コロナ後のパラダイムシフト、変わる価値観

コロナ後のパラダイムシフト、変わる価値観

新型コロナウイルス感染の全地球的な規模での拡大により、長期間に渡り外出禁止(日本は外出自粛)を余儀なくされ、仕事も可能な職種はすべて自宅で行うというリモートワークが広がりました。数年の後のコロナ収束後は完全に元の社会生活スタイルに戻るかというと多分「否」です。今回はそのあたりを考えてみたいと思います。

コロナで変わる社会

暫定的にせよリモートワークに切り替わったことで「何も都心の真ん中に通勤しなくても仕事はできるじゃないか!」と感じる人は多いのではないでしょうか?

1. 一極集中の崩壊

何もわざわざ片道一時間とか一時間半、往復で三時間、一日の1/8を満員電車で過ごすなんて何と無意味なことだったのだ!と気づいた人も多いでしょう。

筆者もその一人です。4月からずっと在宅でリモートワークですが、やはり通勤の無意味さに気づいてしまいました。

通勤生活には戻りたくない!

そして、リモートワークで仕事ができないかというと、もちろん職種や仕事によりますが、私の場合はほぼ95%リモートでできています。

会社ではMicrosoft Office 365をまとめて導入しているので、相手がPCを使っていてコンタクト可能かどうかすぐにわかりますし、それが見えればMicrosoft Teamsですぐに連絡を取って相談できます。デスクでちょっと横向いて隣に相談する感覚と極端な差を感じません。

リモートワークでほとんど事足りるのであれば、高い家賃の都心のオフィスは全く無意味

新型コロナウイルス感染症拡大にともなう外出自粛・リモートワークの拡大により、通勤電車はかなりスキスキになり、都心オフィス街近くのランチポイントもガラガラで生存の危機。

今の都心は必ずくる首都圏直下型地震・南海トラフ地震、あるいは大規模風水害に対しては脆弱そのものです。地震対策・大規模風水害対策としての一極集中の排除は待ったなし状態です。

いままでは、そうは言ってもオフィスが都心にないと…と盲信してきたのが、新型コロナウイルス感染症拡大でたったひと月程度で「やればできるじゃん」ってことで本当に盲信であったのに皆気がついたわけです。

一朝一夕に都心離れは難しいでしょう。今回はいきなりだったからリモートワークも取ってつけたような仕立てで、会社にあるPCをリモートデスクトップで使うような、不安定で原始的なものも多いと思います。このあたりは現段階で変わりうるリモートワーク支援のITインフラはすでに出揃っているので、企業がその気になればすぐに変えられます。

都心一極集中は、自然災害・感染症蔓延に対しては極めて脆弱なのです。

一極集中がもはやこれ以上継続しうる余地はない。
集中社会から分散社会の流れは今後加速していく。

2. 成果主義への変化

これは前項でふれたリモートワークに絡みますが、リモートワークでの課題の一つは仕事の成果の評価です。

「休まない」・「遅刻しない」・「仕事しない」の3無いサラリーマンで給料をもらえたなんてのは大昔の話です。最近は成果主義も導入されてきていますが、まだまだ時間に縛られた一定時間仕事をすることで評価される仕組みは残っています。

しかし、内勤のスタッフ職でリモートワークがメインになると、重要なのか朝から夕方までパソコンの前に座っていることではなく、コミットした期日・出来栄えで仕事ができるかどうかです。

上司に対してもコミュニケーション機会が減るのは間違いないので、報告能力が重要になります。

必要なタイミングで適切な量・内容をきちんと報告することで、上司は安心できますし適切にアドバイスしたり支持を出すことができます。

出勤していれば、上司が時折席を回って様子を聞いたり・見たりできますが、リモートワークではそれは難しいわけなので、いかにきちんと主体的に報告するかです。

今でも成果を上げる人は、報告能力にも優れた人が多いと思います。

厳しいことをいうと、甘ったれは職を失う可能性が従来より飛躍的に高くなるということであります。

従来以上に成果主義が重視されるようになり、リモートワークが普及すると適切な報告能力を持たない人は必要とされなくなる。

3. 密から疎への変化

すでにお気づきでしょうが、コロナ以前の姿に例えば今年後半になったら完全も戻れるかというと否です。

米国ハーバード大学のレポートに「Intermittent social distancing may be needed through 2022 to manage COVID-19」というのがあります。

翻訳すると「コロナウイルス感染症を管理するためには、2022年までは断続的なソーシャル・ディスタンシングが必要」ということです。

コロナウイルスは撲滅されることはないでしょう。季節性インフルエンザのように季節性があると推測されていますので、流行と沈静化を繰り返すでしょう。そしてインフルエンザウイルスのように変異を繰り返し、ときに致死率の高い強毒性を持つ可能性もあります。

この山と谷は重要で、現在のような厳しい外出自粛が何年も続くと間違いなく近代社会は崩壊します。流行期には厳しい外出自粛を行い、鎮静期にはある程度緩和したレベルでのソーシャル・ディスタンシングが必要ということです。

社会は従来の密な構成から、コロナウイルス(あるいは他の感染症)ありきでの疎な社会への変化を余儀なくされます。

疎な社会では何が変わるのか・必要とされるのかを考えてみましょう。

  1. 密なコミュニケーションを前提とする接触型ビジネスの減少
  2. 疎な状況での取引を前提とする通販などの非接触型ビジネスの拡大と物流・流通事業の拡大
  3. 映画のネット配信などの疎なエンターテインメントの拡大と、映画館など密な環境でのエンターテインメントの減少。
  4. 密を前提とした都心の飲食・販売の減少
  5. 蔓延期での厳しい自粛(あるいは規制)の期間をしのげる補償制度の充実。

本来なら感染していないことを証明できる人が集まれる密な空間・サービスというのもありえなくはないのですが、一般に「有ることの証明」は難しくないですが、『無いことの証明」は非常に難しいので、ウイルスキャリアでない人が集まれる場所というのは事実上は無理です。

従来の密な空間を前提とした接触型ビジネスは機会が減少し、非接触型ビジネスとそれを支えるインフラへのニーズが拡大する。



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まとめ

「一極集中の崩壊」、「成果主義への変化」、「密から疎への変化」はこれまでの社会のあり方を劇的な変化を引き起こすパラダイムシフトです。

これが今年終わりに来るとはいいませんが、間違いないのは「もう二度と2019年までの生活は戻らない」ということです。



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