通販サイトや量販店モバイルアクセサリー売り場を見ると「MagSafe」対応と称する充電パッドやモバイルバッテリーが並んでいますが、それって本物のMagSafeですか?実はほとんどのものはMagSafeではないという話。
MagSafe(iPhone用)とは?
公式ページには現在はMagSafeだけを解説したページは無いようですが、iPhone 12の発表内容のWebページに記載があります。
現在Androidで多く使われているワイヤレス充電規格のQi(チー)を使ったことがある人はわかると思いますが、テキトーに載せただけでは充電されません。
ワイヤレス充電は電磁誘導を利用しており、給電側のコイルに電気を流すと磁力が発生します。その磁力を受電側のコイルを適切な位置で通り抜けるとコイルに電気が流れます。理系の人ならば「ファラデーの電磁誘導則」として高校の物理で習ったことがあるはずです。
この方式の問題は互いのコイルの位置が正しい位置になければいけないことです。
したがって、Qiの充電パッドにテキトーにスマートフォンを載せただけではうまく充電されないことがあるのです。
MagSafeは磁石の吸引力を使うことで、給電側のコイル(充電器側)とiPhone側のコイルの位置をピッタリ合わせる仕組みです。
同時にNFCループを使って充電器側・バッテリー側と通信し適切な充電が行えるようにしています。
現在Qiでは5W〜15Wまでの電力が規定されているようですが、残念ながら多くのデバイスは最低の5Wまたは7.5Wのようです。一方MagSafeは現時点で最大15Wです。
MagSafeはQiと下位互換性があるので、MagSafeの充電器でもQi対応のAndroidを充電可能です。ただし磁石がないので磁石による位置決めはありません。
すなわち、
・磁石を使って充電に適切な位置になるような仕組みがある。
・NFCループを使って充電器やバッテリーと通信している。
・Qiとは下位互換性がある。
・MagSafeは最大15Wで充電できる
ということになります。
位置決めだけのMagSafe対応商品
iPhone 13用にMagSafe対応というので買ったけど、5WのQiのワイヤレス充電器と速度がかわらない!という商品レビューが通販サイトによくあります。
これは充電規格はQiの5Wとか良くて7.5Wで、位置決めのためだけにマグネットを内蔵したものです。
正確に表現するなら「Qi充電MagSafe磁力吸引位置決め対応」とでも言うべきでしょうか。
こういう充電器・モバイルバッテリーの場合、iPhone 12/13を乗せてもMagSafe充電マークが出ず普通に充電アダプタに有線接続したのと同じ表示になります。
よく見ますよね、この電池アイコン。
位置決めと吸着だけでもまあ価値はあると思いますが、その場合唯一のメリットである磁気吸着の力もやたら弱くてほぼ意味のないやつもあったりします。
MagSafe対応充電器
MagSafe対応充電器(NFCループで通信できるもの)に載せるとこうなります。
普通の有線充電やQiでは絶対出てこない充電マークです。
ただし、これが出たから15W充電しているとは限りませんので注意。
ちなみに、当サイトで何度も紹介しているこれは15W対応です。
あいにくMFi認証はとっていないようです。
磁気吸着力は抜群でくっつけた状態でiPhone 13 miniだけを持ち上げても、まったくピクともずれることなくガッツリ張り付きます。
上の写真はEZO Brick Series TerminusにiPhone 13 miniを貼り付けて上から撮ったところものです。
まとめ
MagSafe対応をうたう充電パッドやモバイルバッテリーがあるが、全てが15WでまっとうなMagSafe対応のわけではない。
多くは充電規格はQiであり、位置決めのためだけに磁石を内蔵してMagSafe対応と称しているものがるので見極めが肝心。
Qi規格充電の場合は有線充電と同じ緑の電池アイコンがでるが、MagSafe充電の場合はW数によらず緑の円の中央に緑の稲妻のMagSafeアイコンが出る。