2022年7月、金沢市内にある石川県立図書館が移転しオープンしました。その内部は全国ニュースに流れるほど斬新でカッコ良いものです。こんな図書館見たことない。ぜひ行ってみたいという願っていたのですが、金沢滞在中の悪天候という天の恵みで叶えられました。相性は「百万石ビブリオバウム」といいます。
図書館の硬いイメージを破壊するカッコ良さ
図書館というと書架がずらりと並んでいて、閲覧コーナにはデスクがあるものの何だかトゲトゲしい雰囲気だし、椅子の座り心地もひどくわるい。
そんなイメージがありませんでしょうか?イメージどころか多くの図書館はそんな感じでは?
2022年7月にオープンした新しい石川県立図書館は一味どころか、全く違います。
一歩足を踏み入れれば、「す、す、凄い」という言葉が間違いなく口から溢れると思います。
まずはオフィシャル動画をご覧ください。
凄くないですか?全国ニュースでも報道された時に映像を見て「めっちゃ行ってみたい!」と思いました。
新しい石川県立図書館がある場所は、2005年まで金沢大学工学部があった場所で同工学部が2005年に移転した跡地に建設されました。外観はさほど変わってはいませんが、一歩中に入ると思わず足が止まり、まるで映画の1シーンに出てくるような光景が広がります。
ちなみに、旧・石川県立図書館は金沢21世紀美術館や金沢歌劇座の近くにあって、どこにでもある図書館で建物は見るからに古い施設で収蔵にも限界が来ていたそうです。
石川県立図書館情報および利用について
石川県立図書館についての情報を調べてみました。
施設概要
施工:清水建設(参照情報)
設計・監理:環境デザイン研究所
延床面積:22,380平方メートル
収蔵可能図書数:開架図書30万冊、書庫200万冊
蔵書数(2023年7月16日時点):開架図書30万冊、全体では100万冊以上
閲覧席:約500席
開館時間
火〜金曜日:閲覧エリアは09:00〜19:00、文化交流エリアは09:00〜21:00
土・日・祝:閲覧エリア・文化交流エリアともに09:00〜18:00
毎週月曜日が休館日ですが、それ以外に休館日が設定されることがありますので、ホームページで確認してください。
アクセス
北鉄バスの石川県立図書館行きがあります。
・金沢駅6番乗り場で11系統「石川県立図書館行き」に乗車、約30分程度、260円。
・近江町・武蔵ヶ辻のホテルフォルツァ(FORZA)の前またはかなざわはこまち前から11系統「石川県立図書館行き」に乗車、約25分程度、260円。
・本数は基本的に30間隔。
・金沢駅時刻は開館時刻にちょうど良いのは、平日は8時37分、土・日・祝日8時32分となり以降30分置きとなります。
金沢市内1日フリー乗車券は使用できません。使用可能エリアの外側になりますので北鉄バスのICカード「ICa」を使うか現金で260円を用意してください。乗車時に整理券を取り降車時に現金で払います。お釣りは出ませんので降車までに運転席脇の両替機で1,000円を両替してください。5,000円、10,000円の両替には対応していません。
全国交通系ICカード(SuicaやTOIKA、ICOCA、Pasmoなど)は使用できませんのでご注意ください。
駐車場は400台の駐車可能で入庫後30分間は無料で、以降30分ごとに100円かかりますので注意してください。館内の駐車場割引機で手続きをすると3時間まで無料になります。
飲食
HUM&Go 石川県立図書館カフェ (メニュー) があります。
筆者はこのHUM&Go 石川県立図書館カフェで、図書館ブレンドコーヒー(420円)とクラシックバーガー(880円)をいただきました。クラシックバーガーはパティというより普通の洋食のハンバーグそのもので、パンと合わせるととてもじゃないけどかぶり付けない大きさ(笑)。ちゃんとナイフとフォークもついていました。
閲覧エリアへの出入りは自由なので、ここでお昼を食べれば開館〜閉館まで居ることができます。
閲覧エリア外側の文化交流エリア、こどもエリア内「おしょくじスペース」(窓際のカウンター席)では飲食が可能です。
閲覧エリア内では蓋付きの飲み物(倒してもこぼれないようなもの、ペットボトルやしっかり蓋のしまるマグボトルなど)に限って持ち混んで飲むことができます。
図書館によっては飲み食い一切不可でバッグもロッカーへというところがありますが、バッグについては特に制限はありません。しかしRFIDを使った図書管理がされており、家電量販店の出入り口にあるようなセンサーが閲覧エリアの出入り口全てにあり、図書の無断持ち出しが監視されています。
利用できる人
