USB TYPE-Cは全てUSB3.0規格のPD対応なのだ!と思い込んでいませんかね?

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スマートフォンでもタブレットでもPCでもMacでも、それこそ携帯扇風機でも欠かせないのがUSBケーブルです。一口にUSBケーブルといってもTYPE-Cが出てから機能が格段に広がった反面、ややこしさも拡大しました。今回はそのUSBの規格について超簡単に整理してみます。ケーブル選択のまえに必読です。

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コネクタの形状と通信規格は別物

よくある混乱はコネクタの形状と通信規格の混同。

上の写真で右側がTYPE-Aと呼ばれる昔からあるもので差し込むときに上下の区別があるもの。

左側はTYPE-Cと呼ばれるもので、最近のPCやAndroidスマートフォン、Macなどは皆これになっています。差し込むときに上下の区別がないので扱いが楽ちんです。

USB TYPE-A(四角いやつ)は低速、USB TYPE-C(丸っこいやつ)は高速通信で充電もできるのだ!
これほんとうですかね?

結論からいいますと、100%間違いではありませんが正しくはありません

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コネクタの形と通信速度と呼称

言葉で説明するとメチャややこしいので簡単にサクッと表にしました。

話を簡単にするために登場コネクタはTYPE-AとTYPE-Cのみに絞り、microUSBは割愛しました。

新しい呼び方USB 2,0USB 3.2
Gen 1×1
USB 3.2
Gen 1×2
USB 3.2
Gen 2×1
USB 3.2
Gen 2×2
古い呼び方USB 2.0USB 3.1 Gen1
(USB 3.0)
なしUSB 3.1
Gen 2
なし
最高通信速度480Mbps5Gbps10Gbps10Gbps20Gbps
コネクタの形TYPE-A
TYPE-C
TYPE-A
TYPE-C
USB-CTYPE-A
TYPE-C
USB-C

<参考>
Kingston Technology USB 3.1 Gen 1、Gen 2、USB 3.2の違い
USB 3.1 Gen 1、Gen 2、USB 3.2の違い – Kingston Technology

Gen 1×2とかGen 2×2といったふうに「x2」というのがありますが、平たく言えば「倍速」です。

もともとUSB TYPE-Cには、片道10Gbpsで通信できる線が4組(8本)定義されています。

従来は4組のうち2組をそれぞれ送信と受信に割り当て、最高10Gbpsの送受信を可能にしていました。

x2の倍速(デュアルレーンといいます)は、今まで使っていなかった残り2組も同じく送信1組・受信1組に割り当てることで従来のものとあわせて20Gbpsの送受信を行うものですが、事情がありデュアルレーン動作の機器がメチャ普及するとは思えませんので、実質的には以下の3種類と思ってもあまり不自由はしないはずです。

デュアルレーンは送受信4組(8本)使うわけですが、ケーブルによってはシングルレーンで2組4本しか接続されていないものもありますのでデュアルレーンを使う時はかならずデュアルレーン対応(USB3.2 Gen1x2またはUSB3.2 Gen2x2)を使う必要があります。

実際にはコネクタはUSB TYPE-Cを使うけれど、オルタネートモードというモードを利用したThunderbolt 3で最高40Gbpsの速度を通信できるものがでてきており高解像度ディスプレイや高速外部ストレージ(HDDやSSD)を中心に少しずつ対応機器が増えています。

USB 3.2 Gen 2×1 (旧称USB3.1 Gen2)の10Gbpsより高速な通信は、Thuderbolt 3あるいはその上位のThunderbolt 4(USB4.0の別名)で普及していくと思われます。

USB 2.0 → 480Mbps
USB 3.2 Gen1x1(USB 3.1 Gen1とも呼んでいた)→ 5Gbps
USB 3.2 Gen2x2(USB 3.1 Gen2とも呼んでいた)→ 10Gbps

USBにはこの3種類がありコネクタの形(フォームファクタ)はTYPE-AとTYPE-Cの両方があると覚えればとりあえずOK。

よくある勘違い:
USB TYPE-C <–> TYPE-Cケーブルは全部高速なUSB3.Xに対応しているという誤解。
USB TYPE-C <–> TYPE-CケーブルもUSB2.0にしか対応していないケーブルはゴマンとあり、USB3.X対応に比べて安い。

