Boeing 787の主翼は他の旅客機の主翼とは一味違います。
ウィングレット(ウィングチップ)
JALやANA保有機材の中で一部の機体の主翼端がピンと垂直に立っているのをみたことがあると思います。全種類ではないと思いますが、よく見るのは737シリーズ、767の一部(767-300ER)、A320の一部等々でしょうか。
まるでアラレちゃんが「キーン」という擬音を発して飛行機の真似をするシーンを彷彿とさせますね。
ご存知の方も多いと思いますが、あの垂直につったっている部分は「ウィングレット」と言いまして、空気抵抗を減少させて燃費をよくするためのものなのです。
このサイトによく説明されています。
飛行機が落っこちずに空を飛べるのは、主翼の形状(断面)に意味があり、上側の部分がかまぼこ型に膨らんでいて、その結果として、主翼の下を流れる空気より上を流れる空気のほうが気圧が低くなり、結果として主翼が上に持ち上げられ揚力が発生するわけです。
しかし、翼は有限の長さである以上、必ず端っこが存在します。端っこでは主翼下側の気圧の高い空気が主翼上側の気圧の低い方に回り込み渦が発生します。これを翼端渦といい、これにより翼端を上から下に押し付ける力が発生し、翼端では揚力が下がってしまうという現象が起こります。
これに対して、ウィングレットをつけると、翼端渦が起こることに変わりはありませんが、翼端を上から下に押し付ける方向には発生しにくくなるので、揚力へのマイナス効果が防げるというものです。揚力は10%UP、抗力(動きを妨げる力)は7%DOWNするそうで、その結果燃費が良くなるということらしいですね。詳細は下記に説明があります。
レイクド・ウィングチップ
さて、本題のBoeing 787です。まずは写真をご覧ください。
これは、成田市さくらの山公園で撮影した、ANAのBoeing 787-9 Dreamliner (登録番号JA806A)で2012年にANAに納入されたBoeing 787の6号機となります。
この写真は機体真下からの写真ではないのですが、主翼の特徴がよくわかると思います。翼端のほうが主翼全体よりさらに後ろに向いており、写真からはわかりませんがやはり翼端部分が上にそっています。ちゃんとした用語で言えば、翼端の後退角を大きくし、上反角も大きくしたものです。
全体として長距離を飛ぶ渡り鳥の翼に形がひどく似てきていると思いませんか?
そうなんです、飛行機自身が鳥から学んで作られたものです。鳥がいるから人は空を鳥の様に飛びたいと思い飛行機を発明した。より早くより効率よく飛ぶためにさらに鳥に学んだ結果の形状だと言えます。
先の様な説明をすれば、レイクド・ウィングチップは余計なものをつけないのでウィングレットよりずっと軽量で済みますし、翼端を小さくすることで翼端渦を小さくし、さらに先端をシャープにして後退角を大きくして主翼から離すことで、翼端渦の影響を小さくするわけです。
まあ、理屈はいいとして、この形状とても美しいと思いました。
空港で搭乗前や離陸する遠景、あるいは送迎デッキで見ているとあまり感じませんでしたが、成田市さくらの山公園で787をしたから見たときは、声が出るのを禁じ得ないほどに美しさに感動しました。
相手は飛行機ですが一目惚れしちゃったといっても過言ではありません。
離陸する飛行機をしたから見られる場所
そんなわけで、真横から見たのではこの美しさは伝わらないかと思います。真っ青な空を背景に浮かび上がった先端がシャープな主翼の双発機。実に美しいじゃないですか。
着陸していくシーンよりは、欧州や北米に向けて燃料を満載し4,000メートル級滑走路を目一杯使って、飛び上がっていく姿は着陸シーンよりはるかに力強いものがあります。音も着陸時のスロットルを絞った音よりは、スロットルをフルにして力一杯飛び上がっていくほうがはるかにお腹に響きます。
おすすめは成田市さくらの山公園です。4,000メートル級のA滑走路(34L)から北に向かって離陸する飛行機をほぼ真下から見ることができます。
A滑走路は34L/16Rという記号がついているところからわかる通り、ほぼ南北に伸びている滑走路で、冬場の北風のときは南側から北側(さくらの山公園側)に向かって離陸していきます(風上に向かって離陸するので)。現状では欧米などの長距離便がここを離陸に利用するように運用されているそうです。したがって、寒いですが冬場で北風(強くなくても良い、風向きが問題)の晴れた日にここへいくと、冒頭のような写真が撮れます。ズームレンズは必須で望遠端は35mm換算300mmもあればOKです。それ以上のズームは飛んでいく飛行機を真下から撮るにはズームが扱いにくくなります。
もちろんこのアプリを忘れてはいけません。
PC/Macではブラウザベースで、iOSデバイスやAndroidデバイスではそれぞれ用のアプリがあります。これがあると次に離陸する飛行機の航空会社名、行き先、機材、登録番号などが全てわかります。なので、国内線とかであればこの場所に来る前に飛び上がってしまって写真にはならないので、狙うのは午前中の欧州路線です。最近では多くはBoeing 787 Dreamlinerだと思いますが、たまに珍しい機体も飛びますので楽しいです。
お昼近くになると午前中の欧州向け離陸ピークが終わるので、空の駅さくら館でお昼を食べてもいいし、車かバスでターミナルに行ってお昼を食べても良いと思います。
飛行機好きなら少なくとも半日は楽しめますよ!