筆者は理系人間で特に物理が大好きでした。残念ながら「物理が好き」=「物理をよく理解して頭の回転が速い」わけではない典型的な素人で、いわゆる一般ピープルです。しかし根っからの物理が好きなので、映画では当然SF映画が好きなわけです。それもSta rWarsとかいったエンタメ系よりは「インターステラー(2014年公開)」が大好きです。単なるSF映画ではなく一般相対性理論がきちんと取り入れられた映画です。
映画「インターテスラー」
ジャンル:SF
公開:2014年11月
監督:クリストファー・ノーラン
重要な出演者:
・クーパー:マシュー・マコノヒー
・マーフ(幼少期):マッケンジー・フォイ
・マーフ(青年期):ジェシカ・チャステイン
・マーフ(老年期):エレン・バースティン
・アメリア:アン・ハサウェイ
・マン:マット・デイモン
クーパーはアメリアなど他のクルーとともに宇宙船エンデュランスで土星近傍のワークホームを抜けて人類生存可能な星へ向けて旅立ちます。
マーフ(マーフィー)はクーパーの娘で幼い頃から科学的探究心を持ち、映画終盤では重力波を通じてクーパーから送られたブラックホールの特異点のデータを使って重力制御を可能にし、そのおかげで人類は巨大なスペースコロニーを建造するまでになりました。
クーパーと並んで重要な役割で映画のクライマックスでは未来を示唆する役割を果たす女性科学者のアメリア。
中盤後半ではある意味悪役とも言えるが、この人がいないとこの結末には辿り着けないという人物がマン(博士)。彼はワームホールの向こう側の宇宙に2度と地球に戻れないことを承知で人類生存可能性を調べるために派遣された十二名のうちの一人。筆者が大好きなSF映画のもうひとつ「オデッセイ」では火星に一人取り残されて生き抜いていくマーク役、オーシャンズ11、オーシャンズ12、オーシャンズ13のライナス役、ボーン・スプレマシー、ボーン・アルティメイタ、ジェイソ・ンボーンムのボーン役などに出演しています。
[YouTube] 映画『インターステラー』予告1【HD】 2014年11月22日公開
[YouTube] 映画『インターステラー』予告2【HD】2014年11月22日公開
[YouTube] 映画『インターステラー』予告3【HD】2014年11月22日公開
[YouTube] 映画『インターステラー』スペシャル映像
この映画の素晴らしいところは、相対性理論をできるだけ正確に取り入れて表現するために、理論物理学者であるキップ・ソーン氏がコンサルタントをつとめたことでしょう。同氏は2017年に重力波検出装置の構築及び重力波発見への貢献でノーベル物理学賞を受賞したほどの人物です。
この結果、映画中のブラックホールである超大質量ブラックホールのガルガンチュアの映画中の描写は、2019年4月10日にイベント・ホライズン・テレスコープの研究チームにより撮影されたブラックホールの画像に酷似していると話題になったほどです。
(著作権の関係で当サイトには画像転載できませんので上記リンクよりご覧ください)
インターステラーから興味が沸くGPSの仕組み
冒頭で触れたようにアインシュタインの特殊相対性理論(ウラシマ効果)、一般相対性理論(重力の大きさにより時間は伸び縮みする等)を筆頭に、中高生でも知っている「はず」の運動の三法則(慣性の法則・運動方程式・作用と反作用)などがあります。
作用と反作用は学校で習うので知っている・覚えている人も多いと思います。
また特殊相殺製理論によるウラシマ効果、すなわち高速で移動する物体の中の時間は、その外側で観察している人の時間よりゆっくり進むというものです。これはアニメ映画「トップを狙え」でも頻繁に出てきます。
「トップを狙え」では準光速でタカヤ・ノリコが宇宙に飛び立つと、同級生のヒグチ・キミコはタカヤ・ノリコよりずっと年をとっておばさんになっているとうシーンが何ヶ所かで出てきます。これが特殊相対性理論のウラシマ効果です。
一般相対性理論によれば、重力と時間の間には大きな関係があり、重力が大きいほど時間の進みは遅くなります。映画中ではミラーの惑星は大質量ブラックホールであるガルガンチュアの重力の大きな影響を受けているので、ミラーの惑星の1時間はブラックホールの影響を受けない宇宙空間の7年間に相当するわけです。