Kingston Technologyのサイトに説明動画(英語ですが再生時に字幕をONにしてください)がありましたので紹介します。

わかりやすい説明かと言われると疑問ではありますがご参考までに。

英語のリスニングにもどうぞ。アメリカ英語です。

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USB PD (Power Delivery)

ケーブル選び、特に充電器を使う時のUSBケーブル選びで話がややこしくなるのがPD(Power Delivery)です。早い話がUSBをデバイス間の通信だけではなく、ついでに電力も供給しちゃおうという規格です。

従来のUSBでの電力供給

PD以前のUSBにも電力供給の規格はあります。

USB規格電流電圧電力
USB 2.0500mA(0.5A)5V2.5W
USB 3.X900mA(0.9A)5V4.5W

USBは500mAまでしか電力供給できない!なんてことを聞いたことがありませんでしょうか?

その理由が上の表です。

従来のUSBでは最大でも5V/0.9A(4.5W)です、いや、でした。

このあたりならUSB 2.0対応、USB3.X対応のケーブルならよほど劣悪ケーブルでない限り何を使用しても基本は無問題のはずです。

PD登場

それがUSB TYPE-Cの登場で様相が変わりまして、信号だけじゃ勿体ないから電力供給もしようじゃねぇかってことでPD(Power Delivery)の登場です。

正確にいうと初期のUSB Power Delivery Revision 1.0のころはUSB TYPE-Cも無かったのでTYPE-A/Bに対応していました。途中は端折りまして、USB Power Delivery Revision 3.0 Verison 1.0(通称USB PD 3.0)でTYPE-Cに対応すると同時にTYPE-A/Bは対象から除外され、USB PDはTYPE-Cのみの規格となりました。

USB PD 3.0のパワールール

USB PD 3.0については供給パワー(W数)と電圧・電力の関係をパワールールとして定義しています。

電力(PDP)5V9V15V20V
15W以下(W数÷5)A
15W超 27W以下3A(W数÷9)A
27W超 45W以下3A3A(W数÷15)A
45W超 60W以下3A3A3A(W数÷20)A
60W超 100W以下3A3A3A(W数÷20)A★

★5Aケーブル(eMarker内蔵)必須です。

65Wを供給する場合であれば、上記表の一番下が適用されて、5V/9V/15Vに関しては3A~5Aを供給できねばならず、20Wについては65÷20=3.25Aが供給できないといけません。

30Wを供給すうる場合であれば、同様に考えて5Vは3A~(W数÷5)A、9Vは3A~3.33A、15Vは2Aが出力できなければなりません。20Vは任意ということになっています。

注意してほしいのは3Aを超える出力電流を流す場合にはeMarker内蔵ケーブルが必要ということです。

上記のパワールールでいえば、60W超100W以下で20Vを流すと3A超えますのでeMarkerが必要になります。すなわち65Wの充電器で65Wを出すには20V/3.25A必要なのでeMarker入りケーブル必須なのですが、普通の3A(60W)までのケーブル(eMarker非内蔵)でも60Wまでは供給可能です。

USB PD 3.0では、電圧は5V/9V/15V/20Vで電力(W数)は最大100Wまで供給できる。
流れる電流が3A以内(60W以内)であれば通常のPD対応ケーブルでよいが、60Wを超えて流したい場合はeMarker内蔵ケーブルが必要である。

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まとめ

USB TYPE-AとTYPE-Cはフォームファクター(コネクタの形状と信号線)の違いであり速度の差ではない。

Power Deliveryは現在ではUSB TYPE-Cのみの規格であり、最高100Wまで給電できる。

Power Deliveryで60Wを超えた電力(3Aを超える電流)を供給する場合には、100Wに対応したeMarker内蔵ケーブルをつかわないと3A以上はACアダプタが流さない。

USB TYPE-C <ーー> TYPE-Cケーブルを買う時は、転送速度(USB2.0 USB3.2 Gen1/Gen2)について注意すべし。USB TYPE-C <–> TYPE-Cケーブルだからといって高速なUSB3.X対応とは限らないので要注意。

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