マンション住まいの防災への備え:自宅避難・自助となる場合の備えを考えよう、非常用トイレ備蓄必須!

マンション住まいの防災への備え:自宅避難・自助となる場合の備えを考えよう、非常用トイレ備蓄必須!

 首都圏に住んでいると、遠くない先に起きる可能性が高いという首都圏直下型地震や南海トラフ地震への備えが呼びかけられています。しかし備える内容というのは、居住地域や居住建物によりかなり異なります。筆者は防災士ではありませんが、大規模マンションの自治会役員としてマンション防災対策にも関わるなかで、防災対策は一律ではないことを知りました。

[首相官邸] 災害に対するご家庭での備え~これだけは準備しておこう!~
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/bousai/sonae.html

 大前提として平均的に共通するであろう上記サイト掲載の対策などはしておく必要があります。その上で自宅避難・自助となり公的支援が期待できない場合の話が本記事です。

マンションの場合は基本は自助・自宅避難

 マンションの場合は建っている土地や地盤の状態、建物の耐震性により大きく異なりますが、大地震で建物倒壊や居住不可能な被害の可能性が小さく、地盤も強固で河川や湖沼が溢れて浸水する心配もない高台であれば、公的支援はほぼ期待できず自宅避難と自助となるでしょう。

 自宅避難なので防災袋にあれこれいれてあとは避難所でなんとかしてくれるだろうというのはあり得ません。自宅が避難所なので食料も必要なものも自分で日頃から備えておかなくてはなりません。家が頑丈なのですからそれくらいは自分で普段から用意しておきましょうということです。

 比較的恵まれたマンションに住んでいる場合でも、冒頭の首相官邸サイト掲載のような備えはしておくことが大前提なのはいうまでもありません。

大地震発生直後トイレは使えない

 あまりメディアは触れないのですが、地震によりマンション建物内の下水配管が破損している場合があります。この場合、トイレなどで汚水を流すと破損箇所から室内に汚水が流れ出してしまったり、あるいはパイプシャフト内が汚染されてしまい衛生面と悪臭で下手すればしばらくは住めない状況になります。室内にトイレの排水を派手にまいた状態を想像してください。

マンションでは建物管理者、管理会社、管理組合などが実施する下水管の点検が終了するまでトイレは絶対につかってはいけません。そのために洋式便座にセットして使う非常用トイレが市販されています。

 非常用トイレで定評があるのはBOSというもので、1回使い捨てでガスバリア性能が非常に高い防臭袋もセットになっています。小用であれば家族が続けて使って消費回数を節約することは可能ですが、平均1日7回程度が大小トイレを使う平均的回数らしいので、3人家族なら1日21回分、4人家族なら28回分が1日に必要な量です。

 3日分あれば足りわけはなく、点検が終わるまでには7日〜10日はかかると覚悟すべきです。7日間なら3人家族で147回分、4人なら196回分、10日確保するとなれば210〜280回分の非常用トイレ備蓄が必要です。そのためBOSの非常用トイレなどは50回分や100回分が1セットになっているものも販売されています。

食料はローリングストック、缶入り野菜ジュースも

食料

 食料はやはり普段食べている袋麺や缶詰などの保存食を多めにストックしておきましょう。アルファ米の非常食も良いのですが割高なことと、定期チェックを忘れて気づいたら1年前に賞味期限が切れていて食品廃棄になったりしますので、自助による自宅避難では非常食メインではなく、普段食べている保存の効く食品をローリングストックすべきです。

 お米は若干割高ですが普段から無洗米利用をおすすめします。これなら洗わずに即炊けます。また家庭で米をあらわないことで排水を汚染することが少なくなります。マンションでは庭にまくことはできず流さざるを得ないですし、非常時には米を洗うために貴重な水を使うのは愚かなことです。

飲料水

 水は1人1日3リットルを目安といわれますので、3人家族なら9リットル、7日分で63リットルでペットボトル32本、6本入りケースを6箱が最低ライン。4人家族ならペットボトル42本、7ケースですね。まあ、10ケースくらいあればなんとかなる。

 水は2リットルだけではなく500ミリリットルの小さなボトルもあると良いです。冷蔵庫が使えないので開封したら痛むのが速いので小パックも必要です。上記とは別に24本入りケースを2〜4ケース(24〜48リットル)用意しておきましょう。

 ケースまるごと賞味期限が過ぎてしまった水は捨てないでおいておくと、洗浄や洗い物につかうことができます。そうならないように消費期限が近くなったら開封して料理やコーヒーなどに使用し新しいのを買います。

