USBメモリは今さら言うまでもなくデータをオフラインで他人に渡したりするのに非常に便利なもので、多くはUSB Type-Aに直接接続できる小型のものです。一方USB接続ポータブルSSDといえばPCやMacのストレージ拡張に使うことが多いものです。最近ぼちぼち出てきたのがUSBメモリ型のSSDです。外観はUSBメモリだけど似て非なるものです。
下の写真で左側がUSBメモリ型SSDで右側がUSBメモリです。
USBメモリ
一般には「USBメモリ」で通じますが「USBフラッシュドライブ」と呼ぶこともあります。
USB規格の中の「USB Mass Storage Class」という補助記憶装置を接続するための規格に対応したものです。WIndowsですと「リムーバブルメディア」として認識されることからも、頻繁な取り外しを前提としていることが推測できると思います。
価格はピンキリで中身はNANDフラッシュが使われており、バラすと中にはmicroSDカードがはいっていたなどというものもあるようです。
アクセス速度はあまり速くないのが普通です.
USBメモリとしては高速な部類に入るUSB3.2 Gen1対応のELECOM MF-BHU3064GBKで、読み出し最大280MB/s、書き込み最大50MB/sにすぎません。
USB規格の最大転送速度(理論値)、例えばUSB3.2 Gen1では5Gbpsですが、USB3.2 Gen1対応のUSBメモリで5Gbpsで転送できるわけではありません。商品説明やWeb等の記事によっては最大転送速度5Gbpsとか書いているものも稀にありますが、これはUSB規格そのものの話であり、実際にそのUSBメモリを使って読み書きできる速度ではありませんので騙されないように。
容量についても8GB〜64GB程度の小容量のものが主流となっています。これは読み書きが遅くオフラインでのデータ持ち運びに使うことが多いためそれでも十分な場合が多いからです。
USBメモリ型SSD
外観はUSBメモリ(USBフラッシュドライブ)と区別するのは厳しいと思いますが、事実上中身は大違い。
外付けポータブルSSDというものがありますが、あれをUSBメモリの型に収めたのがUSBメモリ型SSD。
上の写真は二つともUSB接続SSDで左がポータブルSSD、右がUSBメモリ型SSDで容量はどちらも1TBです。
写真のUSBメモリ型SSDはELECOM ESD-EMA1000GBKでというもので、読み込み最大500MB/s、書き込み最大480MB/sです。USB接続のSSDとしては比較的速度が遅い方に属しますが、 MF-BHU3064GBKと比べるとスペック上で読み込み速度は2倍、書き込み速度では10倍近い差があります。
両者の違い
シンプルに違いを表にしてみます。
USBメモリ | USBメモリ型SSD | |
用途 | 異なるデバイス間でのデータ交換、頻繁な抜き差しと持ち運び | PCやMacのストレージの拡張、バックアップ |
Windowsでの認識 | リムーバブルメディア | マスストレージデバイス |
macOSでの認識 | USB 外部物理ボリューム | USB 外部物理ボリューム |
主流の容量 | 8~64GB程度 (1TBを超えるものも存在する) | 128~512GB程度が多い |
読み込み速度 | 数十MB/s~300MB/s程度 | 500MB/s~1000MB/sが多い。 |
使用時の発熱 | ほとんどない | それなりに暖かく・熱くなる |
1GBあたりの価格 | 概ね数十円程度 | 概ね十円未満 |
製品の価格はUSBメモリのほうが安いように見えますが、容量が小さいため1GBあたりの単価に換算すると結構高いものになります。
USBメモリ型SSDは、価格は高くなりますが容量も大きいので1GBあたりの単価はかなり安くなっています。
使い分け方
ここまで書けば明らかですが、USBメモリはファイルを他のデバイス(PCなど)にオフラインでコピーするときなどに使います。小容量ですが簡単に使えるのが特徴。バックアップ先としては転送速度が遅く容量も小さいため不向きです。
USBメモリ型SSDは、他人とデータやりとりをするためではなくPCやMacのストレージの拡張やバックアップ用として好適です。ポータブルSSDより小型でじゃまにならないですし、ケーブル不要なので不適切なUSBケーブルを使ったために転送速度が遅いといったトラブルも避けられます。PCのUSBポート付近の構造によっては、となりのUSBポートを物理的に塞いでしまうこともありますので要注意です。