タブレットやスマホで使うために携帯キーボードが欲しい!そんなニーズに応えるキーボードには折りたたみタイプと非折りたたみ軽量タイプの2種類があります。今回はサンワサプライから発売されている、非折りたたみで18〜19mmのフルサイズキーでありながら300gを切る軽量キーボード2種類の比較をしましょう。
メンブレンとパンタグラフについて
誤解が多いのですが、メンブレンとはキーを押す仕組みではなく接点の仕組みを意味しています。キーのストロークが長いやつをメンブレン、ノートPCのようにストロークが短いのをパンタグラフというのが一般的なのですが正しくは違います。
その違いを実によく説明している素晴らしい動画がありました。百聞は一見にしかずなので是非ともご覧ください。数あるYouTube動画の中でも名作中の名作だと思います!
すなわち、一般的に「メンブレン」と呼ばれるのは「メンブレン+ラバードーム」でストロークが大きいものであり、「パンタグラフ」と呼ばれるのは「メンブレン+ラバードーム+パンタグラフ」でストロークが小さいものとなります。高級なゲーミングキーボードで赤軸とか青軸とか言われるのはメカニカルキーとなります。
本稿では一般的な呼称に従って「メンブレン+ラバードーム」をメンブレン、「メンブレン+ラバードーム+パンタグラフ」をパンタグラフと呼ぶことにします。
構造上の違いから、カシャカシャ・カタカタという打鍵音が比較的大きいのがメンブレンとメカニカル、打鍵音が小さくて低いのがパンタグラフです。筆者はカシャカシャ音がうるさいと感じるタイプなので、自宅で使っているのはLogicool K780というパンタグラフ式の静音キーボードです。
今回紹介するサンワサプライのキーボードは2種類ともパンタグラフ式です。
SKB-BT32BKとSKB-BT36BK
仕様比較
1番大きな違いは電源です。SKB-BT32BKは充電式でSKB-BT36BKは単4アルカリ電池2本です。
SKB-BT32BK | SKB-BT36BK | |
発売 | 2019年6月 | 2022年8月 |
Bluetooth | Ver3.0 Class 2 | Ver5.1 Class 2 |
マルチペアリング | 最大3台 | |
キー数 | 86 | 82 |
キーピッチ(文字キー) | 18mm | 19mm |
キーストローク | 1.9±0.2mm | 2.0±0.3mm |
キー動作力 | 67g | 60g |
電源 | 充電式(280mAh) microUSB | 単4アルカリ電池2本 |
動作時間 | 連続動作56時間 | 連続動作330時間 連続待機2000時間 |
充電時間 | 2時間 | – |
サイズ(mm) | 288.2(w)×127.4(d)×最厚部14.42(h)・最薄部6(h) | 285(w)×125(d)×22(h) |
重量 | 270g | 電池別190g (実測で付属電池込み203g) |
対応OS | Windows/macOS/Android/iOS/iPadOS | |
その他 | 角度調節スタンド内蔵 | – |
電源以外では重さはかなり違いますが、SKB~BT32BKの270gも重いというほどでもありません。連続動作時間はアルカリ電池を使うSKB-BT36BKの方がかなり長くて、さらに乾電池の特性でもある間欠放電(連続して電池を使うのではなく休み休みに使うこと)により事実上の使用期間はかなり長くなります。
キートップ比較
キーピッチの違い
キートップを比べてみますと、SKB-BT36BKはキーピッチが19mmに対し、SKB-BK32BKは18mmと1mm短いのでその分文字キーの右側にゆとりができてきて、PやLの右側の記号キーやEnterが小さく押し込められたりしていません。一方SKB-BT36BKは文字キーこそフルサイズですが、記号キーとEnterが極端に小さくなっています。
キーピッチに1mmの差はありますが、18mmと19mmではタッチタイピングでは大きな差は感じません。むしろEnterキーとBackSpaceキーが大きいことの方がメリットが大きいと思います。
多くのコンパクトキーボードでは小さいキートップになりがちな矢印キーも文字キーと同じサイズが使われており非常に使いやすいです。Enter、BackSpace、矢印といった打鍵頻度の高いキーが大きいのはとても楽にタイピングができます。
ファンクションキーの違い
最上段のファンクションキーも違いがあって、SKB-BT36BKではF12の右がDeleteのみですが、SKB-BT32BTではPrtScr/SysRq,、ScrLk、Pause/Break、Deleteになっています。これらのキーってそんなに使わないよねぇ….と思ったりしますが。次に書いているとおりfnキーとの同時押しの機能のほうが重要です。
SKB-BT36BKではfn+F10には割り当てなし、fn+F11にPrtSc/SysRq、fn+F12にScrLkです。SKB-BT32BKではfn+F10にスクリーンショット、fn+F11に画面を暗くする、fn+F12に画面を明るくする機能が割り当てられていますので、こうした機能を多用する場合はSKB-BT32BTのほうが楽だということになります。特にiPadを横置きした時にはスクリーンショットを撮るのは結構厄介なのですが、このキーがあれば超簡単。
ちなみにSKB-BT32BKには直販モデルでカラーが白の400-SKB073というものがあります。BluetoothがVer5.0になった他は連続動作時間など仕様上の違いが見受けられません。白が欲しい人は400-SKB073ということになりそうです。SKB-BT32BKは扱い店舗が減ってきていますので、代替品としてはカラーが白になりますが400-SKB073を検討してください。
