2023年10月にGoogleからPixel 8、SONYからはXperia 5 Vというプレミアムコンパクトスマートフォンが発売されました。ハイエンドだとサイズが大きすぎるという人が多いのでは?そこで前回の記事に続いて、実際に明らかになったスペックなどをベースに比較してどちらがどんな人に向いているのかを考えます。
スペック比較
前回の記事では未確定情報も多く入っていましたが、今回は確定仕様を比較します。
その結果、両者には明確な方向性の違いがあることが見えてきました。
SIMフリーモデル | Google Pixel 8 | SONY Xperia 5 V |
キャッチフレーズ | Google がつくった AI スマホ | 新しいスマホ。 新しいワタシ。 |
発売日 | 2023年10月12日 | 2023年10月27日 |
SIMフリー価格 | 128GB 112,900円 256GB 122,900円 | 139,700円 |
メーカー補償プラン | なし | Xperiaケアプラン 5,500円/年 故障・水濡れ・全損で 修理または交換 |
SoC | Tensor G3 (Samsung 4 nm) | Snapdragon 8 Gen 2 (TSMC, 4 nm) |
RAM | 8GB LPDDR5X RAM | 8GB LPDDR5X RAM |
ストレージ | 128GB / 256GB UFS 3.1 ストレージ | 256GB UFS 3.1 ストレージ |
microSDカード | X | microSDXC (〜1TB) |
OS | Android 14 | Android 13 |
セキュリティアップデート | 7年間 | 非公開 |
OSアップデート | 7年間 | 非公開 |
指紋認証 | 画面内超音波方式 | サイドボタン |
ディスプレイ | 6.2インチ Actua ディスプレイ 60〜120Hz 1080 x 2400, Gorilla Glass Victus 最大1,400ニト | 6.1インチ OLED 60〜120Hz 1080 x 2520 Gorilla Glass Victus 2 最大2,000ニト |
メインカメラ | 解像度;50MP 絞り値:f/1.68 ピクセル幅:1,2μm センサーサイズ:1 1.31 焦点距離:25mm OIS multi-directional PDAF レーザーAF | 解像度;48MP 絞り値:f/1.9 ピクセル幅:1.12μm センサーサイズ:1/1.35 焦点距離:24mm OIS Dual Pixel PDAF |
メインカメラ動画 | 4K@24/30/60fps 1080p@24/30/60fps | 4K@24/25/30/60/120fps 1080p@24/25/30/60/120fps |
超広角カメラ | 解像度;12MP 絞り値:f/2.2, ピクセル幅:1,25μm センサーサイズ:1/1.31 画角:125.8度 焦点距離: | 解像度;12MP 絞り値:f/2.2, ピクセル幅: センサーサイズ:1/2.5 画角: 焦点距離:16mm Dual Pixel PDAF |
フロントカメラ | 解像度;10.5MP 絞り値:f/2.2 ピクセル幅:1,22μm, センサーサイズ: 画角:95度 固定フォーカス | 解像度;12MP 絞り値:f/2.0 ピクセル幅:1.25μm センサーサイズ:1/2,9 画角:78度 |
フロントカメラ動画 | 4K@30/60fps 1080p@30/60fps | 4K@30/60fps 1080p@30/60fps |
マニュアル設定カメラアプリ | 「プロ設定」は無し (非対応) | Photography Pro |
RAW撮影 | 可能 | 可能 |
防塵防水 | 防水:IPX8 防塵:IP6X | 防水:IPX5/IPX8 防塵:IP6X |
サイズ | 150.5 x 70.8 x 8.9mm | 154 x 68 x 8.6 mm |
重さ | 187g | 182g |
イヤホンマイクジャック | X | 有り |
Felica | 対応 | 対応 |
バッテリー容量 | 4575mAh | 5000mAh |
有線充電 | 30W, USB-PD 3.0 | 30W, USB-PD3.0 |
ワイヤレス充電 | Qi | Qi |
USB | USB 3.2 (5Gbps) | USB 3.2 (5Gbps) |
Antutu (v9) | 901128 | 946039 |
PixelとXperia、明確なターゲットユーザーの違い
最近のGoogle PixelのCMは「AI」を前面的に打ち出していますね。
Google Pixelは「AI」を前面的に打ち出しており、消しゴムマジック、音声消しゴムマジック、ベストテイクなどをCMでも訴えています。
「AI」による自動処理をガンガン訴える一方で、Pixel 8 Proにあるようなマニュアルでの写真撮影(プロ設定)は省かれるなど、ちょっと凝ってじっくり撮りたいような使い方はあまり念頭には置いていないのでしょう。
一方Xperiaのカメラアプリ(Photography Pro)はミラーレス一眼カメラαシリーズの血を引くとも言えるもので、限られたハードウェアですがマニュアルで設定を細かくいじりながら撮影可能です。プロ写真家とはいいませんが、写真をこだわって撮りたい人ウェルカム的なところがあります。
これで不満ならα買ってね!と暗に言いたいのかもしれませんが….
