日本は小さな島国、という言葉に真っ向から反対する人はさして多くないでしょう。極東の名の通り東の端、Far Eastに位置する日出ずる国、日本。でも、世界の中では面積も狭いちっぽけな国なんだよなぁ。そう思っている人は非常に多いと思います。実際に世界の主要地域と実サイズで比べてみましょう。日本は想像以上に大きな国なのです。
学校地理教育の罠
小学校からの地理教育で使われる地図、教室の壁に貼られている地図、それらはほぼすべてメルカトル図法(円筒図法の一種)で投影されたものだと思います。
地球が丸いのは今や幼稚園児でも知っていることですが、球体を平面に投影したのがメルカトル図法でして、赤道から両極に行くほど拡大されていきます。その結果、実は大した大きさではないグリーンランドが巨大な大陸になり、南極大陸に至っては地図の下側全部を占める超巨大大陸になっています。
南極はともかくとして、ヨーロッパやアジア、アメリカと比べても日本て確かに小さく見えますね。
子供の頃からこういう地図で教育を受けて育ったものですから、日本は小さな国というイメージが頭の中にしっかり刷り込まれてしまい、その結果「日本は小さな島国」という概念が固定化されてしまったのでしょう。
下手すれば、学校の先生ですらヨーロッパ各国と日本を同じ縮尺で比べてみたことはないのでは?
同じサイズで比べるには物理的な手段では地球儀を使うのがもっとも手っ取り早いですが、地球儀のある家庭って少ないでしょう?あるいは学校には地球儀はさすがにあるのかもしれませんが、子どもたちがくるくる回して終わっているだけかも。
Google Mapsで見る
今の時代、地図といえばGoogle Mapsというぐらいに身近になっていますので、それで調べましょう。Google Mapsは基本的にはメルカトル図法で投影されています。
まずは日本を含めたヨーロッパ・ロシア・中国。
地図はクリックで拡大します。
北欧のスカンディナヴィア半島に比べると日本ってすごく小さいですね。
縦に切り取ってオセアニアと比べましょう。
オセアニアと比べましょう。
ニュージーランド最大の都市オークランドはおよそ南緯36度で日本でいうと宇都宮あたりなので、緯度的にはほぼ日本とニュージーランドは同じくらい(ニュージーランドのほうがやや緯度が高い)なので面積もほぼ同じ感覚で比較可能です。
では、極東・東南アジア・北米と比べてみましょう。
わ、ちいせぇ!日本って!
そう感じますね。
筆者もこのメルカトル図法で投影された地図ではそう見えてしまいます。
実サイズで比較する
この記事のきっかけは、The True Size OF … というサイトを偶然見つけたことです。
これはベースはGoogle Mapsですがそれに指定した国のサイズを同等縮尺で表示して重ね合わせるものです。
どうでしょう?
冒頭のメルカトル図法のGoogle Mapsでは随分巨大だったスカンディナヴィア半島と極小だった日本。
同じように並べると実は日本はこんなに大きいのです。
次は少し下がって、多くの日本人も観光で訪れたことがあるであろうヨーロッパです。
どうでしょうか?
メルカトル図法の地図では日本より大きく見えるイギリス、巨大に投影されているフランスですが、実際にはイギリスは日本より小さいのです。
日本の国土面積は377,900 km²で、イギリスは242,500 km²とおよそ日本の2/3程度。さすがにフランスは横幅がある正方形のような国土なので面積は日本より7割ほど大きい643,800 km²。ドイツの国土面積が日本とほぼ同じ357,400 km²です。
実際はこんなもんなのですよ。
ではアメリカと比べましょう。
もちろんアメリカのほうが大きいに決まっていますが、日本は南北に長いのでその観点で見ると意外に日本ってでかいんです。
南北にはめると、北はカナダとの国境、南はメキシコとの国境の間にちょうどハマる感じですね。
ニュージーランドと比べましょう。
ニュージーランドは前述のように緯度的には日本に近いし、四季もありますから日本人には非常に馴染みやすい土地だと思います。
経験的にもクライストチャーチの秋(5月ごろ)は街中でも紅葉がとても綺麗ですし、一度行ってみる価値があるところですよ。
日本の国土面積は先に書いたように377,900 km²で、ニュージーランドは268,000 km²でイギリスとほぼ同程度。本州と九州を合わせると264,780 km²なのでニュージーランドは本州+九州の面積と思えばいいでしょう。
まとめ
日本は決してちっぽけな島国ではありません。
イギリスは本州+四国、ニュージーランドは本州+九州とほぼ同じ面積であり、南北の長さで言えばスカンディナヴィア半島に近く、北米ではアメリカのカナダ国境とメキシコ国境の間にちょうどすっぽりハマる感じです。
子供がいる家庭のみならず大人だけの家庭でも、ぜひ地球儀を一つ買ってみましょう。
そしてニュースなどで国名が出てきたら探してみて、日本との位置関係や大きさを比べてみましょう。