ペリカン万年筆の4001 インク、伝統のロイヤルブルーか古典派ブルーブラックか?違いは色だけにあらず!

日常生活・猫
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 6年近く前に妻がプレゼントしてくれたのが、現在筆者愛用の「ペリカン スーべレーン」ですが、先日洗浄して乾燥させました。手持ちのボトルインクが古くなったので新しいのを買うのですが、伝統のロイヤルブルーか、古典派のブルーブラックか、あるいは別の色か?で迷っています。というのも実は違いは色だけではないからです。

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ペリカン万年筆スーべレーンの洗浄方法

 インクを変える前には洗浄は必須です。洗浄に必要なものは小さなコップ(プラスチックの安い使い捨てで良い)と綺麗な水だけです。クリーニング液や洗剤などは絶対に使ってはいけません。

  1. インクを使い切る。
  2. コップに首軸が中程まで浸る程度の水を入れます。
  3. スーべレーンを浸して(注意:ストライブの胴軸は絶対に水に浸さない)尻軸を左に止まるまでゆっくり回す(中のインクを吐き出します)。
  4. たちまち、水がインク色に染まるので捨てて新しい水を入れます。
  5. ペン先から首軸中程まで浸して尻軸を止まるまでゆっくり右に回して綺麗な水を吸い込む。
  6. 尻軸を左に止まるまでゆっくり回すと、またまた水がインク色に染まります。
  7. 4〜6を水が綺麗になるまで繰り返す。
  8. 数時間置いて4〜6を行うと、アーラ不思議、まだまだ水がインク色に染まります。
  9. 水を吸い込んだ状態(尻軸を右に回し切った状態)で一晩置きます。胴軸は絶対水に漬けないように。
  10. そして4〜6を水に色がつかなくなるまでくりかえす。
  11. 最後はペン先を水から出して尻軸を左にゆっくり回して中の水を吐き出し、ティッシュを優しくペン先に当てて水を吸い取ります。
  12. これで完全に乾燥するには時間がかかるので一晩以上、ペンが転がらないように注意して放置します。

 ペリカン万年筆スーべレーンの胴軸(縞々部分)はセルロース・アセテートが使われておりモデルによっては縞々はそれぞれの色の材料を貼り付けて作られているという工芸作品でもあります。

  ペリカン万年筆スーべレーンの胴軸(縞々部分)はセルロース・アセテートが使われておりモデルによっては縞々はそれぞれの色の材料を貼り付けて作られているという工芸作品でもあります。このセルロース・アセテートは水を含むと膨張しますので、絶対に胴軸が水に浸った状態で放置してはいけません。

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万年筆インクの種類

種類について

 巷の解説でhw万年筆インクは2種類だったり3種類だったりします。それは以下の説明表でどの段階をとるかで2種類になったり3種類になったりするわけです。筆者は専門家ではないので知る範囲で簡潔に説明します。

染料インク

古典インク

没食子酸鉄インク

 

タンニン酸鉄インク

ペリカン インク 4001 ブルーブラック

タンニン類鉄インク

 

普通の染料インク

 

ペリカン インク 4001 ロイヤルブルーを始め各色

顔料インク

 

 古典インクには二価鉄イオンというものが含まれておりまして、これが筆記されてやがて空気中の酸素と結合して三価鉄イオンになり、黒みを帯びた色になります。書いた時は青いけれど時間が経つと黒っぽくなるのでブルーブラックと呼ばれます。黒っぽい青という意味ではありません。

 古典的な没食子(もっしょくし)インクは強い酸性のため、ペン先を腐食してしまうため万年筆には使われず、Gペン(ガラスペン)などのつけ麺….じゃない…つけペンに使用されます。間違っても没食子インクを万年筆に入れてはいけません。

pHについて

 こうなると気になるのがインクの酸性度を示すpHです。pHは7.0で中性、7未満で酸性、7を超えるとアルカリ性。強酸性の胃酸はpH1〜2と言われています。インクのpHの情報を調べて集めた方がいらっしゃるようで、それによればペリカン ブルーブラックはpH1.9、ペリカン ロイヤルブルーはpH2.9と驚いたことにその数値だけみれば強酸性じゃありませんか!

水素イオン指数(ph)とインク 其の3(完結編)
http://blog.livedoor.jp/tomolion/archives/4277469.html

 ペリカンに限らず酸性のインクを使うと万年筆が腐食してしまう!と思うわけですが、そこは長年、本当に長年世界中で使われてきて問題ない程度の耐酸性はあるはずですのでそんなに心配する必要はないでしょう。1年や2年で腐食して使えなくなるようなら、それこそ世界中で訴訟か不買運動が起きて今頃製品は世にないはずです。

万年筆インクの粘度とpH測定(2008年)
http://old-sf-fan.blogspot.com/2018/10/ph2008.html

 一般に海外性のインクは酸性インクが多く、国内のパイロットやプラチナは中性が多いようです。前述のサイトの情報によれば、ペリカン 4001ではブラックはpH7.46、グリーンがpH6.21、ブラウンがpH6.96、レッドがpH6.37 ということだそうです。これらの中性の色で常用できそうな色は黒ですが面白くありませんねぇ。平々凡々ですが署名するときなどにグリーンやレッドというのもまずいですし(笑)。

 ちなみに海外製インクは酸性が多く、国産インクは中性が多いようです。

使用頻度が低い時

 筆者のように使用頻度が低い場合は、目一杯インクを吸入してはいけません。少量を吸入して使い切ってまた吸入。そして長くても半年に一度、できれば3ヶ月に一度洗浄が望ましいようです。

 こうした手入れさえしていれば、使用頻度が低くても純正インクであればpHは気にせずに、気に入った色を使うほうが幸せでしょう。ただし異なる(メーカーはもちろん色も)を混ぜると固まったり予期せぬ結果になる可能性がありますので、色やインクを変えるときは洗浄をお忘れ無く。

 ペリカン 4001のインクは62.5mlのボトルしかないのですが、これだと使い切らないうちに3年とかすぎて廃棄せざるを得ず極めてもったいないので、もっと小さなボトルが欲しいところです。

 あるいはスーベレーンとかではなくもっと価格帯の低いペリカーノでカートリッジインクを使うか….それも寂しい。

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おまけ:古い万年筆インクの廃棄方法

 絶対に排水として流してはいけません。

  1. 牛乳パックを半分のサイズ(500mlなら上の尖った部分を切り取る)に切る。牛乳パックの内側は防水加工です。
  2. 中にビニル袋を二重に敷く。
  3. ボロ布を2.の中にたくさん入れる。
  4. インクボトルの中身を静かに3.に注ぎ込む
  5. 口をしっかり縛って可燃ゴミとして捨てる。

 インクボトルの中を注ぐ時に想像以上にはねますので、インクがついても平気なように古いエプロンをするなどしましょう。はねる可能性を最小限にするためにボトルを傾ける前に、3.の状態のビニル袋をボトルに深く被せてから逆さにするとはねる可能性が激減します。

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