転勤・引越シーズンに備えての特集「実用引越講座」(連載4回目:旧居と新居の点検)

転勤・引越シーズンに備えての特集「実用引越講座」(連載4回目:旧居と新居の点検)

旧コンテンツですが1995年9月に執筆した「実用引越講座」というものがありました。地味に人気コンテンツでしたが、これから春までの転勤・引越しーズンに備えて、現在の状況などを加筆した「実用引越講座」を何回かに分けてお届けします。引っ越しを予定されている方は保存版コンテンツとしてぜひブックマークしていただきお読みください。

連載1回目:物件選び
連載2回目:引越計画立案、業者選択
連載3回目:荷造り等準備
連載4回目:旧居と新居の点検 (★今回)
連載5回目:引越当日
連載6回目:事後の手続き



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旧居と新居の点検

旧居の点検

賃貸住宅では退去したあと、通常は内装や設備の補修・清掃が行われます。

この時当然施工業者や管理会社が必要な費用の見積作業を行いますがが、その場に立ち会うかどうかを聞かれることがあります。

これは可能な限り立ち会った方がよいのです。

聞かれない場合は、自分からその日時を確認して立ち会うべきです。

ひどい業者だと家主と結託して補修費用をぼられてしまうこともありえます。

また費用について家主と旧借り主(つまり貴方自身)が折半したりするものも少なくはないので、それについても確認が必要です。

故意に壊したりしないヘビースモーカーで部屋中うヤニと悪臭が酷いとかでないかぎり、畳や襖の日焼け、タンスを置いた絨毯の凹みなど日常生活していて自然にできる摩耗の補修などは家主が負担すべきものだからです。

ヘビースモーカーのタバコのヤニ汚れやニオイなどはクリーニングに手間がかかるため、原状回復には単に脱臭だけでは悪臭がとれないため壁紙総張り替え・塗り替えとかもありえます。喫煙が当たり前だった時代とは違いますので、賃貸マンションの方はこれを機に禁煙すべきです。

この際、タバコはやめた方が身のためです。

新居の点検

新居に入る前の点検も大切です。

賃貸でも分譲でも引き渡しを受けたときに室内外を隅々まで点検しておくことを、忘れてはいけません。分譲の場合は点検を忘れることはなさそうですが、賃貸の場合は忘れることが多いのです。

ここではマンションを例に上げるますが、チェックポイントはいくつかあります。

  1. 室外のチェック
    集合郵便受け、玄関ドアの郵便受け、窓やドアガラスの欠け・ひび
  2. 玄関
    ドアの開閉、ドアクローザーの具合、防犯チェーンの掛かり具合、鍵の掛かり方、下駄箱など玄関収納の内部や扉の開閉、玄関床の損傷(コンクリートの割れ、クッションフロアの汚れや破れ、タイルの割れ・欠け
  3. 水回り全般
    水漏れの有無、水の出具合、給湯器がある場合は最低温度と最高温度での湯温、給湯器の燃焼具合(異臭の有無)、排水の流れ具合
  4. トイレ
    トイレの排水、便器の汚れ・割れ・ひび、壁・床の汚れやクロスの破損
  5. 洗面所
    排水の具合、壁・床の汚れやクロスの破損、防水パンの破損、洗面台の鏡や小物入れ・扉の具合や破損
  6. 浴室
    ドアの防水パッキンの破損、シャワーや蛇口の出具合と切り替えレバーの動き、浴槽の傷・汚れ・ひび・破損、壁や床のタイル・プラスチックの汚れや破損
  7. キッチン
    作り付け収納部の汚れや破損、扉類のレバーの破損、シンクなどのステンレスの破損や腐食、周囲のタイルや壁のクロスの破損・汚れ、流し台付近の床の汚れ・傷・破損
  8. 和室
    襖の開閉と破損の有無、押し入れ内部の汚れ・かび・破損、畳表やふちの破損や汚れ、壁や天井の汚れ・破損
  9. 洋室
    フローリング床の大きな傷、クッションフロアの汚れ・破損、カーペットの汚れ・破損、壁のクロスの汚れと破損、収納部の汚れ・かび・破損
  10. バルコニー
    物干し竿掛け金具の具合、手すりの破損・さび、コンクリート部の大きなひび、エアコン吊り下げ金具の具合
  11. その他
    開閉部の開閉具合、壁やガラス等の汚れ・欠け・割れ

不具合箇所を見つけたら、スマホで写真を撮りメモしておくこと。

なぜチェックが必要か?

かなり、細かいことを書いているようですが、賃貸住宅の場合家主は室内にあまり目が届かない(居住者がいるのだから当然です)ので、これらの構造物・設備の不具合は、居住者が知らせないとわからないことが多いのです。

住宅とその設備は家主の貴重な財産であり、家主もその財産価値を維持するように気を配るはずです。

こまかいことをいうとうるさがられるかと思うかもしれませんが、本当に維持管理に気を配る家主なら決してうるさがらないし、不都合はどんどん申し出た方が家主も安心します。

居住者しかわからない不都合は、家主に報告する「義務がある」と思っても良い。

そして普段から家主と良好な関係を維持することが、家主の信頼を得て快適な賃貸住宅での生活につながります。

入居前の不都合は必ず日付入り書面にして、その場で家主とともに確認すべきです。

口頭だと言った言わないの水掛け論になるのがおちです。

これがないと、入居時から壊れていたにも関わらず、いざ退去する時になって貴方に多額の補修費用がかかってくることがあります。

逆にこれらをうるさく確認したのだから、あなたは入居者の模範となって建物や設備を大切に使わなければならないのは当然です。

仮にこれらをうるさく思わないような家主なら、長居はしないほうがよいとも言えます。

自分の財産の管理状態を気にしない、あるいは維持費をけちるような輩の所有物はいずれスラムとなること請け合いです。そうなるまえに、そして多額の修繕費をむしりとられないうちにさっさと転居してしまうべしです。当然中元や歳暮などは一切無用です。

分譲住宅の場合は、自分自身の財産です。

自分が金を出すのだから、不具合は完璧に直させねばなりません。あとからではノラリクラリと逃げ回ってとりあってくれない業者も多いのです。とにかく最初が肝心です。業者を甘やかせてはなりません。

何十年というローンを背負ったのはあなた自信なのだから、貴方にはそれを要求する権利があります。あなたが納得するまでは引き渡し書類に捺印をしてはなりません。

さて次回はいよいよ引っ越し、「引越当日」です。

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連載2回目:引越計画立案、業者選択
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