ご夫婦が新居購入と同時にベッドを買おうという場合のベッド選び指南の連載3回目となります。今回は一番大切なマットレスの選び方について指南します。
マットレスの種類
一回目で書きましたが、大別すると金属スプリングをクッションに使ったスプリングマットレス、低反発素材を使った低反発マットレス、高反発素材を使った高反発マットレス、中空素材を使ったエアー系マットレスがあります。
このうち、低反発や高反発はウレタンみたいな素材で全般的に通気性が悪い傾向があり寿命もスプリングマットレスほど長くありません。エアー系は通気性は良いですが寿命という点で難点があります。
ということで、筆者のイチオシはスプリングマットレスだというのが第1回目の話です。
スプリングマットレスの種類
ボンネルコイルマットレス
コイルスプリングを横方向に連結したもので、面で体を支えるためやや硬めの「畳+ウレタンマットレス+敷布団」に近い寝心地になります。
筆者のおすすめはシングル2台ですので関係ないのですが、仮にダブルやクィーンサイズに2人で寝る場合、全体が一つのボンネルコイルだと、パートナーの寝返りの振動がもろに響くことを覚えておく必要があります。
ポケットコイルマットレス
コイルスプリングをファブリックの筒で一本一本包んで並べたもので、各コイルスプリングは結合されておらず独立しています。ボンネルコイルスプリングが面で体を支えるのに対し、ポケットコイルマットレスは点で支えるため、寝心地は柔らかめで体にフィットします。
ボンネルコイルに比べると、マットレスのある箇所の振動が他の部分に伝わりにくいので、ダブルやクィーンサイズで2名で眠るときでも寝返り振動が伝わりにくいメリットがあります。メーカーの情報だと「伝わらない」と断言されていますが、実際にはベッド表面を覆う布やクッション材が引っ張られるので、ポケットコイルといえども多少の振動は伝わりますが、ボンネルコイルよりはるかに小さいものです。
一人で寝ている場合でもお尻を動かしたら頭と足先のほうも揺れるなんてことも少ないと思います。
どちらが良い?
価格は一般に「ボンネルコイル<ポケットコイル」です。
寝心地は感じ方に個人差はあるでしょうが「ボンネルコイル<ポケットコイル」です。
良いものを長く使うという点では、やはりポケットコイルをおすすめしたいところです。ショールームとかで寝て比べるとわかりますが、全然違います。
スプリングマットレスの詰め物とピロートップ
詰め物について
ボンネルコイルにせよポケットコイルにせよ、スプリングを薄い布でカバーしただけでは金属が体にあたって痛くて寝られないですよね。
そこで当然、「詰め物」があるわけです。
詰め物は通常は表裏同じ構造になっており、スプリング側から外側に向かって
・何層かのシート(布や不織布、ときにフェルトなど)
・ウレタン(安いものは1層、高いものは複数層)
・ポリエステル綿
・表面の布
という構造になっています。
スプリングマットレスの寝心地は、スプリングの質と数(ポケットコイル)、詰物の質と量で決まり、それらは価格に比例する
ポケットコイルでいえば、限度はありますが値段が高いほうがスプリングの数が多くなり寝心地も良く一つのスプリングへの荷重負荷も小さくなるので寿命も相対的に長くなります。
ポケットコイルでもボンネルコイルでも、詰物の厚みと値段は比例しある程度厚みがないと寝心地はよくありません。なんというか、バネが当たる感じがします。そういう安物は買ってはいけません。
ピロートップについて
家具店やベッドメーカーショールームに行くと、高価なマットレスになるとマットレスの上部にふかふかの敷ふとんのようなものが貼り付いているものがありますね。
あの貼り付いたものをピロートップといいます。
ピロートップの良し悪し:
○:ふわふわ感が増して寝心地が良く感じる(「感じる」のがポイント)。
×:ピロートップだけ外して干したりできない。
×:通常片面にしかピロートップがないので、マットレスを裏返してローテーションできない。
×:ピロートップはスプリングに比べて格段にヘタリが早くお尻部分が凹むのが圧倒的に早い。
×:ピロートップだけ交換できない。
×:ピロートップが付いてるだけで価格が跳ね上がる。
ベッドメーカーや家具屋さんはいろいろ言うとは思いますが、はっきりいって良いものを長く使うという視点でいくと、通常のピロートップ付きマットレスは高いだけで実用的なメリットはほとんどありません。
ピロートップ付きマットレスに大枚はたくより、ピロートップなしで高品質なものを選んで、+αでマットレストッパーを買えばピロートップ付きマットレスより安くて良い効果が出ます。
マットレストッパーについてはまた別途項目を設けて説明します。
マットレスの厚み
スプリングマットレスの場合、厚みはかなり重要な要素になり、価格と厚みは比例関係にあります。
1万円程度で買える格安のものは15cmもあればいいほうですが、スプリングマットレスとしてはあまりに不十分です。ピロートップは無しを前提として、厚みは最低20cmはないと例えダブルクッションでも良い寝心地は得にくいと思います。
シモンズのカタログを見ると、一番高価なものはセミダブルのマットレスでピロートップ込みで41cmもの厚みがあります。
マットレスは厚すぎると市販のボックスシーツが合わなくなり、ボックスシーツなのに特注で結構高くなってしまうとかになります。ものには限度があるってやつです。
ちなみに、筆者が使用しているのはもう10年以上前(ぼちぼち買い替え)のシモンズABRシリーズで6.5インチコイルで厚みは25.5cmあります。現在だと普及型のABモデルで25.5cm、高級版のAAモデルで29.5cmです。
ダブルクッションでボトムスプリング(ボックススプリング、ボトムファンデーションともいいます)の上に乗せるスプリングマットレスとしては最低でも20cm以上、できれば25cmはほしいところで、シーツの入手性を考えると30cm程度までが限度だと思います。
あまり分厚くなると、マットレスが重くなり例えシングルサイズでもローテーション(手入れの項で説明します)は相当困難になります。
マットレスの価格差
マットレスの価格の差は、
・スプリングに使われているバネの数や厚み(ポケットコイルの場合は特に)
・使用されている生地の質。
・マットレス表面の布や詰物がずれないようにするキルティングやボタン絞りの数や質
・側面通気孔の有無
・詰物の厚みや質
・ピロートップの有無と質
によって1万円程度から数十万円まで差が付きます。
そして価格と寿命はある程度比例傾向にあります。極端に言えば1万のマットレスが10年心地よい状態で使えることはどんなに手入れをしていてもムリですが、20万円のマットレスならちゃんと手入れしてローテーションしていれば10年くらいは良い状態で使えます。
詰め物がずれないようにしっかりしたキルティングがなされているのは大切です。
側面の通風孔は湿気を逃がすためにも大切です。
詰め物は適度の厚みが必要で、薄すぎるとバネの金属感を体に感じてしまいます。
ピロートップは無いほうが良い、お金の無駄です。
このあたりが選ぶポイントとなります。
今回のまとめ
マットレスのスプリングは寝心地の良さ、体当たりの柔らかさでポケットコイルがおすすめ。
ピロートップはメリットよりディメリットのほうが遥かに多いので、ピロートップ無しがベター。
スプリングマットレスの厚みは最低20cm、できれば25cmは必要。ボックスシーツの入手しやすさを考えると上限は厚み30cm程度まで。厚みで寝心地は大きく異る。