どちらも時間は速度や重力により伸び縮みするものだと言えますが、現在の私たち人間が暮らしている三次元+時間のいわば四次元世界ではSF小説のように時間を遡ったり未来へ行くことは不可能(今の所ですが)だとされています。
時間の進み方(時間が経過する速さ)が状況によりバラバラなのはSF世界の絵空事ではなく、今や我々の生活に不可欠のGPS衛星にこの特殊相対性理論と一般相対性理論が取り入れられています、というか特殊相対性理論と一般相対性理論がなければGPSのシステムは今存在していません。
高速で移動する衛星の中の時計は地球の時計より進み方が遅くなる一方、地表より重力が小さい軌道上にあるので地表の時計より進み方が速い。結果プラスマイナスゼロにはならなくて、地表の時計よりGPS衛星の時計は地上の時計に比べて1日あたり28.6マイクロ秒早く進むように調整されています。
GPSは4つ以上のGPS衛星からの電波を受けますが、その電波には前述の補正がなされた正確無比な時刻情報が入っておりこの時刻は同じように正確な地上の時計と完全に同じ時刻を指すようになっていますが、電波といえども宇宙空間から地表に届くまでには若干時間がかかります。かかった時間(地上の正確な時計とGPS衛星からの電波に入っている時刻情報との差)からGPS衛星までの距離がわかります。
理論的には三次元空間では位置がわかっている3つの点からの距離が正確にわかれば、自分の位置が正確に特定できます。海や陸上などの二次元空間では位置がわかる2つの点からの正確な距離がわかれば自分の位置が特定できるのと同じ原理を三次元に拡張しただけです。先ほどの説明ではGPS衛星からの電波には正確な時刻情報が含まれており衛星までの正確な距離がわかると書きましたが、距離だけわかっても3つの点の位置がわからないと測位できません。そこでGPS衛星からの電波には時刻情報に加えて衛星の位置情報も含まれています。
さて厳密にいえば三点測位で求められる位置は2点になります。なぜかと言いますと、二つの球が交わると其の重なった部分は円になり、そこにもう一つ交わる球があると3つの球が交わる点は2つの点になるのですが、位置情報を求めたい場所は地球上なので地球を4つ目の球と捉えて、地球表面ではないもう一つの点を排除します。一般にはもう一つの点は宇宙空間だったり、地球の中だったりします。
三点測位により地球表面上の2次元での位置(例えば軽度と緯度)が正確にわかり、それに加えて上下という高さがわかります。スマホのGPSアプリを使うと、緯度・軽度・標高までえられるのはそういう理由によります。
測定側(端末側)で必要なのは衛星と同じ正確な刻む原始時計ですが、そんなものを携帯機器に入れるわけにもいかないので、実際には4つ目のGPSを捕まええて、その4つめの衛星の衛星位置情報と時刻情報を使って、自分のGPSデバイスのいい加減な時計(GPSの原子時計からみれば極めて不正確な時計)との時刻さで端末側の正確な時刻を計算し、3つの衛星との時間差、つまり距離を計算します。
以下のリンク先の資料(子供向けなのでわかりやすい)とYouTube動画による説明でかなり理解が進むと思います。
お気づきかもしれませんが、GPSでは時刻の差は距離の差で現れます。
もし特殊相対性理論と一般相対性理論でGPS衛星内の原子時計の補正が行われていないとすると、地表の原子時計との差は28.6マイクロ秒になり光の速度で進む電波では11kmほどの距離の差がでます。11kmも場所がずれたのでは話になりませんね。
沸いた興味に応える本・動画
筆者は相対性理論の専門家とは程遠い単なる物理好きなおっさんですが、世の中には面白そうな本や動画がたくさんありますね。
インターステラーについては科学的考察を非常にわかりやすく説明している動画を見つけました(作成者様に感謝!)
こちらのチャンネルには非常に興味深い解説動画がありますのでぜひご覧になってください。
インターテスラーをみて頭の中に「?」が沸いた後、こちらの動画を見ると「?」のいくつかがとけ、さらにもう一度映画を見ると別の「?」に気づいたりします。
[YouTube] なぜ時間が遅くなるの?【相対性理論】/ インターステラー解説【Interstellar】
[YouTube] ブラックホールって何?なぜ変な形に見えるの?/インターステラー解説【一般相対性理論】【Interstellar】
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