iPhone 15 Pro/Pro Maxでプロ級動画、高性能動画カメラアプリ4種をテストする

iPhone 15 Pro/Pro Maxでプロ級動画を撮ることができる動画カメラアプリ4種類をテストしました。Apple純正Final Cut Camera、MAVIS、ProCamera、Blackmagic Cameraです。HEVC（H.265）、ProRes 422 HQ、ProRes 422、ProRes 422 LTで撮った動画のサイズやバッテリー消費状況も調べています。

テスト内容

4種のアプリ

今回テストしたのは以下の4種類の動画を撮影できる高性能アプリです。

基本的な機能の違いについては以下の記事で紹介しています。

4種のフォーマット

アプリによりできるできないがありますが、以下の4種類フォーマットを試しました。

解像度とフレームレートは全て4K/30pです。

比較するデータ

撮影した動画ファイルの詳細な属性は、macOSのQuickTIme PlayerのムービーインスペクターとDaVinci Resolve Studio 19のEdit PageとFairlightのメタデータ表示で調べました。

テストは毎回フルチャージの100%から始めています。

記録時間は60分が基本ですが、サイズの大きなHQは20分程度、LTは30分にしています。

フォーマット毎の録画ファイルのデータ詳細

HEVC（H.265）

4種類のアプリ全てがHEVC（H.265）に対応しています。

データレートはProCameraがダントツに高く、ついでBlackmagic Cameraが高くなっています。

10分あたりのバッテリー消費はProCameraがダントツに低いです。

ビット深度はProCameraが10bitである以外は全部8bitです。

1分あたりの容量はデータレート同様にProCameraがダントツに大きく、ついでBlackmagic Cameraです。

HEVCでは数字上はProCameraが一番高画質でありデータレートも大きくなっています。

Blackmagic Cameraは前述のブラックアウト問題が発生したので怖くて実用にならないので番外。

Apple ProRes 422 HQ

Apple ProRes 422 HQによる録画は最高画質あり、MAVIS以外は全てProRes 422 HQ対応です。

1分あたりの容量はHEVCが200〜400MB程度なのに比べて、ProRes 422 HQは1分で6〜7GBと10倍以上の容量を食います。 20分の動画を撮ると110〜150GBとなりますので、iPhoneは最低でも512GB以上のモデルでないと話になりません。

ビット深度は全て10bit、オーディオは全てリニアPCMとなりBlackmagic Cameraは32bit Floatとなっています。

Apple ProRes 422

純正アプリはProResはHQのみ対応なので、ProRes 422対応可能なのはProCameraとBlackmagic Cameraのみ。

Blackmagic Cameraはブラックアウト脱落しています。

ファイル容量は1分あたり4GB程度必要となりますので60分回せば240GBほど必要です。

Apple ProRes 422 LT

これもProCameraとBlackmagic Cameraのみ対応できます。

今回テストしたProResのなかでバッテリーの消費では422 LTが一番有利で10分につき2%を切っています。

ファイル容量は1分あたり3GB前後なので60分回して180GBと、512GB以上のストレージがあるiPhoneならば許せる範囲です。

ProRes 422 LTはHEVCより上位の画質の形式としては有力候補だと思います。

Blackmagic Cameraが脱落しています。

まとめ

HEVCで撮るなら、純正Final Cut Cameraは無難にまとまっておりオーディオがリニアPCMなのでGOODですが、撮影補助機能が寂しいのと、ゼブラ設定やピーキング設定が記憶されずアプリ終了都度セットし直しなので鬱陶しい。

GUIのプチ・プロっぽさを求めるならばMAVISかProCameraですが純正アプリの安定度でFinal Cut Cameraは捨てがたいです。

Apple ProRes 422 HQは純正アプリも対応していますが、なんせ1分につき6GBも必要なのでiPhone単体で録るには向いていないフォーマットだと言えます。

常用したいフォーマットはHEVCかApple ProRes 422 LTです。事実上後者に対応できるのはProCameraのみとなります。