レジ袋有料化、周回遅れでやっちまった!

レジ袋有料化、周回遅れでやっちまった!

7月1日から基本的には何を買ってもレジ袋は有料になってしまいました。食品などは相当以前からマイバッグを使っているので問題ないでしょうが、衣料品売り場でパンツを買っても、ジャケットを買っても袋は有料、本屋で持ち手のある袋は有料。しかし先行していた他国は片っ端から有料化廃止!あれ?

根拠となる法律とかある?

根拠は法律ではなく省令です。

まず以下のようなウルトラ超絶長い名前の省令があります。

小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令
(平成十八年 財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省令第一号)
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=418M60000740001#4

そしてこの省令を改正する省令というのが出されていて、これが今回の根拠となります。

小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令の一部を改正する省令
(令和元年十二月二十七日 財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省 令第四号)
https://www.jcpra.or.jp/Portals/0/resource/aboutlaw/R1/20191227-0195.pdf

まあ、長ったらしい名前です。

省令ってだいたいクソ長い名前が多いのですが、これはダントツです。

あ、いや、ダントツじゃないです。近年ではこんなウルトラ長いのがありました。
「資源の有効な利用の促進に関する法律(平成三年法律第四十八号)第二十四条第一項の規定に基づき、鋼製又はアルミニウム製の缶であって、飲料が充てんされたものの表示の標準となるべき事項を定める省令の一部を改正する省令」

はあ?
何?

閑話休題。

レジ袋有料化省令は省令であって法律ではないです。ということは上位となる法律があるわけで、それが「容器包装リサイクル法(正式名称:容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律)」です。

しかし、省令であり法律ではないので制定は管轄官庁のお役人が省令案を作成し、所轄の大臣がはんこを押せばできちゃう。逆にいえば中身を変えるのも廃止するのも、お役人の胸先三寸です。極端に言えば、ですが。

省令の目的は?

経済産業省のパンフレットによれば

プラスチックは、非常に便利な素材です。成形しやすく、軽くて丈夫で密閉性も高いため、製品の軽量化や食品ロスの削減など、あらゆる分野で私たちの生活に貢献しています。一方で、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題もあります。私たちは、プラスチックの過剰な使用を抑制し、賢く利用していく必要があります。

このような状況を踏まえ、令和2年7月1日より、全国でプラスチック製買物袋の有料化を行うこととなりました。これは、普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています。
https://www.meti.go.jp/policy/recycle/plasticbag/plasticbag_top.html

ぶっちゃけ、「金を取れば、お前ら、ちょっとは考えるだろ!えっ!」ってことです。

超アナログ的に数値根拠が出ていません。

経済産業省は同省の管理するサイト「METI Journal」の中で、

年間900万トンに上る国内のプラスチックごみの中で、レジ袋の割合は5%足らず。これを削減するだけでは根本的な解決にはつながらない。
https://meti-journal.jp/p/10344/

と認めている。

ここだけを捉えればプラゴミ全体の5%を削減するために有料化し、消費者負担を増やすことでお前ら考え直せと言っているわけです。

ちょっと考えると、1枚2円程度のレジ袋の業者負担がなくなる分利益が増えるわけですが、実際にはそう簡単ではなく、今手元にあるかなりの量のレジ袋が在庫になってしまうわけす。行政は有料で必要な人に提供すればそれでOKと簡単にいいますが、消費者とてそうそうレジ袋にお金は払わないからねぇ。

プラスチックごみとレジ袋

環境省が昨年(令和元年)「全国10地点における漂着ごみ調査(平成29年度)等の結果について~漂着、漂流、海底ごみの実態把握に向けたサンプル調査等~」という資料を発表しています。

これを見ると、漂着物のうち人工物は場所により差がありますが11%~55%(容積比)を占めています。

人工物の中でレジ袋だけではないですが「ポリ袋、菓子袋等の食品包装材」で見ると人工物の中の1~4%程度のようです。最も多いのは漁具、発泡スチロール、プラスチック等の石油化学製品、木材などで特に漁具が目立ちます。

人工物が最も少ないのは根室の11%で「ポリ袋、菓子袋等の食品包装材」は数字にありません。

人工物が最も多いのは函館の55%でその1%が「ポリ袋、菓子袋等の食品包装材」のようで、掛け算すると体積比で函館の漂着ゴミの0.55%が「ポリ袋、菓子袋等の食品包装材」ということになります。

漂着ゴミの0.55%が「ポリ袋、菓子袋等の食品包装材」という状況で本当に何がしかの効果が期待できるのでしょうか?

仮に、全てのレジ袋がなくなったとしてもプラスチックごみ全体の数%(省庁によって出てくる数字が違うのがなんとも)しか減らないわけで、海洋漂着ゴミにいたってはほとんど効果がないわけです。

諸外国は?

経済産業省の「容器包装使用合理化調査(2009.3)」によれば、中国・イギリスは2008年から有料化、アイルランドでは 2002 年より、フランスは2005年に、アメリカのサンフランシスコ市は2007年から、韓国は1999年から何らかの規制を行っているようです。

そして日本は2020年。

周回遅れどころか、何周か遅れての実施

なのです。

やるならやるでもっと早くできたはずです。



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コロナが状況を変えた

しかし、コロナはころりと状況をひっくり返しました。

使いまわしするマイバッグではコロナウィルスの付着による感染拡大が懸念されて、アメリカのニューハンプシャー州では何と3月に食品店が食料品店でプラ製か紙製の使い捨てレジ袋のみ使用を認めると発表しています。

日本の食品スーパーではかなり以前からマイバッグを使う人が増えています。

そうした食品スーパーはセルフサッカーでありサッカー台がありますから、店員が客の汚れたマイバッグを手にすることはありません。

しかし、小さな店やコンビニではサッカー台とかなので、店員が客のマイバッグを預かり商品を入れるケースが多くなります。

マイバッグを通じて感染するといったことは検証されていませんが、不安があるのは間違い有りません。コロナだけじゃなくて普通の細菌でも結構不安じゃないですか。

どうかんがえても、毎回洗うわけでもなマイバッグより真新しいレジ袋のほうが遥かに清潔です。

レジ袋は焼却炉の燃料になる

いっときレジ袋を燃やすとダイオキシンが発せいるなんて言われていましたが、現在のレジ袋を現在の高温焼却炉で燃やしてもダイオキシンは発生しないそうであります。

レジ袋はゴミを燃焼させるのに都合の良い燃料になるといいます。

日本プラスチック工業連盟の資料では、レジ袋の磯合だるポリエチレンが燃えると約11,000kcal/kg、ポリプロピレンは約10,500kcal/kg、灯油が約約10,500kcal/kgです。燃焼カロリーだけを見れば灯油なみ!

レジ袋はリユース率が高い

レジ袋でよほど汚れたものは別にして、たいていはゴミ袋に使いますよね。

そのまま道端にポイ捨てとかほとんどしないと思います。道端でみるゴミはペットボトル、空き缶、吸い殻、紙くずなどが多いですよね。

だから、海洋投棄物のなかにもレジ袋は少ないのでしょう。

まとめ:またしても日本は周回遅れでやっちまった

海外に遅れること10年以上でレジ袋有料化したときにはコロナウィルス感染が拡大し、海外では不潔なマイバッグ・エコバッグを通じての感染を懸念して、マイバッグの使用禁止とレジ袋無料提供復活をしたところも出てきた。

長ったらしい省令を作って頑として引っ込めない姿勢はどうかと思います。感染リスクを下げるならコロナが収束するまでは省令施行延期すべきではなかったか?



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