COMPUTER WORLDの記事によれば2020年のChromebookの出荷台数はMacを超えたそうです。そもそもChromebookって?パソコンなの?その疑問に答えます。
出荷台数を伸ばすChromebook
冒頭に書いたCOMPUTER WORLDの記事がこちらです。
上記の記事によれば、新型コロナウイルス感染が広がり始めた2020年第1四半期ではChromeOSのシェアは5.3%に過ぎなかったのが、急速に拡大した2020年第4四半期では14.4%と三倍近く伸び、MacOSの7.7%を大きく引き離しました。
新型コロナウイルス感染拡大により、世界中でリモート授業やリモートワークが行われるようになっているのも牽引しているようです。
リモートワークのほうは業務システムとの絡みがありますので話は少々面倒ですが、リモート学習で使うのであれば、PCの知識がなくてもメンテナンスや設定の手間が最小限ですみ、価格も安くマルウエア感染の恐れもほとんどないことから、急速に売上を伸ばしているのでしょう。
ここでGoogleのChromebookのCMを2本リンクしておきます。
皆さんも一度はテレビで見ているはずのものです。
CMの映像は覚えていなくても音楽には聞き覚えがあるのでは?
ChromebookとWindowsノートの違い
そもそもChromebookとは何かというと…
・OSはChromeOS(Google製)
・ブラウザのChromeだけが動く簡素なPCみたいなもの
・データ保存は原則としてクラウド(Google Drive/Google One/Google Workspace)上
・ブラウザの中で作業してデータはクラウドにあるのが原則
・そういうわけで基本的にオンライン(ネット接続)必須
…という代物で、オフライン(ネット接続なし)から育ってきたWndowsとは全く異なる思想で作られた代物です。
この両者を無茶を承知でめちゃくちゃざっくり比較してみます。
OS | ChromeOS | Windows10 |
OSメーカー | Microsoft | |
メールソフト | Gmail、あるいはブラウザベース | 動くものなら何でも(Outlookが主流?) |
文書作成ソフト | Googleドキュメント(無料) Web版のWordも利用可能 | Word (有料) |
表計算ソフト | Google スプレッドシート(無料) Web版のExcelも利用可能 | Excel(有料) |
プレゼンソフト | Goolge スライド(無料) Web版のPowerPointも利用可能 | PowerPoint(有料) |
クラウドストレージ | Google Drive 15GBまで無料 Google One 100GB 250円/月〜 | One Drive Basic 5GBまで無料 One Drive Standalone 100GB 224円 |
ブラウザ | Chrome | 何でも(Edge, Chrome, Firefox, DuckDuckGo…) |
ネット接続 | 必須 | 必要な場合のみ |
アップデート | 短時間 | 場合によりかなり時間がかかる |
オフライン利用 | できることは限られる | インストールしたソフトウェアの範囲で何でもOK |
メモリ | 4GB〜8GB、4GBが売れ筋 | 8GB〜16GB、8GBが売れ筋 |
ストレージ | eMMCの64GBが中心で64GB〜128GBが売れ筋 | M.2 SSDの256GBが中心で、128GB〜512GBが売れ筋。 |
ディスプレイサイズ | 10から14インチが主流 | 13〜15インチが主流 |
解像度 | FHDが中心だが、1366×768というものもある | FHDが中心。 |
画像編集 | 簡単なものならOK | 使うソフトウェア次第で何でもOK |
動画編集 | 簡単なものならOK | 使うソフトウェアとCPU・GPUパワー次第で何でもOK |
売れ筋価格相場 | 2万円〜5万円 | 5万円〜15万円 |
Chromebookで出来ることと出来ないこと
正直なところ出来ることは限られていると思うべきです。
プロセッサがARMベースなのでAndroidアプリで使えるものもありますので、必ずしもブラウザベースとは限りません。
○ | Wifi接続(有線接続には汎用ドッキングステーションが必要) |
◎ | ChromeでのWebアクセス |
△ | 外付けマウスの利用(Chromebookに対応しているもの限定) |
△ | Google Playのローカルアプリの利用は一部のものが可能 |
△ | 印刷はネットワーク経由のみ(対応してるプリンタ限定) |
△ | ゲームはAndroid用、WebベースのものどちらもCPUパワーをあまり必要としないもの |
○ | 簡単な画像編集や簡単な動画編集 |
○ | オフィス文書編集・閲覧(Googleアプリ利用またはWebベースのOfficeファミリ利用) |
○ | オンライン会議(Webベース) |
ブラウザだけが動くPCと思えば当たらずといえども遠からず。
こう書くと何もできないような気がしますが、実はPCを使っているかなりの時間はブラウザベースだと思います。
筆者は、今この記事をMacBook Air M1のSafariを使ってブラウザベースで書いていますが、書くことだけに関して言えば、Chromebookでも可能です。
ただし、写真を取り込んで加工したりするのはChromebookではある程度限定されたものになります。
WindowsPCと等価と考える人は少ないですが、Andoidスマートフォンに大きなディスプレイとキーボード・タッチパッドをつけたものと同じじゃん!と思う人はたまにいるようです。しかし実際は等価ではなく、Androidスマートフォンよりずっと出来ることが少なく制約が多いともいえます
最近はめっきり見かけなくなったAndroidタブレットですが、Chromebookは前じゃないけどAndroidアプリが動いくマルチウィンドウ可能なタブレットの進化系と思ってもいいかもしれません。
少なくともPCの仲間というよりは、タブレッtの仲間と思っていたほうが無難かと思いますし、そのほうが選択する場合のポイントも明確になります。
まとめ
Chromebookはウイルス対策が基本的に不要であり、OS起因トラブルも非常に少ない、メンテナンスに手がかからない分、できることは制約が多いわけです。
出来ることは前述のように決まっていて、それで自分がやりたいことの殆どが出来てしまうような方であれば大いに利用する価値があります。
ただし、ネットワーク接続がないとまともには使えない(使えなくはないですが….出来ることがかなり限定される)ので、モバイル用途で空き時間にどこでもガシガシ作業したいような用途には不向きです。
通信容量が大きな契約をしているスマホでテザリングするか、無制限のWifiルーターを使うかする必要ができます。PCならオフラインで作業して自宅に戻ったらオンラインにして成果物をUPするようなことであっても、作業内容によっては常時ネットワーク接続が必要になります。
PC本体が安くても使い方によっては通信費用がかなり高く付く可能性があるのがChromebookです。もちろん自宅内で使う分には自宅Wifiを使えばよいわけですけど、屋外だとそうもいきません。屋外や出先でガンガン作業するのが多い人は普通のノートPCを使ったほうが幸せでしょう。