考文献:シャープ株式会社 シャープ技報 第100号・2010年2月「メモリ液晶ディスプレイの構成と特徴」
https://corporate.jp.sharp/rd/35/pdf/100_06_A4.pdf
小難しいことは脇において(この分野は理系の筆者でも専門外なので….)、どれくらいバッテリーが持つのか?
メーカー公表仕様を無印Instinctと比べましょう。
異なっている点だけをピックアップします。
Instinct Dual Power | Instinct | |
ガラス素材 | コーニング社製 Gorilla Glass DX | 化学強化ガラス |
重量 | 53g | 52g |
水中心拍 | ○ | X |
専用 アクティビティ | 釣り・狩猟 | X |
バッテリー 駆動時間 | スマートウォッチモード:最大 24 日間 + 30 日間 GPS + 光学心拍計:最大 30 時間 + 8 時間 バッテリー最長 GPS モード:最大 70 時間 + 75 時間 Expedition モード:最大 28 日間 + 40 日間 バッテリー節約ウォッチモード:最大 56 日間 + 無制限 | スマートウォッチモード:最大 14日間 GPS + 光学心拍計:最大14時間 Ultra Tracモード:最大35時間 |
パワー マネージャー(※) | ○ | X |
Expedition モード(※) | ○ | X |
※パワーマネージャーとは…
各種センサーをON/OFFすることでバッテリー駆動時間を伸ばすことができます。
※Expeditionモードとは…
初期設定では1時間に1回GPSの位置情報により軌跡ポイントを記録することで、数週間もの間移動の軌跡を記録できるモードです。
特筆すべきはスマートウォッチモードでの駆動時間の長さ。
Instinct Dual Powerはスマートウォッチモード(通常のモード)で最大24日間、さらにソーラー充電が併用できれば最長で54日間持続できます。
本当にどれだけ持つのかはこれから使い込んでみますが、通常表示を見てください(再掲します)。
ソーラー充電なしでも24日間、話半分でも二週間近くもつわけで、公称18時間・実使用1日半のApple Watchとは全く違います。
スマートウォッチって稼働してなんぼのものです、電池がなくなったら手のおもりにしかなりません。
これ、筆者がApple Watchを使っていたけどApple Watchから去る原因である最大のものです。
操作はタッチディスプレイではなく全てボタン操作ですので水中でも可能です。
下の写真は右側面。
下の写真は左側面。
裏の心拍センサー部分。
腕時計タイプの他機種と比べて
今まで使った腕時計タイプのなかで(ほぼ)現役機種と長所短所について経験的な観点からざっくり比較。
長所 | 短所 | |
GARMIN Instinct Dual Power | ソーラー充電併用で最長54日間駆動 MIL-STD-810Gのタフネス 高精度のGPS タフネスが感じられる外観 iPhoneでもAndroidでも使える バッテリーをほとんど食わない常時表示 他のGARMINスマートウォッチと併用してもデータはシームレス ボタン操作なので濡れていても操作は無問題 水中でも心拍測定可能 | 無骨な外観で正装には合わない 荒くてモノクロで玩具ぽい液晶表示 Suica非対応 ボタン操作なので面倒 |
Apple Watch Series 5 | めちゃくちゃ高機能 iPhoneと同じレベルでのSuica対応(機種変OK・定期OK) 表示は高精細で見やすいカラー表示 近づいただけでMacのロックが解除できる 常時表示可能 最新のSeries 6ではSpO2測定もできる 単体でLTE通信も可能(Cellularモデル) | バッテリーの持ちが悪すぎて公称18時間と1日持たない 使わない機能が多すぎる iPhoneがないと使えない 睡眠モニター機能がない 濡れていると操作不能 |
HUAWEI Watch GT2e | 見やすい高精細カラー表示 価格が安い HUAWEIスマホならカメラシャッターリモコン可能 反応の良いタッチディスプレイ キビキビとした反応の良さ 設定で常時表示可能(ただしバッテリー寿命半減の1週間) バッテリー駆動は公称14日間と長い | iOSではほとんど使えない ちょっと大きすぎる バイブレーターが弱い 純中華製であるがゆえの漠然とした不安 濡れていると操作不能 メール通知がタイトルしか表示されない |
GARMIN vivomove Style | Suica対応 アナログで常時時刻確認可能 iPhoneでもAndroidでも使える オンでもオフでも使える清楚な外観で正装でもOK 呼吸数もモニターできる 十分な強さのバイブレーター 他のGARMINスマートウォッチと併用してもデータはシームレス | 機種変不可・グリーン車不可・定期不可の半端なSuica タッチディスプレイの反応が悪くい 動作が全体的にスローモーなところがある タッチ操作のみなので濡れているといかなる操作も不能 バッテリー駆動は公称4日間と短め |
結局のところ(まとめ)
多機能に惹かれてApple WatchやHUAWEI Watchも使って感じたもっとも重要なことはバッテリーの持ちであり、GARMIN Instinct Dual Powerは最長54日駆動。
清楚で上品さが要求されるシチュエーションには向いていないが、G-SHOCKでOKならGARMIN Instinct Dual PowerでもOK。
無印Instinctより高いが、このバッテリーの持ちを考えるとそれだけの価値はある。