2日続けて同じところを歩いた時に、途中に咲いていたコスモスを別の日にiPhone 13 Pro Maxとミラーレス一眼のE-M1 Mark IIで撮影しました。違う日に撮っているので画像の細かい点の比較は無意味ですが、背景のボケは注目すべきです。
スマホカメラはスマホで見てぱっと見綺麗ならそれで良い
DxOmark.com でトップレベルのカメラスコアを叩き出しているiPhone 13 Pro Maxのカメラ。
確かに写りはかなり良いですし、普通に撮るにはこれでほぼ問題ないといえます。
焦点距離にしても35mm換算で13mm(超広角)、26mm(メインカメラの広角)、77mm(望遠)の3つを搭載しており、その間と77mm以上はデジタルズームになります。いわゆるミラーレス一眼の標準ズームと呼ばれるレンズより広角側を広くした感じで、旅行を含め大抵の場合はカバーできますし、筆者も愛用しております。
スマホカメラとミラーレスカメラ(フォーサーズやAPS-Cが主流)の最大の違いはセンサーサイズです。センサーサイズが小さいほど被写界深度が深く広い範囲にピントがあいますすが、一方で写真の被写体や背景の両方にピントがあってしまいアニメのような平坦なイメージの画像になることがあります。
最近ではSoCの性能向上でAI処理により被写体(とAIが判断したもの)意外にボケの画像処理をして擬似的に被写界深度を浅くする加工も可能なスマホがあります。
スマホで撮ってスマホで見て綺麗ならばそれで良いのがスマホカメラといっても過言ではないです。
センサーサイズの違いとボケの違い
スマホカメラとミラーレス一眼の最大の違いはセンサーサイズの違いです。
上のセンサーサイズの図でE-M1 Mark IIは4/3(フォーサーズ)ですのでしたから2行目の中央の”Four Thirds System)となります。
iPhone 13 Pro Maxのメインカメラは1/1.7ですので最下行の中央ですが、今回比較した写真はiPhone 13 Pro Maxの望遠(77mm相当)を使いましたのでセンサーサイズは1/3.5”となり最下行右側の豆粒の1/2.5”よりまだまだ小さいことになります。
大きさの違いは激烈ですよね?
iPhone 13 Pro Maxの望遠カメラのイメージセンサーは1/3.5”の豆粒で望遠といいながら被写界深度は深く非常に広い範囲でピントがあいます。
一方、筆者愛用のE-M1 Mark IIは4/3(フォーサーズ)センサーであり、被写界深度は使うレンズによりますがAPS-Cよりは深くスマホカメラに比べると浅いのでピントの合う範囲はスマホカメラより限定的です。
同じ被写体(コスモス)ですが撮った日が違いますので、細かな比較等は脇に置いて背景のボケに注目してください。
スマートフォン:iPhone 13 Pro Maxの望遠カメラで撮影したもの
<iPhone 13 Pro Maxの撮影データ>
天候:晴れ(一部に鱗雲)
機種:iPhone 13 Pro Max
シャッター速度:1/2100秒
絞り:F1.8
露出補正:0 EV
ISO:32
35mm換算焦点距離:77mm(望遠カメラ)
センサーサイズ:1/3.5″
ミラーレス一眼:E-M1 Mark IIで撮影したもの
<E-M1 Mark IIの撮影データ>
天候:快晴
使用ボディ:E-M1 Mark II
使用レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
シャッター速度:1/640秒
絞り:F8.0
露出補正:0 EV
ISO:200
35mm換算焦点距離:80mm
センサーサイズ;フォーサーズ(4/3”)
百聞は一見にしかず。
iPhone 13 Pro Maxで撮った方は、背景のコスモスの葉や茎がはっきり見えてはっきり言って五月蝿いです。このような被写体では背景の余計なものまではっきり写ってしまうので写真を見た方は視線が泳いでしまい、中央のコスモスから意識が逸れてしまいます。
一方E-M1 Mark IIのほうは枯れた花は咲いている花とほぼ等距離にあるため焦点があってしまいますが(これは撮影者の腕が悪いのです)、それ以外の背景の茎や葉はボケていてそこには見る人の意識は行きません。つまり視線は花に注目するわけです。
使い分けが必要
被写界深度が深いから悪い・浅いから悪いとかいった話は全くありません。
それぞれ適している場合や被写体があるということです。
逆に言えば、フォーサーズやAPS-Cあるいはフルサイズのカメラでスマホカメラのような被写界深度が深い写真を撮るのは相当難しいし時には不可能です。できるだけ明るいレンズでISO感度を上げて絞りこんでも難しいでしょう。でも、スマホカメラなら比較的簡単です。
一方、背景をきれいにぼかしたいポートレートなどではスマホはAIの力を借りて背景をぼかす処理でも入れない限りなかなか困難ですが、ミラーレス一眼ならレンズを選べば簡単に綺麗にぼけてくれます。
両者は相反する存在ではなく互いに欠点を補うパートナーだと思います。スマホがあるからカメラ無用ではありません。