側面と底面の違い
側面もかなり違います。
SKB-BT36BKは乾電池を収納するスペースが必要であるため、どうしてもファンクションキー側の底面に四角い出っ張りが出てしまいます。タイプするときはこれがスタンドとしての役割をするため安定してタイプできます。
しかしこの四角い出っ張りはカバンの中にしまうときはかなり邪魔です。出っ張りが角張っているのでバッグの中の他の物に引っかかってしまうことが多々あります。持ち歩きが多い方はご注意ください。
電源スイッチの位置も真逆でSKB-BT32BTは表面右上で非常に自然にオンオフできますが、SKB-BT36BKは何故か裏にあるので、使ってみると消し忘れが結構発生します。
iPadとペアリングして使うときでバッグの中にiPadとキーボードをしまう場合、SKB-BT36BKは要注意です。この場合キーボードの電源オフはとても重要で、オンのままですとカバンの中でキーが色々押されてしまいiPadの誤作動を招きます。例えばロック状態でキーボードがカバンの中で適当に押されてパスコード誤りを数多く繰り返し、ついに事実上パスコード解除不能になる可能性がありますので十分な注意が必要です。
そういう意味から、iPadやiPhoneとSKB-BT36BKの組み合わせは持ち運びと電源スイッチに要注意です。これ絶対覚えておいてください。
筐体のたわみ問題
以前の記事でも書きましたが、SKB-BT36BKは軽量化のため筐体が薄くて、タイプすると中央部がたわんでしまい、キーをたたく度に中央部の前部下側が机にコツコツ当たって物凄く耳障りです。これは100均で厚さ2mmのクッションゴムを2箇所最前面に貼り付けることで解決しますが、逆にいえばそれをしないとかなり気になります。
一方SKB-BT32BKはSKB~BT36BKよりは剛性が高いためたわみによりコツコツとキーボード底面と机がぶつかるひどい音はしませんが、タイプのときに筐体底面中央部付近が響くような音が気になって、SKB~BT36BKで使用したのと同じクッションゴムを4箇所に貼り付けました。
これでタイプしても響くことがかなり減少し快適に使えるようになりました。
SKB-BT32BKはスタンド内蔵なので使用時にスタンドを立てるとより傾斜がついてタイプしやすくなりますし、一時的にキーボードを立てることもできます。というのは建前でして、かなり際どいバランス立っていて裏から息を吹き付けると簡単に倒れます(笑)。
スタンドには滑り止めゴムがついていないので、スタンドを立てると滑り止めは手前のゴムだけになり、ツルツルのテーブルの上でタイプしているとだんだん向こう側にキーボードがずれていってしまいますので、スタンドは使わないようになりました。タイプスタンドとしても立てるスタンドとしても役に立ちませんのでとっぱらても良いかと思います。この足は簡単に外せますので外すことを勧めます。
SKB-BT32BKのGood・Bad
Good Point
・BackSpaceとEnterのキー、記号キーが大きくて打ちやすい
・充電式なので乾電池の心配が要らない
・全体的に薄くて角のある出っ張りがないためバッグへ出し入れしやすい
・スタンド内蔵で使用時に傾斜をつけられる(が、テーブルがツルツルだとタイプしているうちに向こうに滑っていくことがあり必ずしもGood Pointではない)
・矢印キーも文字キーと同じサイズでとても使いやすい
Bad Point
・キーピッチは標準よりわずかに狭い18mmだがほとんど気にならないでタッチタイプできる
・充電式なので電池残量に気を使う必要がある
・連続動作時間が56時間と短め、同じサンワサプライのSKB-BT23BKNの165時間の三分の一しかない、とはいえ使い方次第だが1〜2週に一度の充電で十分であり、週末の休日夜に充電する習慣をつければ全く問題ない
・充電が今更のmicroUSBでありUSB TYPE-Cでないので、旅行などでは余分にケーブルが必要
・スタンド利用で立たせることができることになっているが、実際には際どいバランスで息を吹きかけると倒れるくらい
SKB-BT36BKのGood・Bad
Good Point
・軽い(付属電池込みでも実測203g)
・バッテリー充電不要
・電池での動作時間が連続で330時間、1日8時間電源オンで、使用時間が25%の場合102日と3ヶ月以上持つ
・文字キーはフルサイズキーと同じ19mm
Bad Point
・右側の記号キー、BackSpaceとEnterのキーが小さくてうちにくい
・電池がなくなったら買いに行かないといけない(予備がない場合)
・底部の電池収納部の四角い出っ張りがバッグへの出し入れ時に引っかかって意外に邪魔になる
・構造が柔で中央部がキーを叩く度にたわんで、机と底部がぶつかりコツコツ音を立ててうるさい(100均グッズで改善可能)
まとめ
SKB~BT32BKとSKB-BT36BKは300gを切るコンパクト軽量キーボードだが文字キーピッチは18mm〜19mmなのでタッチタイプには全く問題ない。
SKB~BT32BKは記号キー・Enter・BackSpace・矢印・ファンクションキーのサイズが大きくとられているSKB~BT32BKが使いやすい。
電源スイッチがSKB-BT36BKは裏側にあるので切り忘れによるタブレットやスマホ誤動作には十分注意が必要。
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