実際Xperia (1 Vまたは5 V)とαの組み合わせならば、αとXperia 5 VをUSBで接続して、Xperiaをαの外部モニターとして使えます。それだけではなくバックアップ録画として、αだけではなくXperiaにも録画可能です。
以下のSONYのXperia X Cameraというサイトコンテンツをご覧いただくと、AIに頼らない本気で撮るカメラに力を注いでいることがわかります。
筆者の場合、LUMIX GH6とGalaxy S23 UltraをHDMI-USB変換経由で接続することで同じことが実現できます。
もう一つ忘れてはいけないのが「オーディオのSONY」のこだわり。
こちらはXperia X Audio / Vidualというサイト。
DSEE Ultimate対応やLDAC対応、3.5mmオーディオイヤホンジャック内蔵などにもそのこだわりが感じられます。
どちらが誰に向いているのか?
スペック(性能)的には両者には極端な差はありません。
このプレミアムコンパクトとは冒頭に書いたように、フラグシップモデルの高価な価格設定もさることながら大きすぎて絶対いやだ、けれど高性能が欲しいという人向きです。性能にこだわるなら、これよりグレードを落とすべきではありません。間違いなく後悔して半年経たずに買い替えたくなると思います。
両者最大の違いは「写真」にありますのでそれを基準に選んで良いでしょう。
写真が二の次なら「OSやセキュリティアップデート」の提供ポリシー。Pixel 8は7年ですが、Xperiaはアップデート提供ポリシーは不明でAndroid 14にあげて終わる可能性もあります。
AppleCare+のようなメーカー補償はPixelにはありませんがXperiaにはあります。
簡単におもしろく簡単に映え写真を撮りたい人
文句なくGoogle Pixel 8です。
ぜひGoogle自慢のAI活用のカメラを堪能しましょう。
ただ筆者のようにおっさんが写真撮影を楽しみたいという人には、逆にAIほぼ無用で出番無しとなる可能性が高いです。不要なのにAIが出しゃばる可能性もあるのでそのあたりも嫌です。
単純に消しゴムマジックが使いたいだけならば、Google Oneを契約すればiPhoneでも消しゴムマジックが使えるようになります。
マニュアル撮影ができる優れたカメラアプリはAndroidにはほとんどありません(Adobe Lightroom Mobileカメラが例外として唯一存在する)し、Pixel 8にはプロ設定がありませんので、AI任せで撮るしかないのでそれは人によってはデメリットになることを覚えておきましょう。
本格的にこだわって写真を撮りたい人・いい音が好きな人
マニュアル設定にこだわって写真や動画を撮りたい人はPhotography Pro、Videography ProがあるXperia 5 Vです。
GoogleのようなAIをトップに打ち出すようなことはありません。
「技術のSONY」のこだわりが生きているスマートフォンです。
とにかく簡単で楽しく綺麗を絶対外さないiPhoneやそれのAndroid版ともいえるGoogleの対局にあるのがXperia 5 Vだといえます。
オーディオのSONYだけあって、DSEE Ultimate対応、LDAC対応、いい音を聞くためにあえて3.5mmオーディオジャックも内蔵しているこのこだわりはSONYファンには嬉しいのではないでしょうか。