かわたれどき

かわたれどき

この季節の夜明け前は首都圏でも相当冷え込むのですが、特に先週から今週にかけては寒波で猛烈に寒いです。朝5時とか6時だと氷点下5度ならマシなほうになります。そんなときに外へ出るときれいな朝焼け前のグラデーションがとても美しい。こういう時を「かわたれどき」と言います。

映画「君の名は。」(かたわれどき)

見た方はもちろんご存知でしょうが映画「君の名は。」で出てくる非常に重要なキーワードが「かたわれどき」なんですよね。

この「かたわれどき」というのは夕暮れをいうようですが完全に映画での造語で辞書を引いても出てきません。

映画の中では夕暮れ時で日が沈む前をさすようです。

普通に日本語では「黄昏時(たそがれどき)」とか「黄昏(たそがれ)」といいますね。

黄昏(たそがれ、たそかれ、コウコン)は、一日のうち日没直後、雲のない西の空に夕焼けの名残りの「赤さ」が残る時間帯である。
出典:Wikipedia「黄昏」

映画の「かたわれどき」は日没前の明るい時間帯を言うようですが、日本語の「黄昏時」は日没直後でまだ夕焼けの名残がある時間帯ということなので、時間軸でいうと「かたわれどき」の後に太陽が沈んで「黄昏時」になるわけですね。

ちなみに「たそがれどき」は「誰ぞ彼時」と書きまして「黄昏時」と書くのは当て字だそうであります。

たそがれどきは「誰ぞ彼時」と書くように、日没後薄暗くなってきて相手の顔がよくわからなくなってきて「誰ぞ彼?(あなたはだあれ?)」という時間帯ということで、映画「君の名は。」の「かたわれどき」はもっと明るい日没前の時間帯である。

かわたれどき

さて本題。

かたわれどき」のタイプミスではありません。

彼は誰時」(かわたれどき)の意味で、「誰ぞ彼時」と同じ意味合いで本来は夕方・朝方の両方につかわれていたそうですが、いつしか朝方だけを指すようになったと聞きます。

彼は誰時(かはたれどき)は、明け方頃の時間帯を指す。彼は誰(かはたれ)ともいう。
出典:Wikipedia「彼は誰時」

上の写真を撮ったのは1月初旬の朝6時過ぎですが、暦では日の出時刻は午前6時50分ですので日の出前で太陽の光で空がグラデーションに輝く一番美しい時間帯。がっつり写真を取りたくなるような空です。

しかし、この日の最低気温は氷点下五度。
めっちゃ寒くて数枚撮ってほうほうの体で室内に逃げ込みました。

この写真を見て、「君の名は。」の「かたわれどき」を連想したわけです。



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あさぼらけ

似たような言葉に「あさぼらけ」があります。

意味としては似たようなもので、明け方に空がなんとなく白んで明るくなってくることを言います。
その時間帯じゃなくて、その事象をいうのですね。

語源は枕草子にあります。

花の中より、黄金の玉かと見えて、いみじうあざやかに見えたるなど、朝露にぬれたる、あさぼらけの桜におとらず。
出典:「木の花は」(枕草子)

「花の中から黄金の玉(その前の文から「橘の実」を指す)のように見えて、とても色鮮やかに見えるのは朝露に濡れている明け方の桜にまけないくらい(美しい)」(現代語訳;筆者)

この文章から「あさぼらけ」も写真のようなグラデーションの時間帯から少し時間がたってもっと明るくなり、朝焼けの陽の光が朝露をきらきら輝かせる時間だと思われます。写真のような時刻ですと、朝露がよく見えませんから(笑)。

そういう意味では、こちらのほうも時間軸では「彼は誰時(かわたれどき)」→「あさぼらけ」かと思います。

まとめ

映画「君の名は。」で夕暮れ時をさす「かたわれどき」は映画内での造語で日没前の夕暮れの時。

一般の日本語では「黄昏時(たそがれどき)」というが、こちらは日没後の夕焼けの名残のある時間帯。

夜明けは「彼は誰時(かわたれどき)」と言い、似たような言葉に「あさぼらけ」があるが、あさぼらけは「彼は誰時(たわたれどき)」の後の時間帯。



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