野菜ジュース

 非常時こそ体調を崩さないようにしないといけませんがそのためには栄養も大切です。そのため缶入り野菜ジュースもケースで2箱くらい買ってローリングストックすると良いです。非常時に不足する野菜やビタミンを補うことができます。これも普段口にすることが多い種類・ブランドを選びましょう。飲み慣れないのを非常時とはいえ飲むのは辛いです。

 紙パックは保存期間が短いのでローリングストックには缶入り野菜ジュースをおすすめ。

甘味

 気分転換やリラックスのためにも甘い物はほしいです。羊羹は日持ちもするのででかいの1本ではなく小さいのを買っておくとよろしいかと思います。賞味期限5年6ヶ月の井村屋のえいようかんというのもありますが、普通の小さな羊羹をローリングストックするほうが味のバリエーションもありますし、コスト的にも安いです。賞味期限が長過ぎるとつい忘れてしまいますので、そこは各ご家庭の事情で判断しましょう。

 羊羹の羊羹は未開封で「賞味期限は製造から1年、賞味期限後さらに1年はお召しあがりいただける、常温での長期保存が可能な、保存性にすぐれた食品です」と記載されています。あくまで虎屋の場合でありますが

調理熱源はカセットコンロ

 調理のためには熱源が必要ですが、ガスや電気はしばらくは使えないのでカセットコンロは必要です。コンロがあってもボンベがないとただのガラクタなのでボンベもローリングストックです。特に冬場は積極的に鍋などをしてボンベも積極的にローリングストックしましょう。

 特にオール電化の住宅でソーラー発電と蓄電があるお住まいであれば別ですが、それでも地震で故障して使用できなくなることは大いにあり得ますので、カセットコンロとガスボンベは用意しておきましょう。

[岩谷産業] ご存じですか?カセットボンベの備蓄目安
https://www.iwatani.co.jp/jpn/consumer/products/cg/useful/stockpile/

 これによれば6〜10本は必要のようです。保存場所には十分気をつけて日頃ボンベにサビがないかどうかなども点検して、鍋料理でローリングストックしましょう。

 室内でカセットコンロを使うときは換気をお忘れなく!

 カセットボンベの保存には十分ご注意ください。

[岩谷産業] よくあるご質問「カセットボンベについて」https://www.iwatani.co.jp/jpn/consumer/products/support/faq/

・直射日光の当たらない40℃以下の湿度の少ない場所にキャップをして保管してください。
・屋外の金属でできた倉庫、車のボンネット上やトランク、ダッシュボードなどを含めた車内など内部の温度が40℃以上に上がる場所は避けてください。
・製造日(缶底に西暦年月日で印字しており、2013年以降の製造年月日は、西暦月日の順に8桁で印刷)から約7年以内を目安に使い切ってください。製造日の印字が5桁6桁のものは製造から9年以上経っていますのでご使用はお控えください。
出典:岩谷産業 「よくある質問」(「カセットボンベについて」)

非常用暖房にも使えるカセットガス暖房器

 カセットコンロ用のボンベを使ったカセットガス暖房機というのもあります。

[岩谷産業] カセットガス暖房機シリーズ
https://www.iwatani.co.jp/jpn/consumer/products/cg/heater/

 このシリーズの中のデカ暖IIというものでカセット1本で2時間30分だそうです。実際に実機を見たことがありますが小型軽量ですが想像以上に暖かでした。デカ暖IIで発熱量は1,150kcalなので部屋全体を温めるのは無理でしょうが、家族が集まって暖を取るには十分だと思います。

 室内でカセットガス暖房器を使うときは換気をお忘れなく。ガスボンベの保管や注意事項はカセットコンロの項をご参照ください。

インフラアクセス確保:モバイルバッテリー

 スマホはライフラインであり非常時のバッテリーは貴重なので、できればポータブル電源を用意しておくのがベター。

 それ以外にもモバイルバッテリーを10,000~20,000mAhをいつも充電している状態でおいておきましょう。フル充電で保存するのはバッテリーのために良くないのは事実ですが、ここは非常時防災用品と割り切りましょう。

 経験的にはフル充電で放置してもそんなにすぐに痛むものでもなく1年や2年は全然問題なしです。そうしたサイクルで買い換えれば良いし、モバイルバッテリーもローリングストック(サイクルは1年とか2年)しても良いと思います。肝心なのはあまりケチらないこと。

 充電するのに時間がかかりますが、ソーラー充電器も一つあると安心材料にはなります。



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まとめ

 本記事では、一般の災害対策情報サイトではなかなか触れられていない、自宅避難・自助の場合の最低限のポイントについて触れました。特にマンションでは確認が終わるまで絶対にトイレは流さないということを肝に銘じておき必要数の非常用トイレを備蓄しておきましょう。


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