良くも悪くも話題に事欠かない楽天モバイルですが、MVNOの雄といえるIIJ(IIJmio)から打倒・楽天モバイルといえるプランが登場します。どちらがお得?どちらが実用的?について考えてみましょう。
IIJとは
インターネット黎明期からインターネットに関わっている人で知らない人はいないはずのIIJ。正式には株式会社インターネットイニシアティブ、通称IIJといいます。
いわゆるISP、インターネットサービスプロバイダです。
Wikipediaで調べると、主要株主は以下の通り。
日本電信電話株式会社:21.61%
GOLDMAN, SACHS & CO. REG:5.77%
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社:4.37%
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社:4.18%
鈴木幸一:6.31%
MSCO CUSTOMER SECURITIES:3.51%
第一生命保険株式会社:2.73%
THE BANK OF NEW YORK MELLON AS DEPOSITARY BANK FOR DEPOSITARY RECEIPT HOLDERS:2.18%
株式会社KS Holdings:1.73%
(2016年3月31日現在)
出典;Wikipedia「IIJ」
NTT系列でおよそ1/4の株を所有していますが、日本国内では電信電話系を除けば最大のインターネットバックボーンを構築しています。
以前は個人向けでもIIJ4Uブランドでサービス提供していましたが、2016年にIIJmioブランドに統合されました。
IIJってMVNOだから遅くないの?
一般的にはMVNOは自営通信ネットワークを持つMNO(docomo、au[UQ含む]、SoftBank[Y!mobile含む]、楽天モバイル)、いわゆるキャリアより多少なりとも速度が遅くなるのはやむを得ません。
実際どの程度速度がでるのかは、使う時間帯や場所により様々ですし、悪質なMVNOの中には速度想定アプリ最適化までしているところもあるようなので、速度測定サイトは総じて信頼できませんが以下のサイトは結構面白いです。
「みんなのネット回線速度(みんそく)」サイトはユーザーが自ら測定した結果が集約されていますので、恣意的に結果操作されているかもしれない比較サイトよりよいと思います。
この「みんなのネット回線速度」でiijmio(みおふぉん)を調べてみましょう。
下り平均速度: 46.49Mbps
上り平均速度: 11.24Mbps
格安SIM速度ランキングで18番中4位
出典:「みんなのネット回線速度」iijmio(みおふぉん)
この情報で46Mbps出ているからといって、みなさんが実際につかってみてもいつもそれだけでるわけでもなく、あるいはそれ以上に出ることもあります。時間帯によっても相当違いますので、そのあたりは承知しておかねばなりません。
「みんなのネット回線速度(みんそく)」の「格安SIMの通信速度ランキング」でベスト10を見ましょう。
順位 | MVNO (セカンドブランド含む) | 平均ダウンロード速度 |
1 | 日本通信SIM | 55.53Mbps (226件) |
2 | DMMモバイル | 47.96Mbps (79件) |
3 | OCN モバイル ONE | 46.97Mbps (318件) |
4 | IIJmio | 46.49Mbps (427件) |
5 | UQ mobile | 44.51Mbps (1135件) |
6 | LINEモバイル | 44.27Mbps (310件) |
7 | Y!mobile | 42.07Mbps (718件) |
8 | mineo | 39.62Mbps (609件) |
9 | b-mobile | 38.26Mbps (149件) |
10 | ペンギンモバイル | 31.92Mbps (46件) |
この中で、OCNモバイルONE、IIJmio、mineoは使用経験がありまして、UQ mobileとY!mobileは現在それぞれメイン回線、サブ回線として使用中です。その経験からIIJmioは決して遅くはありません。mineoはちょっと遅めであることが多かった用に思います。
打倒楽天モバイルのプラン
ギガプラン vs Rakuten UN-LIMIT VI(仕様比較)
今回、IIJmioが発表したプランは以下のようなものです。
楽天モバイルと比較してみましょう。
