今更ですが、一般リスニングにはMDR-CD900STよりMDR-7506が適している話

今更ですが、一般リスニングにはMDR-CD900STよりMDR-7506が適している話

多くのWebサイトでスタジオモニターヘッドホン対決?で比較されるのがSONY MDR-CD900STSONY MDR-7506です。本記事では一般家庭でのリスニング用途としてどちらが使いやすかを見てみます。


スペック比較

例によってスペック比較します。

項目MDR-CD900STMDR-7506
発売日1989年(一般向けは1995年)1991年
方式密閉ダイナミック型密閉ダイナミック型
ドライバーユニット40mm、ドーム型(CCAW採用)40mm、ドーム型
最大入力1,000mW (IEC)1,000mW (IEC)
インピーダンス63Ω (1kHz)63Ω (1kHz)
音圧感度106dB/mW106dB/mW
再生周波数帯域5~30,000Hz (JEITA)10~20,000Hz
重さ(コード含まず)200g230g
端子ステレオ標準プラグステレオミニプラグ
(標準プラグアダプタ付き)
折り畳み不可可能
ケーブル取り外し(リケーブル)不可不可
ケーブル長2.5m1.2m (伸長時約3m)
ケーブルのスタイルストレートケーブルカールコード
付属品なしキャリングポーチ
ニックネーム赤帯青帯
Amazon価格 (2022/1/8時点)13,000円12,900円
純正イヤーパッド
(価格はSoundhouse)
2-115-695-01/02
1,100円/個
2-115-668-03
1,100円/個

このスペックの違いで、実用上大きな差になるのが赤文字部分です。

使い勝手の差

プラグの差

たかがプラグ、されどプラグ。

普通のステレオアンプについているヘッドホン端子は標準ステレオジャックが多いので、ステレオアンプにつないで聞くことが多い場合は、変換プラグアダプタ不要のMDR-CD900STのほうが便利のように見えます。

一方、ポータブル用途やヘッドホンアンプはステレオミニプラグが圧倒的に多いので、MDR-CD900STに変換プラグアダプタを別に用意する必要がありますし、なによりプラグ部分がえらくかさばります

その点MDR-7506は小型のステレオミニプラグなので特別他のヘッドホンよりプラグが嵩張るということはありませんが、ステレオアンプなどにつなぐときはアダプタが必要になるでしょう。

固定設置のステレオアンプなどにつなぐときはMDR-CD900STはアダプタ不要で便利、ポータブル用途・ヘッドホンアンプ利用はステレオミニプラグになっているMDR-7506が便利。

ケーブルの差

MDR-CD900STは2.5mのストレートケーブル、MDR-7506は1.2m(伸長時3m)のカールケーブルです。

リビングや自室などで壁際においてあるアンプにつないで聞くには、2.5mと長めのストレートケーブルのほうがカールケーブルより絶対扱いやすいです。

カールケーブルでちょっと離れたところにあるアンプにつなぐと左側(ケーブルが出ている側)のハウジングがやや引っ張られる感じになり不快です。

一方、ポータブル用途や座っているデスクの上にあるPCやポータブルヘッドホンアンプ、スマートフォンなどで聞くときは、2.5mと長ったらしいケーブルは非常に邪魔であり、脚をひっかけてPCを引きずって落下事故になったりしかねません。

その点、1.2mと手頃な長さのカールケーブルを使っているMDR-7506は手頃であります。

離れたところにあるステレオアンプにつなぐならMDR-CD900STの長いストレートケーブルが便利、机上に置いたPCや小型アンプ、スマートフォンなどにつなぐときはじゃまになりにくい1.2mカールケーブルのMDR-7506が便利。

折り畳みの差

MDR-CD900STは折りたたみができませんので、持ち運ぶとなると嵩張るし2.5mという長くて太いケーブルがかなり邪魔になります。

自宅内利用オンリーであればどちらでもOKだと思いますが、持ち出す事が少なくないなら折り畳みできカールケーブルでケーブルもじゃまにならず、ポーチもついているMDR-7506のほうが有利です。

装着感

店頭で比べるとわかりますが、MDR-CD900STのイヤーパッドはMDR-7506よりかなり薄いです。

そのため人によっては耳たぶがユニットにくっついたり痛くなったりすることもあるようです。

筆者の愛用はMDR-7506ですが、これを装着していて耳が痛くなったことはありません。MDR-CD900STのイヤパッドより厚くてソフトで肌触りが良いです。しわしわ?なのでぴったり肌に張り付いて不快ということもあまりありません。



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業界標準=家庭標準ではない

アーティストの収録ビデオなどを見ていると、十中八九赤帯(MDR-CD900ST)をつけていますね。

後藤真希さんもしっかり赤帯です。

日本のスタジオでMDR-CD900STを見ないところはないそうでありますが、MDR-7506を見ることはまず無いと聞きます。

もともとMDR-7506は日本市場ではなく海外市場向けだったそうなので、そうなのかも。

スタジオのアーティストではMDR-7506のカールケーブルがじゃまになることは容易に想像できますね。

いろいろな理由があってスタジオ業界標準みたいになっているようですが、スタジオ標準が家庭での利用に向いて言えるとは限らないことは注意すべきです。

MDR-CD900STは多いので、その方たちを敵に回すかもしれません。

自分の耳で両方を聞いて、音質やケーブル等にもなっとくしてMDR-CD900STを買うのであれば大いに結構です。

しかし業界標準だからと聞いてプロがレコーディングで使うからよさげだと、試聴や試着もせずにネットでぽちると後悔する可能性が高いのがMDR-CD900ST。

音の差

音はもう好みの差が激しいのですが、両方を同じソースで聞いた感じでは、MDR-CD900STのほうが低音が弱めで高音が目立つ(耳立つ?)感じがします。バランスが良く感じるのは筆者の場合はMDR-7506のほうです。

MDR-CD900STとMDR-7506で悩んだら、まずは店頭で試聴しましょう。

装着感はイヤパッドがヘタっている可能性もありますので、店頭品が新品購入品と違う可能性はありますが、音の傾向は明らかに違うことがわかると思います。

個人的な感想ですが、スタジオモニターというと解像度が高すぎて聞き疲れすることがあると思いますが、MDR-CD900STはその傾向が強く、MDR-7506はその傾向が弱めで普通にリスニングするには良いのではないかと思います。

まとめ

MDR-CD900ST(赤帯)とMDR-7506(青帯)は似て非なるものであり、使い勝手や音質はかなり違う。

MDR-CD900STは、2.5mケーブル・ステレオ標準プラグ・折りたたみ不可・薄めのイヤーパッドなどの特徴がある。

MDR-7506は、1.2mカールケーブル・ステレオミニプラグ・折りたたみ可能・厚めのイヤーパッドなどの特徴がある。



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