複数のメディアによれば、ANAは今年4月から理由を問わず最長2年間の無給休暇を取得できるサバティカル休暇を導入するとのことです。
サバティカル休暇とは
タイミング的にはコロナが原因でも航空業界不況により編み出した奇策のように聞こえますが、「サバティカル休暇」というものは今に始まった制度ではありません。
サバティカル(英: Sabbatical)とは、使途に制限がない職務を離れた長期休暇のこと。
長期間勤続者に対して付与され、少なくとも1か月以上、長い場合は1年間となることもある。6日間働いた後、7日目は安息日とする旧約聖書のラテン語 “sabbaticus” (安息日)に由来する。
出典:Wkipedia 「サバティカル」より
なるほど、なるほど。
別にANAが作った言葉ではありません(笑)。
sabbatical
a period of time when college or university teachers are allowed to stop their usual work in order to study or travel, usually while continuing to be paid:
出典:Cambridge Dictionaryより
ふむ、Cambridge DIctionaryによれば大学の先生が研究や旅行などの目的で日常業務を離れるようなことで有給のようです。
導入例
@人事によれば、以下のような企業がすでに導入しているそうです。
Yahoo! JAPAN、ソニー、MSD、リクルートテクノロジーズ、アトラエ、ファインデックス、ぐるなび等。
内容は様々で、期間も3日程度の有給休暇に毛が生えた程度から、最長5年にわたるものまでさまざまです。
有給が理想ですが無休であっても、復職が保証されるのであればその期間に自己成長などの目的で時間を使うことができ、人材流出を防ぐ可能性が高くなります。
一方でブランク期間がながければ長いほど、職場にとっては事実上の欠員になり他の社員の業務量増加の恐れがありますし、復職したは良いけれど浦島太郎状態で周囲も手がかかり苦労するし、本人も居づらくなって結局退職してしまうということにもなりかねません。
社会保険料も問題で、会社負担分は継続負担するとしても本人負担分をどうするか。長期では無給の場合ば多いでしょうから、どうやって支払わせるかも問題ですし無給であるがゆえに滞納の可能性もあります。
職場(企業)と本人に相当な熱意がないと続かない制度かと思います。
ANAのサバティカル休暇
各社の報道を総合するとANAのサバティカル休暇は以下のようなものだそうです。
・2021年4月から導入(社内ではすでに募集締切済み)
・無給
・1年以上の場合は20万円の補助金
・期間中も会社が社会保険料を負担
・パイロットや客室乗務員、地上職の金属1年以上の正社員約1万5千人が対象
・取得理由は不問
現実には、先の述べたような課題がどうなるのか非常に興味がありますね。
体の良いリストラ
ANAの場合、サバティカル休暇導入がかつてない航空不況のまっただなかに打ち出されただけにそうそう額面通りには受け取れません。
どう控えめに見ても体の良いリストラに映る
リストラばかり続けるわけにはいきませんし、現在調達した資金により現状があと5年ほど続いても企業としては生存可能だともいわれていますがその先が全く見えないので、少しでも身軽にしておきたい。
今後の航空業界のゲームチェンジャーは今の所新型コロナウイルスのワクチンしかありません。
ひたすら神頼みならぬワクチン頼みというのが航空業界。
しかし、ワクチン接種が始まっても半年やそこらで収束する見通しもない。
先に書いたように、サバティカル休暇は2年もの長期になるといくら復職を保証しても現実はそう簡単ではないですし、ANAはも今の状況では2年のブランクを埋める再教育をしている余力も無い思います。
復職した時に周囲との人間関係がうまくいくかどうかも問題です。
結局、「辞めていくんでねぇの!」という密かな期待をもって導入されたと思ってしまいますね。
サバティカル休暇はリストラの手段ではない
ANAのサバティカル休暇が新しいリストラ手法の一つになってはいけません。
ディメリットはあるものの、本来は企業にとっても有力な人材を確保し成長させる有力な手段なのです。
そういう意味ではANAのように無条件ではなくある種のテーマ休暇であるべきです。
当面はANAのサバティカル休暇の成り行きを見守りたいものです。