閲覧エリア内で図書を見る・読む分には特に手続きなどは不要で、県外在住者も含めて誰でもOKです。
貸出を受けるためには利用者カードが必要で、利用者カードは石川県内在住・在勤・在学の人だけではなく、東海北陸地区(富山県・福井県・岐阜県・愛知県・三重県)在住者も可能で、貸出は1人10冊まで、貸出期間は3週間となっています。
一部施設に関しては座席予約が必要な施設があり、それらは利用者カードを発行できない地域の在住者(たとえば筆者)でも、館内限定利用者登録をすれば利用することが可能です。また貸出なしの館内閲覧であれば書庫から出してもらって閲覧することもできます。登録は館内の端末でも可能ですが、入力の手間や後々のバーコード表示などがあるのでスマホでやることを強くおすすめします。(筆者はiPhoneから登録しました)
手続きさえすれば、貸し出しは受けられませんがほぼ全ての図書閲覧などができるようになります。
有効期間は年度内(4月1日〜翌年3月31日)ですので、年度が変わったら再登録を行う必要があります。
PDFの利用案内もあります。
テレワークも可能
旅行者にはあまり関係ないもしれませんが、テレワークも可能です。
・閲覧席(コンセント備え付けの席もかなりあります)
・ラーニングスペース(コンセント備え付け)
・HUM&Go内の客席(全部ではないかも…)
・だんだん広場(イベント・行事がない時限定)
・研修室 (イベント・行事がない時限定)
実際、この原稿もiPad ProとApple Magic Keyboardを使って閲覧席とラーニングスペースで高校生や若者に混じって書いていました。普通のPC作業なら問題ありませんというか、PCを使っている利用者相当多数です!
Wifiは全館で利用可能であり、SSIDとパスワードは館内に掲示されています。
オンライン会議はラーニングスペースやだんだん広場でOKということになっていますが、オンライン会議ってどうしても声が大きくなりがちなので、やめが方がよろしいかと思います。
金沢で1日雨なら行ってみよう
筆者の先日の金沢一人旅では雨に祟られて、滞在4日のうち2日が雨でした。そんな悪いことしたっけ?(汗)。
嘆いても始まりません。昨年のニュースをみて以来チャンスがあれば行ってみたいと思っていた石川県立図書館です。これは祟りではなく天からの贈り物です。雨でなければ多分行かなかったと思います。
行ってよかった石川県立図書館、リピしたい石川県立図書館
結局滞在4日間中の2日間のかなりの時間を石川県立図書館で過ごしました。それほどに魅力がある施設でもあります。昔からの普通の図書館なら1日
普段何かと忙しくて新しい本と出会う機会が減っているのではありませんか?筆者もその一人です。
本当の出会いがある図書館
大型書店に行くと予期せぬ本当の出会いがありますね。石川県立図書館でも同じことが言えますが、県立の図書館ですので費用は一切かかりませんし開館時間中は何時間いてもOK。
一般に図書館は整然と並べられた書架に日本十進分類(NDC)に従って分類された書籍収納スペースです。人が書いた心を持った書籍なのになのに、収納場所は人の心が入り込む余地がない無機質さがあります。非常に論理的で効率よく整理されているのですが、本との出会いは全く期待できません。
背表紙だけ見て、え?これは?なんだろう?ということは少ないでしょう?
石川県立図書館には、従来の書架が整然と並行に並んだスペースもありますが、大半は円形かつ階段状に作られたエリアにカーブした背の低い書架がありそこに収納されています。
円形エリアでは単純なNCD分類ではなく「本との出会い」を主軸に本が並んでいます。それも背表紙だけ見せて収納するのではなく、大型書店のように表紙を利用者側に向けて12のテーマで並べられたエリアがあり、利用者の興味喚起してくれます。
テーマ1:子どもを育てる
テーマ2:仕事を考える
テーマ3:暮らしを広げる
テーマ4:文学に触れる
テーマ5:自分を表現する
テーマ6:身体を動かす
テーマ7:好奇心を抱く
テーマ8:世界に飛び出す
テーマ9:日本を知る
テーマ10:生き方に学ぶ
テーマ11:本の歴史を巡る
テーマ12:里の恵み・文化の香り〜石川コレクション〜
実際、円形の中に配置されたこれらのテーマごとの書架を見て歩いていると、気になって手に取ったりパラパラ読みした本が多数ありました。
こうしたテーマ別に本がならんでいることで、NCD分類では決して出会うことのなかった本と出会うチャンスがあります。
旅行者で気に入った本があるけれど借りることはできない、そんな場合はその場でAmazon検索してみましょう。
本が嫌いでなければ一度は訪れる価値がある図書館です。