IIJmio | 楽天モバイル | |
プラン名 | ギガプラン | Rakuten UN-LIMIT VI |
対応キャリア | docomo回線 または au回線 | 楽天モバイル回線 |
料金(音声プラン、税別) | ~2GB:780円 2GB~4GB:980円 4GB~8GB:1,3800円 8GB~15GB:1,680円 15~20GB:1,880円 | ~1GB:0円(1回線目) ~1GB:980円(2~5回線目) 1~3GB:980円 3GB~20GB:1,980円 20GB~:2,980円 (パートナー回線は5GB制限) |
容量追加 | 200円/GB | 500円/GB (パートナー回線) |
翌月繰越 | ○ | X |
容量超過後の速度 | 300kbps | 1Mbps (パートナー回線) |
データシェア | ○(6月以降提供予定) | X |
5G | ○(6月以降提供予定) | ○ |
家族割 | X | 家族割増あり |
初期費用 | 3,000円 | 0円 |
MNP転出料 | 0円 | 0円 |
契約解除料 | 0円 | 0円 |
キャリアメール | X | @rakuten.jp |
通話定額 | オプション 「みおふぉんダイヤルアプリ経由) | 無料(国内) (Rakuten Linkアプリ経由) |
上記のスペックから言えること;
・IIJmioはMVNOであり、契約時にdocomo回線(プランD)かau回線(プランA)を選べるが、MNOである楽天モバイルは自社回線のみ。
・楽天モバイルの1GB/月までの0円は1回線目のみで、同一名義での2回線目以降は0GBでも980円かかる。
・IIJmioは20GB以上の容量はないが、楽天モバイルは上限なし。
・IIJmioは1回線目で使用量が0~1GBの範囲に無い限りIIJmioのほうが安い。
ギガプラン vs Rakuten UN-LIMIT VI(料金比較)
上記の表ではどちらが安いのかピンとこないと思いますのでグラフにしました。
(グラフは無断転用防止のために背景模様を入れています。)
楽天の料金は1回線目の料金です。
2回線目以降の最低料金は980円/月です。
0~1GBまでの場合を除き、1~20GBの全ての容量において、IIJのほうが楽天モバイルより安いのです。
ギガプラン vs Rakuten UN-LIMIT VI(エリア比較)
もっと決定的なのはエリアの違いです。
言ってみれば、
docomo回線 vs 楽天回線
au回線 vs 楽天回線
の勝負です。これは比べる前から勝負がついています。
通勤時に楽天モバイルのSIMを入れたスマホ(Jelly 2)で郊外某所から都心経由の湾岸方面までのエリアをみてみました。
経路など具体的な情報はぼかさざるをえないのでご容赦ください。
郊外までのJR線:場所におって楽天モバイル回線だったりパートナー回線だったり。
JR山手線ターミナル駅(地上):駅により楽天モバイル回線だったりパートナー回線だったり。
東京メトロ線(地下):試した範囲は100%パートナー回線
湾岸の高層ビル:試した範囲は100%パートナー回線
郊外の大型ショッピングセンター:試した範囲は100%パートナー回線
楽天モバイルは都内でのカバー率を自慢していますが屋外地上に限られます。
地下鉄、大型オフィスビル、大型ショッピングセンターはほぼ間違いなく楽天モバイル圏外で容量5GB制限のパートナー回線でした。
楽天モバイルはKDDIとのローミング契約が終了すればたちまち圏外になり、ローミング継続でも5GB制限がかかる恐れが高い。
実用エリアに関して言えば、楽天モバイルは地下鉄・大型オフィスビル・大型ショッピングセンター・地下街で相当額の投資をしないと絶対使えないキャリアに成り下がります。
一方IIJmioは申込時にdocomo回線かau回線を選べますが、どちらを選んでも全く問題ありません。
楽天モバイルはIIJmioの敵にはなりえません。
まとめ
IIJmioからギガプランという打倒楽天モバイルプランが出る。
料金は1回線目の0~1GBの場合を除きIIJmioのほうが楽天モバイルより安い。
エリアに関しては楽天モバイルは地下鉄・大型オフィスビル・大型ショッピングセンターなど軒並みアウトで5GB制限のあるパートナー回線になる。楽天モバイルとKDDIとのローミング契約は順次終了するので、この先楽天モバイル圏外のエリアが続出する恐れが高い。
筆者のオススメは楽天モバイルではなくIIJmioのギガプラン!