転職・退職・再雇用などで対処を迫られるのが健康保険の切り替えです。会社員が転職した場合は転職先の健保に切り替え、退職すると任意継続か国保への切り替え、任意継続2年間の期限が過ぎたら国保への切り替えなどがあります。どうしても保険証が手元にない期間ができますので手順よくやりましょう
切り替えが必要な時
被保険者本人が健康保険の切り替えが必要になるのは主に以下のような場合です。
1 – 会社を変わった場合(転職など)
2 – 会社を退職して自営業などに就くあるいは年金生活などで働かない場合(会社の保険から国民健康保険[以下国保]に変わる)
3 – 正社員を定年退職して継続して再雇用(正社員退職日翌日から再雇用社員として雇用される場合)される場合
4 – 正社員または再雇用社員を退職して任意継続被保険者になる場合
5 – 2年間の任意継続被保険者の期間が終了する場合(国保に加入するか、引き続き当該健保の特例退職被保険者制度に加入する)
上記の中で健康保険の切り替え(健康保険証の切り替え)を会社が手伝ってくれる・ほとんどやってくれるのは3の継続して再雇用される場合だけで、あとは全て自ら動かないといけません。
一生の中で何度もあるようなことではないのであまり意識することはありませんし、手続きなんて考えたこともないので、いざそのときになるとどうしていいかわからないのが普通だと思います。
現在の健康保険から脱退するときは脱退手続きをして、脱退した証明(「資格喪失証明書」といいます)をもらわないと次の健康保険に加入できません。
日本は国民皆保険ですので、国民は全て何らかの健康保険に加入しないといけませんし、同時に複数の健康保険に加入はできないので、脱退した証明を添えて次の健康保険に加入手続きをとることになります。
転職する場合(筆者も転職経験があります)は、元の勤務先を退職する時に「健康保険資格喪失証明書」を会社の健康保険組合から発行してもらいもらい、新しい会社に提出すると新しい会社の健康保険証を発行してもらえます。この場合新しい保険証が手元に届くまでには日数がかかるのが普通です。
国保に移る場合は「健康保険資格喪失証明書」と「マイナンバーカード」を持って住民票のある自治体窓口に加入届出をします。即日発行なのか何日かかかるのかは等は各自治体や窓口の事情で異なります。早い場合にはその場で即日交付というところもあるようです。
保険証が手元にないブランク期間
新しい保険証はその被保険者資格の開始日より以前に被保険者に渡すことは厚生労働省により禁じられているそうですので、普通は「これ来週から有効の保険証ね!」といって何日も前に事前に送付されたり渡されることはないと思います。職場などでは手続きの都合で、有効日前日に渡されることがあるかもしれませんが、郵送で1週間も2週間も前に届くことはないと思われます。
旧保険証は返却の必要がありますが、期限が過ぎてから返して良い場合もあれば、期限より前に脱退手続き書類と一緒に送付しないといけない場合もあります。
勤務先で正社員から再雇用に日を空けずに継続雇用となる場合、健康保険証だけが変わることが多いはずです。経験的にはこの様な場合は、正社員としての健康保険の資格喪失後速やかに古い保険証を健保組合に送り返せば良いので、保険証が手元にない期間はゼロか非常に短いと思います。
問題は会社の健康保険から国保に移る場合です。会社を辞める状況にもよると思いますが、退職手続きの一環として健康保険組合の脱退手続書類に添えて被保険者本人と被扶養者の健康保険証を返却しなければなりません。この手続きをしないと会社の健保の「資格喪失証明書」がもらえませんし、それがないと国保の加入手続きは不可能です。
すなわち、健康保険証が手元にない期間が何日か発生します。社内手続きは早めのほうが良いですが、健保の脱退手続きをあまりに早くやるとまだ被保険者の資格はあるのに保険証が手元からなくなることになります。
退職の場合、日数を極小化する名案はありませんが、資格喪失日までの間はマイナンバーと健康保険を結びつけておけば、少なくとも再診の場合はマイナ保険証で事足りると思います。現時点において初診の場合に限って普通の保険証の提示を求める医療機関もまだあるようです(経験あり!です)。
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最悪は一時的に自己負担(立替)
元の会社の退職日前であるが保険証が手元に無い場合、被保険者資格は有効ですから全額支払って後日可及的速やかに健保負担分を健保に請求することも可能ですし、前述のマイナ保険証を使うこともできます。
あるいは新しい会社に入社したけれど、保険証が届く前に病院へいかねばならなくなったなら、マイナ保険証はつかえませんので全額支払って、後日請求します。
いずれの場合も全額立替する場合は医療機関発行の「診療報酬明細書が(レセプト)」必要です。領収書と一緒にもらえる「診療明細書」ではありませんのでご注意下さい。
「診療報酬明細書(レセプト)」には必ず「傷病名」が記載されていますが、「診療明細書」にはそれがなくどういう処置に何点ということが書かれているだけです。
「診療明細書」と「領収書」は医療機関に発行義務がありますが、「診療報酬明細書(レセプト)」は請求しないと出ませんし、発行のために文書料を支払わねばならないかもしれません。しかし「診療報酬明細書(レセプト)」がないと自己負担した7割分を健保に請求できません。
まとめ
転職や退職などにより健康保険証の実物が手元にない期間が発生しうる。
その場合、資格喪失以前であればマイナンバーカードの保険証機能がつかればそれで良い。
入社などでは新保険証が届くまでに病院で診てもらう必要があれば、最悪は全額自腹で立替払いし、後日健康保険組合に対して請求する。その場合は「診療報酬明細書(レセプト)」が必要である。「診療報酬明細書(レセプト)」は「診療明細書」や「領収書」とは別物であり、発行を依頼しないともらえない。